今日のテーマは接頭辞”en- / em-”!
「〜の中に入れる」「〜の状態にする」という意味を加えて、名詞や形容詞を動詞へ変えることが多いパーツです。
「外にあるものを中へ入れ、そこで新しい状態を作る」というコアイメージで覚えると、”encourage”や”enable”、”embrace”などの意味が一気につながりますよ!
”enable(可能にする)”、”encourage(勇気づける)”、”ensure(確実にする)”、”embrace(抱きしめる)”。
日本語訳だけを見ると、あまり関係のない単語に見えます。
しかし、これらには共通してen- / em-という接頭辞が含まれ、後ろの語が表す物・性質・状態を「中へ入れる」「その状態に変える」という働きをしています。
この記事では、接頭辞”en- / em-”の基本イメージ、形が変わる理由、意味の広がり、注意したい例外をまとめて解説します。
- 1 接頭辞”en-”の意味とコアイメージは「中へ入れて、その状態にする」
- 2 なぜen-はem-に変化するの?
- 3 【全体マップ】en- / em-の4つの意味の広がり
- 4 en-=「中に入れる・囲む」を持つ英単語
- 5 en-=「〜の状態にする」を持つ英単語
- 6 en-=「内側に与える・備えさせる」を持つ英単語
- 7 em-=「中に入れる・包み込む」を持つ英単語
- 8 enjoyは「喜びの中へ入れる」から「楽しむ」
- 9 en- / em-とin- / im-の違い
- 10 ギリシャ語由来のen- / em-もある
- 11 em-で始まっても、今回の接頭辞ではない単語に注意
- 12 en- / em-を見抜く3つのコツ
- 13 接頭辞”en- / em-”の意味・覚え方まとめ
- 14 接頭辞en- / em-についてよくある質問
接頭辞”en-”の意味とコアイメージは「中へ入れて、その状態にする」
接頭辞”en-”は、名詞や形容詞などの前に付いて「中に入れる」「上に置く」「〜の状態にする」「〜を与える」という意味を作るパーツです。
中心にあるイメージは次の通りです。
人や物の内側へ何かを入れ、そこで新しい状態を作る
⇒場所・囲いの「中に入れる」
⇒性質や状態を与えて「〜にする」
⇒力・権利・能力などを「備えさせる」
⇒対象を覆い「包み込む」
何かを人や物の中へ入れれば、その人や物は入れたものを持つ新しい状態になりますよね。
勇気を中へ入れれば”encourage(勇気づける)”、能力を持つ状態にすれば”enable(可能にする)”になるわけです。
なぜen-はem-に変化するの?
em-は、en-と同じ働きを持つ変化形です。
後ろにb・m・pなど、唇を使って発音する音が続くとき、発音しやすいようにnの音がmへ近づき、em-になることがあります。
| 形 | 主に続く音 | 代表例 | 基本イメージ |
|---|---|---|---|
| en- | 多くの子音 | enable / encourage / ensure | 中に入れる・〜にする |
| em- | b・m・pなど | embrace / embody / empower | 中に入れる・〜にする |
”en + power”よりも”em + power”の方が、唇の動きが自然につながります。
en-とem-は、見た目が違っても基本的には同じ仲間と覚えてくださいね。
【全体マップ】en- / em-の4つの意味の広がり
| 意味のグループ | コアイメージ | 代表例 | 主な意味 |
|---|---|---|---|
| 中に入れる・囲む | 物を内側へ入れ、外から包む | enclose / encircle / embrace | 同封する・囲む・抱きしめる |
| 〜の状態にする | 性質を与え、状態を変える | enable / enrich / ensure | 可能にする・豊かにする・確実にする |
| 与える・備えさせる | 力・勇気・権利などを中へ入れる | encourage / empower / endow | 勇気づける・権限を与える・授ける |
| 完全に包む・動作を強める | 対象全体を内側へ取り込む | entangle / enclose / engulf | 絡ませる・閉じ込める・のみ込む |
en-=「中に入れる・囲む」を持つ英単語
最も視覚的に理解しやすいのが、物を囲いの中へ入れたり、周囲を取り囲んだりするen-です。
●enclose=en-(中に)+close(閉じる)
⇒閉じた空間の中へ入れる=「囲む・同封する」
●encircle=en-(中へ・周りに)+circle(円)
⇒円の内側へ入れるように周囲を囲む=「取り囲む」
●entomb=en-(中に)+tomb(墓)
⇒墓の中へ入れる=「埋葬する・閉じ込める」
●enshrine=en-(中に)+shrine(聖堂・神聖な場所)
⇒大切なものを聖堂の中へ納める=「祭る・大切に保存する」
●entrap=en-(中に)+trap(わな)
⇒わなの中へ入れる=「わなにかける」
封筒の中へ書類を入れて閉じる場面を考えると、”enclose a document”=「書類を同封する」という意味も自然に理解できますよ。
en-=「〜の状態にする」を持つ英単語
en-は、名詞や形容詞の前に付いて、後ろの言葉を「その状態にする」という動詞へ変えることがあります。
