ser/estarで意味が変わるスペイン語の形容詞11選|listo・aburrido・rico・verdeを辞書で確認

コダック
今日のテーマは、serとestarで意味そのものが変わってしまう形容詞です!

スペイン語には、同じ単語なのに、前に置く動詞を変えるだけで別の意味になる形容詞のグループがあります。

ニュアンスがちょっと変わる、というレベルではありません。「賢い」が「準備できた」になり、「金持ち」が「おいしい」になるくらい、がらっと変わります。

えっ、金持ちとおいしいって、間違えたらとんでもないことになりそうなんだけど…!
コダック

まさにその通りで、ここは実害が出るポイントなんです(笑)。

でも安心してください。意味が変わる方向には、きれいな法則があります。今日はその法則ごと持って帰ってもらいますよ!

なぜ同じ形容詞で意味が変わるのか

この現象、実はスペイン語の気まぐれではありません。serとestarの役割分担がそのまま形容詞に反映されているだけなんです。

意味が変わるときの法則

ser + 形容詞 ⇒ その人・物が「どういう種類のものか」を言う
= 変わらない特徴、プロフィールに書ける性質

estar + 形容詞 ⇒ その人・物が「今どうなっているか」を言う
= 何かの結果としての、今この場の状態

RAEの『スペイン語誤用辞典(Diccionario panhispánico de dudas)』には、この分岐がはっきり記されています。同辞典は、estarとserの使い分けを説明したうえで、こう続けます。

「一方で、どちらの動詞を使うかによって属性の意味に変化が生じる場合が存在する。たとえば Juan es listo[=賢い]と Juan está listo[=準備ができている]は同じことを意味しない」

※参考・要約「Real Academia Española y ASALE, Diccionario panhispánico de dudas, s.v. estar(se)

辞書にちゃんと「同じことを意味しない」って書いてあるんだ。じゃあ本当に別の単語みたいなものだね。
コダック

はい。しかもser側の意味とestar側の意味には、うっすら共通点があることが多いんです。

たとえば listo なら、どちらも「用意が整っている」感じ。頭の中が整っていれば「賢い」、身支度が整っていれば「準備完了」。

この「元をたどると同じ」感覚を掴むと、暗記がぐっと楽になりますよ!

意味が大きく変わる4大形容詞

まずは、初級のうちに必ず出会う4語からいきましょう。この4つは間違えると意味が通じなくなるので、優先的に覚えてください。

1. listo:賢い / 準備ができた

いちばん有名な例がこれです。RAEの辞書を引くと、listo には「Apercibido, preparado, dispuesto para hacer algo(心構えができた、準備された、何かをする用意がある)」という語義と、「Sagaz, avisado(明敏な、抜け目のない)」という語義が別々に立っています。

Carlos es listo.
「カルロスは頭がいい」⇒ 彼の能力・性質

Carlos está listo.
「カルロスは準備ができている」⇒ 今の状態。出かけられる、始められる

listoの例文

・Mi sobrina es muy lista para su edad.
(姪は年齢のわりにとても賢い。)
・¿Estás lista? El taxi ya ha llegado.
(準備できた?タクシーもう来てるよ。)
・La cena está lista.
(夕食の用意ができました。)

「¿Estás listo?」ってめちゃくちゃ日常で使いそう。これを「あなたは賢いですか?」って言っちゃったら気まずいな…。

2. aburrido:退屈な / 退屈している

これは「する側」か「される側」かが入れ替わるタイプです。日本語話者が最も間違えやすい形と言えます。

RAEの辞書で aburrido を引くと、形容詞としての語義は「Que causa aburrimiento(退屈を引き起こす)」のみ。つまりser aburrido は「退屈させる側」です。

一方、動詞 aburrir の再帰用法(aburrirse)には「刺激や娯楽、気晴らしの不足によって生じる心理状態に陥る」という語義があり、その結果としての状態が estar aburrido——つまり「退屈させられている側」になります。

La película es aburrida.
「その映画はつまらない」⇒ 映画そのものの性質

Estoy aburrido.
「私は退屈している」⇒ 私の今の気分

コダック

ここ、うっかり Soy aburrido と言ってしまう人が本当に多いんです。

「暇だなあ」のつもりで言ったのに、意味は「私はつまらない人間です」。ちょっと切ない自己紹介になってしまいます…!

