実はこの接頭辞には、正反対に見える「中に・中へ」と「〜でない・否定」という2つの意味があります。
「内側へ入れる」または「意味を反対にする」という2つのコアイメージを区別できれば、inspect・impress・inevitable・impossible・illegal・irregularなどをまとめて覚えられますよ!
”in- / im- / il- / ir-”は、英単語の中で非常によく登場する接頭辞です。
例えば、”inside”のin-は「中に」を表しますが、”indirect”のin-は「〜でない」を表します。
見た目は同じでも、もともとは別の語源から生まれた2種類の接頭辞なんです。まず「中へ入る映像」と「打ち消しのバツ印」を分けて覚えましょう!
- 1 接頭辞”in- / im- / il- / ir-”には2つの意味がある
- 2 なぜ”in-”が”im- / il- / ir-”に変わるの?
- 3 【一覧表】”in- / im- / il- / ir-”を持つ英単語まとめ
- 4 「中に・中へ」の意味を持つ代表的な英単語
- 5 「〜でない・否定」の意味を持つ代表的な英単語
- 5.1 indirect|in-(否定)+ direct(まっすぐな)
- 5.2 inevitable|in-(否定)+ evitable(避けられる)
- 5.3 independent|in-(否定)+ dependent(依存した)
- 5.4 inefficiency|in-(否定)+ efficiency(効率)
- 5.5 inexperience|in-(否定)+ experience(経験)
- 5.6 immune|im-(否定)+ munis(義務・奉仕)
- 5.7 immediate|im-(否定)+ mediate(間にある)
- 5.8 illegal・illogical|il-はlの前で使う否定形
- 5.9 irregular・irresponsible|ir-はrの前で使う否定形
- 6 ”in-”が「中に」か「否定」かを見分ける方法
- 7 要注意!”inflammable”は「燃えない」ではない
- 8 否定の”in-”と”un-”の違い
- 9 ”in- / im- / il- / ir-”の語源
- 10 ”in- / im- / il- / ir-”を持つ関連記事
- 11 接頭辞”in- / im- / il- / ir-”の意味・語源・覚え方のまとめ
接頭辞”in- / im- / il- / ir-”には2つの意味がある
接頭辞”in- / im- / il- / ir-”の意味は、大きく次の2種類に分けられます。
●in-①「中に・中へ・上に」
⇒外側から内側へ入る、内部に置く、対象の上に働きかけるイメージ
⇒inside / inspect / induce / impress / impose
●in-②「〜でない・反対の・欠いている」
⇒後ろの単語の意味を打ち消し、反対の状態にするイメージ
⇒indirect / inevitable / impossible / illegal / irregular
イメージの違いとしては
in-①「中に」 ⇒「外から内側へ入っていく」=in / into / within / on
in-②「否定」 ⇒「後ろの意味にバツ印を付ける」=not / opposite of / without
といった感じです!
まず後ろのパーツを確認し、「中に〇〇する」で意味が通るか、「〇〇ではない」で意味が通るかを試すと判別しやすくなりますよ。
なぜ”in-”が”im- / il- / ir-”に変わるの?
”im- / il- / ir-”は、意味の異なる別の接頭辞ではありません。
後ろに続く音へ合わせて、”in-”の最後のnが発音しやすい音に変化したものです。
このように、隣り合う音に引っ張られて発音が変わる現象を同化といいます。
●in-:基本形。多くの音の前で使用
inside / indirect / inevitable
●im-:主にb・m・pの前
imbalance / immoral / impossible
impress / immigration / impose
●il-:lの前
illegal / illogical / illegible
illuminate
●ir-:rの前
irregular / irrelevant / irresponsible
irradiate
”in + legal”なら、nが後ろのlに寄って”illegal”。”in + regular”なら、nがrに寄って”irregular”になるわけです!
