güey(ウェイ)の意味とは?wey・weとの違いと発音・語源をスペイン語初心者向けに解説

コダック

今日のスペイン語(メキシコ)は”güey”

メキシコの映画やドラマ、YouTubeを観ていると、5秒に1回くらいのペースで聞こえてくる、あの「ウェイ」です。

もともとは「buey(去勢された牛)」から来た悪口でしたが、今では”güey”=「なぁ」「お前」「あいつ」(英語のdudeにあたる呼びかけ)としてバリバリ使われていますよ!

目次

”güey”の意味と使い方 コアイメージは「牛みたいに鈍いやつ」

”güey(発音:グウェイ/ウェイ【名詞・形容詞】)”は、メキシコのスペイン語で「まぬけ、バカ」「(名前を知らない)あいつ、そこの人」、そして親しい相手への呼びかけ「なぁ、おい、お前」を意味する言葉です。

スペイン王立アカデミー(RAE)の辞書『Diccionario de la lengua española』では、「De buey(buey に由来)/m. Méx. Persona tonta.(メキシコ用法・愚かな人)」とだけ、非常にそっけなく載っています。

えっ、「愚かな人」だけ?でもメキシコ人の友達、めちゃくちゃ楽しそうに言い合ってるけど…

コダック

いいところに気づきましたね!実はそこが”güey”という単語の一番おもしろいポイントなんです。

RAEの辞書は「スペイン語全体」を扱う辞書なので、いちばん古くて基本的な意味しか書いていません。メキシコの現場では、この言葉はとっくに「悪口」を卒業しているんですよ。

”güey”は他動詞…ではなく名詞(もともとは男性名詞)で、文の中では相手への呼びかけ(=呼格)として使われることがとても多い単語です。

意味の幅が異常に広く、「バカ」という侮辱にも、「なぁ、聞いてる?」という相づちにも、「あの人」という代名詞がわりにもなります。この振れ幅を整理していきましょう。

辞書で見る”güey”の意味 ― メキシコの辞書は「5つ」に分けている

メキシコ最高峰の学術機関エル・コレヒオ・デ・メヒコが編む『Diccionario del español de México(DEM/メキシコスペイン語辞典)』は、”güey”を(Popular=俗語)とラベルづけしたうえで、5つの意味に分けて記載しています。

güey(DEMの記載+日本語訳)

【1】Buey(=雄牛そのもの)
・Le vendí mis güeyes a mi compadre.
(俺の牛たちを、仲間に売ったんだ。)

【2】(Ofensivo) 見ず知らずで、見下している人
・Había un güey parado en el zoológico.
(動物園に、なんかヤツが突っ立ってた。)

【3】(Ofensivo) まぬけ、バカ
・¡Qué güey soy, no traje el pasaporte!
(俺ってバカだな、パスポート持ってこなかった!)

【4】de güey = バカみたいに
・De güey que me dejo asaltar.
(バカみたいに、おとなしく強盗されてたまるか。)

【5】(Popular) 若者の間で、相手の注意を引きつけ、仲間意識を確認するための言葉
・¡No, güey, te aseguro que no lo supe!
(いやいや、マジで、俺ホント知らなかったんだって!)

※参考・例文引用Diccionario del español de México, El Colegio de México

1番の「牛」から5番の「なぁ」まで、だいぶ距離があるね…!特に5番、意味らしい意味がないというか…

コダック

まさにそこです!5番の説明、辞書の書き方がすごく上手なんですよ。

「相手の注意を保ち、連帯感を確保するための手段」と書いてある。つまりこの”güey”はもう単語の意味を運んでいないんです。日本語で言えば「〜じゃん?」「マジで」「あのさ」みたいな、会話のリズムを作る部品になっているんですね。

「友達」という意味は辞書に載っている?

「güey = 友達」という説明をネットでよく見かけますが、これは本当なのでしょうか。

スペイン語圏22カ国のアカデミーが共同編纂する『Diccionario de americanismos(アメリカ大陸スペイン語辞典/ASALE)』には、はっきりと載っています。

güey(Diccionario de americanismos の記載)
1. sust/adj. Mx, ES, Ni. Persona tonta. pop.
⇒ メキシコ・エルサルバドル・ニカラグアで「愚かな人」(俗語)

2. Mx. Amigo inseparable, compañero. pop.
⇒ メキシコで「離れられない友、相棒」(俗語)

3. m. Mx. Individuo desconocido, fulano. desp.
⇒ メキシコで「見知らぬ個人、何とかいうやつ」(軽蔑的)

4. adj/sust. PR. juv. Referido a persona, incompetente.
⇒ プエルトリコの若者言葉で「使えないやつ」

5. m. Py. Buey. vulg; pop.
⇒ パラグアイでは今も「雄牛」そのもの

2番に「相棒」ってちゃんと書いてある!しかもMx(メキシコ)だけなんだね。

コダック

そうなんです、ここ超重要ポイントです!