日本語で考えると分かりやすいですよ。「退屈だ」なら ser、「退屈している」なら estar。ここでも「〜ている」が目印です。

aburridoの例文

・Esa conferencia fue muy aburrida.
(あの講演はとても退屈だった。)
・Los niños están aburridos porque llueve.
(雨なので子どもたちは退屈している。)
・No soy aburrido, solo estoy callado hoy.
(私はつまらない人間じゃない、今日は静かにしているだけだ。)

3. rico:金持ちの / おいしい

RAEの辞書には rico の語義として「Adinerado, hacendado o acaudalado(裕福な、財産のある)」と、「Gustoso, sabroso, agradable(味のよい、風味のある、心地よい)」が並んで載っています。

Mi vecino es rico.
「隣人は金持ちだ」⇒ 人の経済状態=その人の属性

La tortilla está rica.
「このトルティージャはおいしい」⇒ 食べてみた今の感想

じゃあ食事に出されたものに「Es rico」って言ったらどうなるの?
コダック

実は食べ物なら es rico も言えるんですが、意味が変わります!

El jamón ibérico es muy rico. なら「イベリコハムというものは(一般に)とてもおいしい」という一般論。

Este jamón está muy rico. なら「この(今食べている)ハム、すごくおいしい」という、目の前の一皿への感想です。

食卓で相手を喜ばせたいなら、estar のほうを選びましょう!

4. verde:緑色の / 熟していない

色の verde と、果物の verde です。RAEの辞書には「De color verde(緑色の)」のほかに、「Dicho especialmente de un fruto: Que aún no está maduro(とくに果実について:まだ熟していない)」、さらに「Dicho de una persona: Inexperta y poco preparada(人について:経験不足で準備ができていない)」という語義が並んでいます。

El semáforo es verde.La puerta es verde.
「その信号は/ドアは緑色だ」⇒ 塗られた色=物の属性

El plátano está verde.
「そのバナナはまだ熟していない」⇒ 今の熟し具合

El nuevo empleado está muy verde todavía.
「新入社員はまだ経験不足だ」⇒ 今の習熟度

あ、日本語でも「あいつはまだ青い」って言うよね!色と未熟がつながってるの、同じ発想だ。
コダック

まさにその通り!日本語の「青二才」「まだ青い」と発想が完全に一致しています。

ちなみに están verdes という形は、RAEの辞書に成句として独立して載っています

意味は「手に入らないものを、さも興味がないふりをしている人をからかうときに使う」。イソップ寓話の「すっぱいブドウ」のキツネですね!

覚えておきたいその他の重要形容詞

ここからは、4大形容詞ほど有名ではないものの、会話で普通に出てくる語をまとめて押さえます。

5. vivo:抜け目のない / 生きている

RAEの辞書には vivo の語義として「Que tiene vida(命のある)」と、「Listo, que aprovecha las circunstancias y sabe actuar en beneficio propio(状況を利用し、自分の利益のために動ける、抜け目のない)」が載っています。

Ese chico es muy vivo.「あの子はすごく抜け目がない/要領がいい」
El pájaro todavía está vivo.「その鳥はまだ生きている」

6. despierto:聡明な / 目が覚めている

RAEの辞書は despierto を「Avisado, advertido, vivo(機転の利く、聡明な)」と定義しています。一方、動詞 despertar(目を覚ます)の過去分詞としての「目覚めている」状態は estar と組みます。

Tu hija es muy despierta.「お嬢さんはとても聡明だ」
¿Estás despierto?「起きてる?」

7. malo:悪い・下手な / 病気の・傷んだ

これは実用度が非常に高い一語です。RAEの辞書には malo の語義として、単独で「enfermo(病気である)」が立項されており、さらに「Dicho de una cosa: Deteriorada o estropeada(物について:劣化した、傷んだ)」という語義には El pescado está malo(その魚は傷んでいる)という例文が添えられています。

Ese jugador es malo.「あの選手は下手だ」
Mi abuelo está malo.「祖父は具合が悪い」
La leche está mala.「その牛乳は傷んでいる」
「es malo」だと人格や実力の話で、「está malo」だと体調か鮮度の話になるのか…。これは知らないと事故りそう。

8. bueno:良い・善良な / 健康な・おいしい

malo の裏返しです。辞書には bueno の語義として「sano(健康である)」と、「Dicho de una cosa: No deteriorada y que puede servir(物について:劣化しておらず、まだ使える)」が載っており、後者には Este vestido todavía está bueno(このワンピースはまだ着られる)という例文が付いています。

Mi jefe es muy bueno.「上司はとても善良な人だ」
Ya estoy bueno.「もう(病気が治って)元気だ」
El gazpacho está buenísimo.「このガスパチョは絶品だ」

9. nuevo:新品の / 新品同様の

ここは差が繊細で、しかも面白い一語です。RAEの誤用辞典が、まさにこの語を例に挙げています。

La moto es nueva.
「そのバイクは新車だ」⇒ まだ一度も使われていない

La moto está nueva.
「そのバイクは新品同様だ」⇒ 使ってはいるが、そう見えない

※RAE『スペイン語誤用辞典』estar(se) の項に基づく

コダック

中古車を褒めるときに ¡Está como nueva!(新品みたい!)と言うのは、この estar の感覚そのものです。

ser は「事実としてどうか」、estar は「見た目・体感としてどうか」。この対比は、他の形容詞にも応用が利きますよ!

