混同しやすいスペイン語の動詞ペア4組|使い分けの軸は「話し手の立ち位置」

コダック
今日はスペイン語の「混同しやすい動詞ペア」を4組まとめて整理しますよ!

saber / conocerpedir / preguntarllevar / traersalir / irse の4組です。

この4組、実はバラバラの暗記事項ではなく、たった1つの仕組みの4つの現れ方なんです。そこが見えると一気に楽になりますよ!

4組いっぺんは多くない? 1個ずつ覚えるだけでも大変なのに。
コダック

それが逆なんです!

1組ずつ「saber は事実、conocer は人」と丸暗記していくと、8個の使い方を別々に覚えることになります。でも共通の軸を先に握ってしまえば、覚えるのは軸1本と、その4つの応用だけで済みますよ!

スペイン語は「対象」ではなく「話し手の立ち位置」で動詞を選ぶ

まず、この記事全体を貫く1本の柱を先に出してしまいます。

スペイン語は、動詞を選ぶときに「その動作が何に向かうか」だけでなく、「話し手がどこに立っているか」「話し手が欲しいのは何か」まで動詞そのものに含める言語です。

たとえば英語の know は、事実を知っていても、人と面識があっても、同じ1語です。ask も、質問するときと物を頼むときで区別しません。bringleave も同じで、英語は話し手の位置情報を動詞に入れません

スペイン語は入れます。だから同じ場面で動詞が2つに割れるわけです。

コダック

つまり、スペイン語が難しいのではなく、英語が情報を落としているだけなんですね!

そして面白いのが、日本語は英語より「スペイン語寄り」の場面が多いということ。だから日本語話者には、実は有利な組があるんですよ!

日本語話者の難易度マップ:本気で紙面を割くべきなのは1組だけ

4組を全部同じ重さで勉強する必要はありません。日本語にすでに同じ区別があるかどうかで、負担がまったく違うからです。先に地図を出します。

日本語話者にとっての4組の難易度

llevar / traerほぼ無料でもらえる。日本語の「持っていく/持ってくる」がまったく同じ仕組み
pedir / preguntar軽い。日本語の「頼む」と「聞く・質問する」に対応している
salir / irseやや注意。「家を出る」と「もう行くね」で説明はつくが、Voy と Me voy の差は日本語からは見えない
saber / conocerここが本命。日本語の「知っている」が両方を飲み込んでいるので、conocer という概念自体が新しい

そっか、全部が同じ難しさじゃないんだね。「持っていく/持ってくる」はたしかに普通に使い分けてるや。
コダック

そうなんです!英語話者はここで必ずつまずくんですが、日本語話者は「持っていく」と「持ってくる」を意識せずに言い分けていますよね。

だから llevar / traer は「新しく覚える」のではなく「日本語の感覚をそのままスペイン語の単語に貼り替えるだけ」。ここは軽く通過して、saber / conocer に時間を使いましょう!

【1組目】saber / conocer ― 日本語の「知っている」が2つに割れる

4組のうち、日本語話者が一番外すのがこの組です。理由ははっきりしていて、日本語の「知っている」が saber の守備範囲と conocer の守備範囲をまとめて飲み込んでいるから。「彼を知っている」と言うとき、日本語は面識があるのか、名前だけ知っているのかを区別しません

スペイン語は区別します。

「彼を知っている」が2つに割れる

Lo conozco.
(会ったことがある。知り合いです。)
Sé quién es.
(名前は知っている。誰なのかは分かる。=会ったことはない)

日本語でも、よく考えると「知り合いです」と「名前は知ってます」は言い分けています。スペイン語はその差を動詞そのもので出す、というだけの話です。

saber / conocer の1問判定
そのあとに続くのが「事実・やり方」なら saber「人・場所・作品」なら conocer

saber は Sé que vive aquí.(彼がここに住んでいるのは知っている)のように事実を、No sé dónde está.(どこにいるか知らない)のように疑問詞を、Sé nadar.(泳げる)のようにできることを受けます。

conocer は Conozco a Ana.(アナと知り合いです)、¿Conoces Madrid?(マドリードに行ったことある?)、Conozco esa canción.(その曲、知ってる)のように接触した経験を表します。