「バカ」の意味はメキシコ以外(エルサルバドル・ニカラグア)にもありますが、「相棒・ダチ」というポジティブな意味に育ったのはメキシコだけ。だから”güey”は「メキシコらしさの象徴」と言われるんですね。

さらに同辞典には、感嘆詞としての「¡güey!」も別立てで載っています。

¡güey! fórm. Mx. juv.
⇒ 誰かを呼び止めたり注意を引いたりするため、あるいは驚きを表すために使う(メキシコ・若者・俗語)

¡ay, güey! loc. interj. Mx. juv.
驚き・信じられない気持ち・痛みを表す

”güey” / ”wey” / ”we” ― 表記ゆれはどれが正解?

この単語を調べ始めた人が最初につまずくのが、綴りが3種類もあることです。

SNSやLINEのようなチャットではweyweが圧倒的で、辞書にはgüeyしか載っていない。どれを覚えればいいのか混乱しますよね。

Instagramのコメント欄、ほぼ全部「wey」って書いてある気がする…。güeyって書いてる人あんまり見ないんだけど、辞書のほうが古いってこと?

コダック

これ、実はRAE(スペイン王立アカデミー)自身が公式に何度も回答している、有名な質問なんです!

結論から言うと、「正書法としてはgüey、実際の使用ではweyが圧倒的」という、ちょっとねじれた状態になっています。

1. RAEの公式見解 ―「güeyを使うべき」

RAEは公式アカウント(#RAEconsultas)で、この質問に次のように答えています。

Tanto el «DLE» como el «Diccionario de americanismos» de la ASALE la registran con la grafía tradicional «güey», que es la recomendada, pues esta voz no es un extranjerismo, sino una palabra genuinamente española que procede de la voz patrimonial «buey».

日本語訳:『DLE(スペイン語辞典)』も、ASALEの『アメリカ大陸スペイン語辞典』も、この語を伝統的な綴り「güey」で収録しており、それが推奨される形である。というのも、この語は外来語ではなく、固有語「buey」に由来する純然たるスペイン語だからだ。

※参考・引用「RAE(@RAEinforma)#RAEconsultas

ポイントは「外来語ではない」という部分です。

スペイン語で文字のwは、原則としてwhisky、web、waterpoloのような外国語から入ってきた単語のために取ってある文字です。”güey”は英語由来でも何でもなく、スペイン語の中で生まれ育った言葉なので、「wを使う理由がない」という理屈になります。

2. じゃあ”wey”は間違いなのか?

ここでRAEはもう1つ、とても誠実なコメントを添えています。

El «Diccionario del español de México» registra también la forma «wey» (grafía no justificada etimológicamente, aunque documentada en el uso moderno), pero en su entrada remite a «güey», que considera preferible.

日本語訳:『メキシコスペイン語辞典』は「wey」という形も収録している(語源的には正当化されない綴りだが、現代の使用においては確認されている)。ただしその項目は「güey」へ送っており、そちらを望ましいとしている。

※参考・引用「RAE(@RAEinforma)#RAEconsultas

実際にDEMのサイトで「wey」と検索すると、ちゃんとヒットして「güey」の項目に飛ばされます。つまり「weyは辞書に存在は認められているが、見出し語ではない」という扱いです。

そっか、「間違い」と切り捨てられてるわけじゃないんだね。日本語で「ら抜き言葉」がめっちゃ使われてるのに、辞書だと「本来は…」って書かれてるのと似てるかも。

コダック

その例え、すごくいいです!まさにそんな関係性ですね。

学習者としての落としどころはこうです。「読む力」としては3つ全部覚える、「書く」ときは相手に合わせる。友達へのチャットならweyでもwe でも全く問題ありませんよ!