10. orgulloso:高慢な / 誇りに思っている

RAEの辞書は orgulloso を「orgullo(誇り/高慢)を持つ、感じる」と定義し、類義語としてポジティブ側(satisfecho, ufano, contento=満足した)ネガティブ側(soberbio, engreído, vanidoso=傲慢な、うぬぼれた)の両方を挙げています。この2つの顔を振り分けるのが ser と estar です。

Es muy orgulloso y nunca pide perdón.
「彼はとても高慢で、決して謝らない」⇒ 性格

Estoy orgulloso de ti.
「私は君を誇りに思う」⇒ 今の気持ち。de がよく付くのが目印

11. seguro:安全な・確実な / 確信している

辞書には seguro の語義として「Libre y exento de riesgo(危険がない、安全な)」「Cierto, indubitable(確実な)」と、「Dicho de una persona: Que no siente duda(人について:疑いを感じていない)」が別々に立っています。最後の語義には Está segura DE ello(彼女はそれを確信している)という例が付いています。

Este barrio es seguro.「この地区は安全だ」
No estoy seguro de la respuesta.「答えに自信がない」

一覧表でまとめて確認

listo:ser=賢い / estar=準備ができた
aburrido:ser=退屈な(つまらない) / estar=退屈している
rico:ser=金持ちの / estar=おいしい
verde:ser=緑色の / estar=未熟な
vivo:ser=抜け目のない / estar=生きている
despierto:ser=聡明な / estar=目が覚めている
malo:ser=悪い・下手な / estar=病気の・傷んだ
bueno:ser=良い・善良な / estar=健康な・おいしい
nuevo:ser=新品の / estar=新品同様の
orgulloso:ser=高慢な / estar=誇りに思っている
seguro:ser=安全な・確実な / estar=確信している

こうして並べると、estar側はぜんぶ「今のこと」だね。準備できてる、退屈してる、生きてる、確信してる…全部「今」だ!
コダック

見事な整理です、その通り!

11個を丸暗記しなくても、「その人・その物の説明」なら ser、「今この瞬間のこと」なら estarという原則さえ握っていれば、初見の形容詞でもかなり当てられます。

迷ったら「日本語にしたとき『〜ている』が付くか」を試してみてください。付くなら estar です!

おまけ:Estás listo. には皮肉の用法もある

コダック

最後に、辞書を読んでいて見つけた面白い記述を紹介させてください!

RAEの辞書には estar の語義として、「ある種の形容詞や過去分詞とともに用いて、それらが意味することの反対を皮肉に表現する」という項目があり、そこに挙げられている例文がなんと Estás listo. なんです。

えっ、「準備できてるね」が皮肉になるの?どういうこと?

同じ辞書には、成句として estar listo, ta alguien が独立して載っており、その意味は「その人の目論見や期待が外れるだろうという確信を表すのに用いる」と説明されています。

つまり文脈によっては、Estás listo. が「準備できたね」ではなく「そりゃ残念だったね/甘いよ」という意味になるということです。

コダック

初学者のうちは無理に使う必要はありません。ただ「言われたときに真に受けないで済む」という意味で、知っておくと役に立ちます。

一つの形容詞が、動詞と文脈でここまで表情を変える。ser/estarの使い分けは、単なる文法規則ではなく「意味を作る装置」なんですね!

ser/estarで意味が変わる形容詞のまとめ

以下、この記事の内容のまとめです。

●スペイン語には、serと組むかestarと組むかで意味そのものが変わる形容詞がある
⇒ RAE『スペイン語誤用辞典』も「Juan es listo と Juan está listo は同じことを意味しない」と明記

●変化の方向には法則がある
ser+形容詞=その人・物がどういう種類のものか(性質・分類)
estar+形容詞=その人・物が今どうなっているか(状態・結果)

●最優先で覚える4語
⇒ listo(賢い/準備できた)、aburrido(つまらない/退屈している)、rico(金持ち/おいしい)、verde(緑色/未熟)

●判定のコツ
⇒ 日本語にして「〜ている」が付くなら estar

コダック
今回は「形容詞の意味が変わる」というテーマに絞って解説しました。
ser と estar のしくみそのものを整理したい方は、下の総まとめ記事もあわせてどうぞ!

【総まとめ】スペイン語のserとestarの違い|be動詞が2つに割れる理由

参考文献
「Real Academia Española, Diccionario de la lengua españolalistoaburridoaburrirricoverdevivodespiertomalobuenoorgullososeguroestar)」
「Real Academia Española y ASALE, Diccionario panhispánico de dudas, 2.ª ed.(https://www.rae.es/dpd/estar)」