【一覧表】”in- / im- / il- / ir-”を持つ英単語まとめ
| 英単語 | 構成パーツ | 接頭辞の意味 | 主な意味 |
|---|---|---|---|
| inside | in-(中に)+side(側) | 中に | 内側・内部に |
| inspect | in-(中を)+spect(見る) | 中に | 検査する |
| induce | in-(中へ)+duce(導く) | 中に | 引き起こす・誘導する |
| ingredient | in-(中に)+gredi(行く) | 中に | 材料・成分 |
| instruction | in-(中に)+struct(積み上げる) | 中に | 指示・教育 |
| involve | in-(中に)+volv(巻く) | 中に | 巻き込む・伴う |
| impress | im-(中に)+press(押す) | 中に | 感銘を与える |
| impose | im-(上に)+pose(置く) | 上に | 課す・押し付ける |
| immigration | im-(内へ)+migration(移動) | 中に | 移民・入国 |
| illuminate | il-(中へ・上に)+lumin(光) | 中に・上に | 照らす・明らかにする |
| irradiate | ir-(上に)+radi(光線) | 上に | 光を当てる・照射する |
| indirect | in-(否定)+direct(まっすぐ) | 否定 | 間接的な |
| inevitable | in-(否定)+evitable(避けられる) | 否定 | 避けられない |
| independent | in-(否定)+dependent(依存した) | 否定 | 独立した |
| impossible | im-(否定)+possible(可能な) | 否定 | 不可能な |
| immune | im-(否定)+munis(義務・奉仕) | 否定 | 免疫のある・影響を受けない |
| immediate | im-(否定)+mediate(間にある) | 否定 | 即座の・直接の |
| illegal | il-(否定)+legal(合法の) | 否定 | 違法な |
| illogical | il-(否定)+logical(論理的な) | 否定 | 非論理的な |
| irregular | ir-(否定)+regular(規則的な) | 否定 | 不規則な |
| irresponsible | ir-(否定)+responsible(責任のある) | 否定 | 無責任な |
「中に・中へ」の意味を持つ代表的な英単語
inside|in-(中に)+ side(側)
”inside”は、境界線の内側を表す単語です。
”in-(中に)”と”side(側)”が合わさり、「中の側」から「内側・内部に」という意味になりました。
【例文】
・Please wait inside the building.
(建物の中で待ってください。)
・I looked inside the box.
(私は箱の中をのぞいた。)
inspect|in-(中を)+ spect(見る)
”inspect”は、表面を見るだけでなく、中までのぞき込んで詳しく見るイメージです。
そこから「検査する」「点検する」という意味になりました。
【例文】
・The mechanic inspected the engine.
(整備士はエンジンを点検した。)
・The officer inspected my passport.
(係員は私のパスポートを検査した。)
induce|in-(中へ)+ duce(導く)
”induce”は、人や物をある状態の中へ導き入れるイメージです。
人に行動を促す場合は「説得して〜させる」、ある結果の中へ導く場合は「引き起こす」という意味になります。
ingredient|in-(中に)+ gredi(行く)
”ingredient”は、料理や製品の中に入っていくものを表します。
そこから「材料・原料・成分」という意味になりました。
instruction|in-(中に)+ struct(積み上げる)
”instruction”は、人の頭の中に知識を積み上げるイメージです。
知識を教え込むことから「教育」、何をすべきかを頭へ入れることから「指示・説明書」という意味へ広がりました。
→ ”instruction”の意味・使い方を詳しく確認する
involve|in-(中に)+ volv(巻く)
”involve”は、糸や布の中へ巻き込むイメージです。
そこから「人を出来事に巻き込む」「要素として含む」「関係させる」という意味につながります。
impress|im-(中に)+ press(押す)
”impress”は、印鑑を押すように、相手の心の中へ強い印を押し込むイメージです。
その結果、忘れられない印象を残すことから「感銘を与える」という意味になります。
【例文】
・Her speech impressed the audience.