3. さらに短い”we”とは

weは、weyの語末のyまで落としてしまった、チャット特化のさらに短い形です。「w」1文字+「e」1文字ですから、これ以上短くしようがありません。

辞書には収録されていないので、完全にインフォーマルな書き言葉専用と考えてください。

表記ゆれ3種の使い分け早見表

güey(辞書の見出し語・RAE推奨)
⇒ 記事、字幕、小説、辞書、真面目な文章で単語として引用するとき

wey(実使用で圧倒的多数)
⇒ SNS、チャット、コメント欄、ミーム、歌詞。読めないと現代メキシコのネットは追えない

we(超・略式)
⇒ 友達同士のメッセージ。辞書には載っていない

”güey”の発音 ― なぜ「グウェイ」と書いて「ウェイ」に聞こえるのか

綴りの謎は、実は発音を理解すると一気に解けます。ここは初学者がいちばんスッキリするパートです。

1. 「ü」の点々は「uを読んでね」というサイン

スペイン語では、gue / guiと書いたとき、真ん中のuは読みません(guerra=ゲラ、guitarra=ギターラ)。このuは「gをガ行の音のままにしておく」ためだけの、いわば黙字です。

そこで「いや、このuはちゃんと読んでほしいんだ」というときに使うのがディエレシス(diéresis)と呼ばれるあの点々です。

diéresis:Signo ortográfico (¨) que se sitúa sobre la u en las sílabas gue, gui, para indicar que dicha vocal debe pronunciarse; p. ej., en cigüeña, pingüino.

日本語訳:gue、guiという音節において、そのuが発音されるべきであることを示すためにuの上に置かれる正書法上の記号(¨)。例:cigüeña(コウノトリ)、pingüino(ペンギン)。

※参考・引用「Diccionario de la lengua española, RAE

コダック

つまりgüeyは「グエイ」ではなく「グウェイ」pingüino(ペンギン)vergüenza(恥)と同じ仲間なんです。

もし点々を取って”guey”と書いてしまうと、ルール上は「ゲイ」と読まれることになってしまいます。だから辞書の綴りには点々が必須なんですね!

なるほど、点々には意味があったんだ。「グウェイ」…でも実際の会話だと、やっぱり「ウェイ」にしか聞こえないんだよなぁ。

2. 速く話すと先頭の「グ」が消える

そこが最後のピースです。”güey”の頭のgの音は、後ろにwのような音(uの半母音)が続くとても弱い位置にあります。

そのため、日常のスピードで話すと先頭のgがどんどん弱まって、最終的にほぼ消えてしまうのです。

”güey”が”wey”になるまで
buey(ブエイ)= 去勢牛
↓(b が g に変化)
güey(グウェイ)
↓(速い会話の中で先頭の g が弱化・脱落)
[wei](ウェイ)
↓(聞こえたとおりに書いてみると…
wey / さらに縮めて we

コダック

つまり「wey」という綴りは、間違いというより“実際の音に忠実な書き方”なんです。

RAEは語源を守りたいから「güey」、若者は耳に聞こえる音のまま書きたいから「wey」。どちらにも言い分がある、というわけですね!

3. 実は1音節。rey / ley と同じリズム

もう1つ、日本語話者がつまずきやすいのがリズムです。

”güey”は「グ・ウェ・イ」と3拍で読みたくなりますが、スペイン語ではüeyがひとかたまりの母音連続(三重母音)として扱われ、全体でたった1音節です。

rey(王)= レイ
ley(法律)= レイ
buey(去勢牛)= ブエイ
güey(ウェイ)= グウェイ

※すべて1音節。パンッと一息で言い切るのがコツです。”güey”を伸ばして「ウェーイ」と言うと、それはそれで通じますが、かなり間延びした言い方に聞こえます。

最初は「グエイ」って読んでたなぁ…その点々、正直見逃しちゃうんだよね。

コダック

私も学習し始めのころ、güeyを教科書で見たことがなくて、映画の字幕で初めて存在を知ったくらいなんです。しかもvergüenzaと同じ点々だと気づかず「ベルグエンサ」って発音して、メキシコ人の友人に思いっきり笑われました(笑)。でも一度cigüeñaやpingüinoと同じルールだと分かれば、もう間違えなくなりますよ!