コダック

この組にはもう1つ大きな落とし穴があって、点過去にすると意味がずれます

supe は「知っていた」ではなく「知った・分かった」conocí は「知っていた」ではなく「初めて会った」。現在形の意味のまま過去にすると必ず外しますよ!

saber と conocer の違いを詳しく見る(点過去のズレ・前置詞 a・「〜の味がする」の saber まで)

【2組目】pedir / preguntar ― 返ってくるのがモノか、情報か

この組は日本語話者には軽めです。日本語がすでに「頼む」と「聞く・質問する」を分けているからです。

pedir / preguntar の1問判定
返ってくるのが「モノ・行為」なら pedir「情報」なら preguntar

【pedir:モノ・行為が返ってくる】
・Pedí un café.
(コーヒーを注文した。)
・Le pedí ayuda.
(彼に助けを求めた。)

【preguntar:情報が返ってくる】
・Le pregunté la hora.
(彼に時間を聞いた。)
・Preguntó si estabas en casa.
(彼は君が家にいるかどうか尋ねた。)

注意したいのはレストランの注文です。日本語の「聞く」に引きずられそうになりますが、注文は必ず pedirpedir la cuenta(お会計をお願いする)も pedir です。

「質問する」は preguntar なんだよね? じゃあ「質問をする」は preguntar una pregunta ってこと?
コダック

そこ、みんな一度は通る道です!でも × preguntar una pregunta は言いません。

正しくは hacer una pregunta(質問を「する」)。動詞と名詞がほぼ同じ形で重なってしまうので、hacer を使うんですよ!

pedir と preguntar の違いを詳しく見る(pedir que + 接続法・preguntar por・語幹母音変化まで)

【3組目】llevar / traer ― 日本語の「持っていく/持ってくる」そのまま

ここは日本語話者の得意分野です。日本語の「〜ていく/〜てくる」は、話し手を基準にして方向を決めます。スペイン語の llevar / traer もまったく同じ仕組みなので、対応表を1つ見れば終わります。

llevar / traer は日本語と同じ

llevar ⇒ ここ → あそこ(基準点から離れる)= 日本語の「持っていく」
traer ⇒ あそこ → ここ(基準点に近づく)= 日本語の「持ってくる」

Tráemelo.
(それ、こっちに持ってきて。)
Llévaselo.
(それ、あの人のところに持っていって。)

コダック

日本語話者なら、この2文はもう感覚で分かるはずです!

ただし llevar は意味がとても広いのが要注意ポイント。「着ている」「(料理に)入っている」「〜年やっている」まで llevar が担当しますよ!

llevar と traer の違いを詳しく見る(基準点の移動・llevar の多義・traigo / traje まで)

【4組目】salir / irse ― 「家を出る」と「もう行くね」

この組は、何を言いたいかで決まります。「どこから出るか」を言いたいなら salir「もう行く」と伝えたいなら irse です。

Salgo de casa a las ocho.
(8時に家を出ます。= 家という空間から外へ)
Me voy.
(もう行くね。= この場を離れる)

飲み会や集まりを抜けるときに × Salgo. とだけ言っても「もう帰るね」にはなりません。それは Me voy. です。

なんで Voy じゃなくて Me voy なの? どっちも「行く」だよね?
コダック

いい質問です!ここが日本語からは一番見えにくいところなんですよ。

Voy「どこへ」が要る言い方(Voy a casa. 家に行く)。
Me voy行き先を言わずに「ここを離れる」ことだけを言う形。再帰代名詞の me が「この場からの離脱」を担当しているんです!

salir と irse の違いを詳しく見る(Voy と Me voy の差・salir の多義・Vete / Vámonos まで)

4組を1本の軸に束ねる

ここまで見てきた4組を並べ直すと、分かれ方の軸が全部同じ方向を向いていることが分かります。

4組の分かれ方の軸

saber / conocer知識への接触があるか(情報を持っている/会った・行った・触れた)
pedir / preguntar求めているものの種類(モノ・行為/情報)
llevar / traer空間の基準点(離れる/近づく)
salir / irse空間の基準点(中から外へ/ここから去る)

⇒ どれも「話し手を中心に据える」と一発で決まる

llevar / traer と salir / irse は話し手が空間のどこにいるか。saber / conocer は話し手がその対象に触れたことがあるか。pedir / preguntar は話し手が何を欲しがっているか

視点が違うだけで、すべて話し手が判断の中心にいます

そっか、動詞を見て決めるんじゃなくて、自分がどこに立ってるかを先に決めるんだね。
コダック

その通りです!まさにそれがこの4組の攻略法ですよ!