(彼女の演説は聴衆に感銘を与えた。)
→ ”impress”の意味・使い方を詳しく確認する
→ ”impression”の意味・使い方を詳しく確認する
impose|im-(上に)+ pose(置く)
”impose”は、相手の上にルールや負担をドスンと置くイメージです。
そこから、税・制限・罰・義務などを「課す」「押し付ける」という意味になります。
immigration|im-(内へ)+ migration(移動)
”immigration”は、ある国の内側へ移動して入ってくることを表します。
同じ移動でも、出ていく側から見れば”emigration”、入ってくる側から見れば”immigration”です。
→ ”immigration”の意味・使い方を詳しく確認する
「〜でない・否定」の意味を持つ代表的な英単語
indirect|in-(否定)+ direct(まっすぐな)
”indirect”は、まっすぐではないことを表す単語です。
目的地へ直接向かわず、途中に別の人・物・段階を挟むことから「間接的な」「遠回しな」という意味になります。
【例文】
・This is an indirect way of asking for help.
(これは遠回しに助けを求める方法だ。)
・The flight includes an indirect route through Seoul.
(その便はソウルを経由する間接ルートを含む。)
inevitable|in-(否定)+ evitable(避けられる)
”inevitable”は、避けることができない状態を表します。
努力して逃れようとしても避けられないことから、「不可避の」「必然的な」という意味になります。
independent|in-(否定)+ dependent(依存した)
”independent”は、他の人や物へ依存していない状態です。
自分自身で立ち、判断し、行動できることから「独立した」「自立した」という意味になります。
→ ”independent”の意味・使い方を詳しく確認する
inefficiency|in-(否定)+ efficiency(効率)
”inefficiency”は、十分な結果を効率よく作り出せていない状態です。
時間・お金・労力などに無駄があることから「非効率・能率の悪さ」を表します。
→ ”inefficiency”の意味・使い方を詳しく確認する
inexperience|in-(否定)+ experience(経験)
”inexperience”は、実際に体験した経験を持っていないことです。
そこから「経験不足・未経験」という意味になります。
→ ”inexperience”の意味・使い方を詳しく確認する
immune|im-(否定)+ munis(義務・奉仕)
”immune”は、もともと義務や負担を負わなくてよい・免除されている状態を表しました。
そこから、病気や悪影響を受けない「免疫のある」、批判や影響を受けない「無縁である」という意味へ広がっています。
immediate|im-(否定)+ mediate(間にある)
”immediate”は、二つのものの間に何もないイメージです。
時間の間がなければ「即座の」、人や物の間に仲介がなければ「直接の」、すぐ隣にあれば「最も近い」という意味になります。
→ ”immediate”の意味・覚え方を詳しく確認する
→ ”immediately”の意味・覚え方を詳しく確認する
illegal・illogical|il-はlの前で使う否定形
後ろの単語がlから始まると、否定の”in-”は”il-”へ変化します。
il-(〜でない)+legal(合法の)
⇒合法ではない=「違法な」
●illogical
il-(〜でない)+logical(論理的な)
⇒論理的ではない=「非論理的な」
●illegible
il-(〜でない)+legible(読むことができる)
⇒読むことができない=「判読できない」
irregular・irresponsible|ir-はrの前で使う否定形
後ろの単語がrから始まると、否定の”in-”は”ir-”へ変化します。
ir-(〜でない)+regular(規則的な)
⇒規則的ではない=「不規則な」
●irrelevant
ir-(〜でない)+relevant(関連のある)
⇒関連がない=「無関係な」
●irresponsible
ir-(〜でない)+responsible(責任のある)
⇒責任がない=「無責任な」
●irreversible
ir-(〜でない)+reversible(元に戻せる)
⇒元に戻せない=「不可逆的な」
”in-”が「中に」か「否定」かを見分ける方法
同じ綴りだけを見ても意味を確定できないため、後ろのパーツと単語全体の意味を確認します。
①後ろのパーツだけの意味を確認する
⇒spect=見る、direct=まっすぐ、possible=可能な
②「中に・中へ」を付けて意味がつながるか試す
⇒in + spect=中を見る=検査する
⇒im + press=中に押す=印象を与える
③つながらなければ「〜でない」を試す
⇒in + direct=まっすぐではない=間接的な
⇒im + possible=可能ではない=不可能な
”important”の”im-”は否定ではなく、「中へ」の仲間です。語源上は”im-(中へ)+ port(運ぶ)”につながり、もともと「中へ運び込まれるほど価値や重みがある」イメージを持ちます。
要注意!”inflammable”は「燃えない」ではない
2種類の”in-”があることを知らないと、意味を反対に解釈してしまう単語があります。
代表例が”inflammable”です。
”inflammable”は、火の状態へ入れる・燃え上がらせることから、「燃えやすい」という意味です。”flammable”とほぼ同じ意味なので注意してください。
●inflammable=燃えやすい
●nonflammable / non-flammable=燃えにくい・不燃性の
否定の”in-”と”un-”の違い
”in-”と”un-”は、どちらも「〜でない」という否定を作ります。
ただし、好きな単語へ自由に付け替えられるわけではありません。
大まかな傾向としては
in- / im- / il- / ir- ⇒「ラテン語・フランス語系の単語に多い」
un- ⇒「英語本来の語や、現代英語で自由に作られた語に多い」
といった違いがあります!