●enable=en-(〜にする)+able(できる)
⇒できる状態にする=「可能にする」
●enrich=en-(〜にする)+rich(豊かな)
⇒豊かな状態にする=「豊かにする・充実させる」
●ensure=en-(〜にする)+sure(確実な)
⇒確実な状態にする=「確実にする・保証する」
●enhance=en-(〜にする・高める)+hance(高くする)
⇒さらに高い状態に引き上げる=「高める・向上させる」
●enlarge=en-(〜にする)+large(大きい)
⇒大きい状態にする=「拡大する」
→ enableの意味・使い方を詳しく見る
→ ensureの意味・使い方を詳しく見る
→ enhanceの意味・使い方を詳しく見る
enable / ensure / enhanceの違い
3語とも「〜の状態にする」というen-を持ちますが、作り出す状態が違います。
enable⇒できる状態にする=可能にする
ensure⇒間違いなく確実な状態にする=確実にする
enhance⇒今より価値・性能が高い状態にする=高める
能力ならenable、確実性ならensure、品質や効果の高さならenhanceと、後ろのパーツを見れば使い分けられますよ。
en-=「内側に与える・備えさせる」を持つ英単語
人や組織の内側へ、勇気・権利・価値などを入れるイメージです。
●encourage=en-(中に入れる)+courage(勇気)
⇒心の中へ勇気を入れる=「励ます・勇気づける」
●endow=en-(中に)+dow(与える)
⇒人や組織の中へ価値あるものを与える=「授ける・寄付する」
●endowment=en-+dow+-ment
⇒中へ与えられたもの・その結果=「寄付基金・天賦の才能」
●entrust=en-(中へ・〜に)+trust(信頼)
⇒信頼の中へ相手を置く=「任せる・委ねる」
●engage=en-(中へ)+gage(誓約・担保)
⇒誓約の中へ入れて結び付ける=「従事させる・関与させる」
→ encourageの意味・使い方を詳しく見る
→ endowmentの意味・使い方を詳しく見る
→ engageの意味・使い方を詳しく見る
「励ます」という日本語だけでなく、相手の内側へ勇気を注ぎ込む場面を覚えておけば、意味が記憶に残りやすくなります。
em-=「中に入れる・包み込む」を持つ英単語
em-はen-の変化形として、主にb・m・pなどの前に現れます。
●embrace=em-(中に)+brace(両腕)
⇒両腕の中へ相手を入れる=「抱きしめる・受け入れる」
●embody=em-(中に)+body(身体・形)
⇒考えや性質を身体という形の中へ入れる=「具現化する・体現する」
●empower=em-(中に・与える)+power(力)
⇒人の中へ力や権限を与える=「権限を与える・力づける」
●embitter=em-(〜にする)+bitter(苦い)
⇒苦々しい状態にする=「憤慨させる・つらい気持ちにする」
●embed=em-(中に)+bed(土台・床)
⇒土台の中へしっかり入れる=「埋め込む」
embrace|腕の中へ入れるから「考えを受け入れる」にもなる
”embrace”は、物理的に人を抱きしめるだけでなく、考え方・変化・文化などを心の内側へ受け入れる場合にも使います。
【例文】
She embraced her child tightly.
(彼女は子どもを強く抱きしめた。)The company embraced new technology.
(その会社は新しい技術を積極的に受け入れた。)
物理的な「腕の中」と、抽象的な「心の中」が同じイメージでつながっているんですよ。
enjoyは「喜びの中へ入れる」から「楽しむ」
”enjoy”も、サイト内で扱っている重要なen-の仲間です。
en-(中へ・〜にする)+joy(喜び)と考えると、対象を喜びの中へ入れる、または自分が喜びの状態に入るイメージから「楽しむ」につながります。
en-=喜びの中へ入る・喜びの状態にする
+
joy=喜び
⇒目の前の体験を、心の中で喜びとして味わう
⇒「楽しむ」
en- / em-とin- / im-の違い
en- / em-とin- / im-は歴史的に近い関係を持ち、どちらも「中に・中へ」というイメージを表す場合があります。
ただし、英単語を学ぶ際には次のように整理すると分かりやすいです。
| 接頭辞 | よく見られる働き | 代表例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| en- / em- | 名詞・形容詞を「〜にする」という動詞にする | enable / enrich / empower | 主にフランス語を経た形や英語で作られた語に多い |
| in- / im- | 中へ入れる・上に置く | invest / impose / implement | ラテン語系の語で多く見られる |
| in- / im- | 否定「〜でない」 | inactive / impossible | 「中に」のin-とは別の意味がある |
→ investの意味・使い方を詳しく見る
→ imposeの意味・使い方を詳しく見る
→ implementの意味・使い方を詳しく見る
同じin- / im-の形でも、「中に」と「〜ではない」の2系統があります。
後ろの単語と組み合わせて、全体の意味が自然になる方を選びましょう。