だから「know = saber」のように訳語で覚えてはいけません。訳語で覚えると conocer が一生使えるようになりません。訳ではなく軸で選ぶ——これだけ守ってください!

活用の落とし穴は「yo の形」に集中している

意味の使い分けが分かっても、口から出てこなければ意味がありません。この4組は1人称単数(yo)だけが不規則という共通点があるので、そこだけ先に固めてしまいましょう。

yo の形だけ覚えれば8割終わる

saber ⇒ (× sabo)
conocer ⇒ conozco(-zco 型)
traer ⇒ traigo/点過去は traje(× traí)
salir ⇒ salgo

+ pedir は語幹母音が変化:pido, pides, pide, pedimos, pedís, piden(preguntar は完全規則)
+ irse は再帰代名詞が必須:me voy, te vas, se va, nos vamos, os vais, se van

コダック

見てください、sé / conozco / traigo / salgo「yo だけ変な形」がきれいに揃っていますよね!

tú 以降はほぼ規則どおりなので、この4つを声に出して覚えてしまうのが一番の近道ですよ!

この4組でやりがちな間違い

最後に、実際によく起きる誤りを4つだけ挙げておきます。どれも訳語で覚えたことが原因で起きるものです。

× preguntar una pregunta
⇒ 正しくは hacer una pregunta(質問をする)

× No conozco. を「知りません」の万能返事に使う
⇒ 事実を知らないなら No sé.。conocer は「面識がない」の意味になってしまう

× Te llevo un regalo. を「プレゼント持ってきたよ」の意味で使う
⇒ 相手のいる場所に近づくなら Te traigo un regalo.

× Salgo. だけで「もう帰るね」
⇒ それは Me voy.。salir は「どこから出るか」が主題

全部「日本語だと同じ言い方だから」でやっちゃうやつだ…。気をつけないとな。
コダック

まさにそこなんです!でも逆に言えば、「日本語だとどっちも同じになる場面」だけ警戒すればいいということ。

llevar / traer のように日本語がすでに区別している組は、そもそも間違えません。だから警戒すべき場所ははっきりしていますよ!

混同しやすいスペイン語の動詞ペア4組・まとめ

以下、この記事のまとめです。

●スペイン語は「話し手の立ち位置」と「欲しいものの種類」を動詞そのものに入れる言語
⇒ 4組は別々の暗記事項ではなく、同じ1つの仕組みの4つの現れ方
●日本語話者は llevar / traer(持っていく/持ってくる)と pedir / preguntar(頼む/聞く)が母語にあるので有利
⇒ 時間を割くべきは saber / conocer。日本語の「知っている」が両方を飲み込んでいる
●1問判定:saber=事実・やり方/conocer=人・場所・作品、pedir=モノ・行為/preguntar=情報、traer=近づく/llevar=離れる、salir=どこから出るか/irse=もう行く
●活用は sé / conozco / traigo / salgo の yo と、pedir の pidoirse の me voy に絞る
訳語で覚えない。「know = saber」で覚えると conocer が一生出てこない

各ペアの詳しい使い分けは、それぞれの記事で扱っています。

参考文献
「SpanishDictionary.com “Saber” vs. “Conocer”(https://www.spanishdict.com/guide/saber-vs-conocer)」
「SpanishDictionary.com “Llevar” vs. “Traer” in Spanish(https://www.spanishdict.com/guide/llevar-vs-traer-in-spanish)」
「Real Fast Spanish, Pedir vs Preguntar(https://www.realfastspanish.com/vocabulary/pedir-vs-preguntar)」
「Lingoda, ‘Ir’ vs. ‘irse’: What’s the difference?(https://www.lingoda.com/blog/en/ir-vs-irse/)」