| 一般的な形 | 不自然・通常使わない形 |
|---|---|
| incorrect | uncorrect |
| impossible | unpossible |
| illegal | unlegal |
| irregular | unregular |
| unhappy | inhappy |
| unfair | infair |
| unknown | inknown |
ただし、どちらを使うかを完全に予測できる単純な規則はありません。単語ごとに一般的な形を覚える必要があります。
”in- / im- / il- / ir-”の語源
見た目が同じ2種類の”in-”は、異なるラテン語のパーツに由来します。
●「中に」を表すin-
⇒ラテン語”in”(中に・中へ・上に)
⇒さらに印欧祖語の「中に」を表すパーツへつながる
●「否定」を表すin-
⇒ラテン語”in”(〜でない・反対の・欠いている)
⇒さらに印欧祖語の「not」を表すパーツへつながる
●どちらのin-も後ろの音に同化する
⇒in- / im- / il- / ir-の形になる
つまり、英語で偶然同じ綴りになったのではなく、ラテン語の段階ですでに「中に」と「否定」という2種類の”in-”が存在していました。
単語を見たら、「中に入る双子」なのか「意味を打ち消す双子」なのかを見極める感覚で覚えてくださいね。
”in- / im- / il- / ir-”を持つ関連記事
「中に・中へ・上に」を表す関連記事
inside|境界線の内側
insight|内側を見通す
inspect|中まで見る
induce|中へ導く
instruction|頭の中に積み上げる
ingredient|中に入っていくもの
invest|中へ衣服を着せる
investigate|中まで探り出す
innovation|中に新しいものを入れる
involve|中へ巻き込む
imply|中に含める
impose|上に置く
impress|心の中に押す
impression|心に押された跡
important|中へ運び込む
immigration|国の内側へ移動する
inhalation|内側へ息を吸う
insist|その場に立ち続ける
「〜でない・否定」を表す関連記事
indirect|まっすぐではない
inevitable|避けられない
inefficiency|効率的ではない
independent|依存していない
inexperience|経験がない
immune|義務・影響を免れている
immediate|間に何もない
immediately|間を置かずに
integrate|触れられておらず完全な状態へ
接頭辞”in- / im- / il- / ir-”の意味・語源・覚え方のまとめ
以下、接頭辞”in- / im- / il- / ir-”についてのまとめです。
⇒「中に・中へ・上に」
⇒「〜でない・反対の・欠いている」
●綴りは後ろの音に合わせて変化する
⇒in-:基本形
⇒im-:主にb・m・pの前
⇒il-:lの前
⇒ir-:rの前
●見分け方
⇒「中に〇〇する」で意味が通るか確認
⇒通らなければ「〇〇ではない」を試す
●覚え方のコツ
⇒「内側へ向かう矢印」と「意味を消すバツ印」の2つの映像で区別する
他の接頭辞・語根・英単語の記事も、ぜひ確認してみてくださいね!
「Merriam-Webster Dictionary:in-」
「The American Heritage Dictionary:in-」
「Online Etymology Dictionary:in- / il- / ir-」
「Merriam-Webster:Flammable / Inflammable」
「南出康世(2014), ジーニアス英和辞典 第5版, 大修館書店」