ギリシャ語由来のen- / em-もある
英語には、フランス語・ラテン語系の動詞を作るen- / em-だけでなく、ギリシャ語のen=「中に」に由来する語もあります。
●energy
⇒en(中に)+erg(働く・仕事)
⇒内側で働く力=「エネルギー」
●enthusiasm
⇒en(中に)+theos(神)
⇒神が心の中に入ったような熱狂状態=「熱意・熱狂」
●emphasis
⇒em(中に)+pha(現す・見せる)
⇒重要な点を目立つ形で示す=「強調」
→ energeticの意味・使い方を詳しく見る
→ energeticallyの意味・使い方を詳しく見る
→ enthusiasmの意味・使い方を詳しく見る
→ enthusiasticallyの意味・使い方を詳しく見る
→ emphasisの意味・使い方を詳しく見る
→ emphasizeの意味・使い方を詳しく見る
学習するときは同じコアイメージで結び付けつつ、厳密な語源を確認するときはフランス語・ラテン語系なのか、ギリシャ語系なのかを区別すると正確ですよ。
em-で始まっても、今回の接頭辞ではない単語に注意
語頭に”em”が見えても、すべてがen-の変化形として「中に入れる」を表すわけではありません。
●emit
⇒e-(外へ)+mit(送る)という系統で、「中に入れる」のem-ではない
●emerge
⇒中から外へ現れる意味を持ち、e- / ex-系の成り立ち
●emotion
⇒歴史的には「外へ動かす」系統で、em-(中に入れる)と単純分解しない
●empire / empirical
⇒語頭がemでも、今回の接頭辞em-+英単語という単純な構成ではない
→ emitの意味・使い方を詳しく見る
→ empireの意味・使い方を詳しく見る
→ empiricalの意味・使い方を詳しく見る
接頭辞は意味を推測する強力なヒントですが、最終的には単語ごとの語源を確認することが大切です。
en- / em-を見抜く3つのコツ
1.後ろに名詞・形容詞が隠れていないか探す
able、rich、sure、courage、power、bodyなど、単独でも意味を持つパーツが後ろにあれば、en- / em-が動詞を作っている可能性があります。
2.「中へ入れる」と「〜にする」の両方を試す
encourageなら「勇気を中へ入れる」、enableなら「できる状態にする」と、自然になる方のイメージを使います。
3.em-の後ろにb・m・pがあるか確認する
embrace、embody、empowerのように、唇を使う音の前ではen-がem-へ変化しやすくなります。
答えが見つかれば、丸暗記せずに意味を組み立てられますよ!
接頭辞”en- / em-”の意味・覚え方まとめ
⇒「中に入れる・〜の状態にする」
●コアイメージ
⇒「外にあるものを中へ入れ、そこで新しい状態を作る」
●「中に入れる・囲む」の例
⇒enclose / encircle / entomb / embrace
●「〜の状態にする」の例
⇒enable / enrich / ensure / enhance
●「与える・備えさせる」の例
⇒encourage / empower / endow / entrust
●em-はen-の変化形
⇒b・m・pなどの前で現れやすい
●ギリシャ語由来のen- / em-もある
⇒energy / enthusiasm / emphasis
●すべてのen・emで始まる単語が同じ接頭辞を持つわけではない
⇒emit / emerge / emotion / empireなどに注意
能力を入れればenable、勇気を入れればencourage、力を入れればempower、腕の中へ入れればembraceです。
この「中へ入れて状態を変える」という一本のイメージから、たくさんの英単語を芋づる式に覚えられますよ!
接頭辞en- / em-についてよくある質問
en-とem-の意味は同じですか?
基本的には同じです。どちらも「中に入れる」「〜の状態にする」を表します。em-は、後ろにb・m・pなどの音が続く際に、発音しやすい形へ変化したものとして現れます。
en-は名詞や形容詞を動詞にできますか?
はい。ableからenable、richからenrich、powerからempowerのように、後ろの語を「〜にする」「〜を与える」という動詞へ変えることがあります。
en-とin-は同じ接頭辞ですか?
歴史的には近い関係を持ち、どちらも「中に・中へ」を表す場合があります。ただし、英語では綴りや使われる単語が異なり、in- / im-には「〜ではない」という否定の用法もあります。
emで始まる単語はすべて接頭辞em-を持ちますか?
いいえ。emit、emerge、emotionなどは、今回の「中に入れる」を表すem-へ単純に分解できません。単語ごとの語源確認が必要です。
en-のコアイメージを一言で表すと何ですか?
「外にあるものを中へ入れ、そこで新しい状態を作る」です。「中に入れる」と「〜にする」を別々に暗記せず、一続きの変化として覚えると理解しやすくなります。
「Merriam-Webster.com Dictionary, en- / em-」
「Dictionary.com, en-」
「Online Etymology Dictionary, en- / em-」
「南出康世(2014), ジーニアス英和辞典 第5版, 大修館書店」