”güey”の語源は「去勢された牛」 ― buey からの意外な変身

ここからは視点を変えて、”güey”の語源を掘り下げていきましょう。

RAEの辞書は、güeyの語源欄にひとこと「De buey1.(buey に由来)」とだけ書いています。ではそのbueyとは何者なのでしょうか。

buey:Del lat. bos, bovis. m. Macho vacuno castrado.
(ラテン語 bos, bovis に由来。名詞・男性:去勢された雄牛

buey:m. Guat., Méx. y Nic. Persona tonta, mentecata. U. t. c. adj.
(グアテマラ・メキシコ・ニカラグアで:愚かな人、まぬけな人。形容詞としても使う)

※参考・引用「Diccionario de la lengua española, RAE

なんで「牛」が「バカ」になっちゃうの?牛って、けっこう賢いイメージあるけど…

コダック

ポイントは「去勢された(castrado)」という部分なんです。

闘牛場で暴れるtoro(雄牛)に対して、bueyは去勢されて畑を耕す役牛。角も生えているのに、突進もせず、決まった畝を朝から晩まで黙々と歩く。そこから「鈍くて、のろまで、言われるままに動く者」という比喩が生まれました。

そしてもう1つ、音の変化が起こります。スペイン語では語頭のb(両唇音)が、後ろにueが続くときにgに変わるという現象が、口語でよく観察されます。

唇を閉じるbより、喉の奥で鳴らすgのほうが、直後の「ウ」の口の形と相性がいいためです。

”güey”の語源(起源~発祥まで)
ラテン語:bos, bovis(牛)
↓(スペイン語へ)
スペイン語:buey(去勢された雄牛/畑を耕す役牛)
↓(比喩の発生:メキシコ・グアテマラ・ニカラグアなどで)
buey(鈍いやつ、まぬけ)= 強い侮辱
↓(b → g の音変化)
güey(まぬけ、名前も知らないあいつ)
↓(20世紀の若者言葉で意味が軟化)
güey(相棒、ダチ、そして「なぁ」という呼びかけ

「ナワトル語のhueyi(偉大な)が語源」説について

ネット上には「güeyはナワトル語(アステカの言語)のhueyi=“偉大な”に由来する」という説明がよく出回っています。

”huey”と”güey”は確かに音がよく似ていますし、メキシコらしいロマンのある説なので人気があります。ただし、辞書学・言語学の側でこの説を採用しているものは見当たりません

コダック

RAEもASALEもメキシコスペイン語辞典も、そろって「buey由来」で一致しています。

それに意味の面でも、güeyは「まぬけ」というマイナスの意味からスタートしているんですよね。「偉大な」から「まぬけ」へ、というのは変化として無理があります。音が似ているだけの偶然(民間語源)と考えるのが妥当ですよ!

たしかに、意味の流れが逆さまだ…。語源って、それっぽい話ほど気をつけなきゃいけないんだね。

”güey”を使った定番フレーズ・重要表現

”güey”は単独で呼びかけに使うだけでなく、動詞と組んだ決まり文句がいくつもあります。どれもASALEの『Diccionario de americanismos』に正式に収録されている、辞書公認の表現です。

1. ¡Ay, güey! ―「うわっ!」「マジか!」

おそらく最初に覚えるべき、最も使いやすいフレーズです。辞書には「驚き・信じられない気持ち・痛み」を表すとあります。

相手を”güey”と呼んでいるわけではなく、ほぼ「うわっ」という感嘆詞として口から出るので、一人でいるときにも言います。

【例文】
・¡Ay, güey! Se me olvidó por completo.
(うわっ、マジか!完全に忘れてた。)
・¡Ay, güey! ¿Neta te vas a México?
(えーっ、うそ!ほんとにメキシコ行くの?)

2. hacerse güey ―「とぼける、しらばっくれる」

再帰動詞hacerse(〜になる、〜のふりをする)と組み合わせた形。辞書の定義は「No hacer nada en una situación que lo requiere.(対応が必要な場面で何もしないこと)」です。

「自分をバカにする」=「気づいていないフリをして、やるべきことから逃げる」というニュアンス。日本語の「知らんぷりする」「すっとぼける」にぴったり重なります。

【例文】
・No te hagas güey, sé que fuiste tú.
(とぼけないでよ、やったのが君だって分かってるんだから。)
・Se hizo güey y no lavó los platos.
(あいつは知らんぷりして、皿を洗わなかった。)

「No te hagas güey」って、ドラマでめっちゃ聞く気がする!これ、そういう意味だったのか。

コダック

超頻出フレーズです!”No te hagas.”だけでも「とぼけるな」の意味で通じますが、güeyを付けると一気にメキシコらしくなりますよ。

ちなみに命令形の否定なので、hacerが接続法のhagasになっている点も、文法の勉強としてチェックしておきたいところですね!

3. hacer güey (a alguien) ―「(人を)だます」

再帰のseが付かないと、意味が変わります。辞書の定義は「Engañar a alguien.(誰かをだます)」

「相手をgüey(まぬけ)にしてしまう」=「一杯食わせる、カモにする」という発想です。seが有るか無いかで「自分がとぼける」か「相手をだます」かが入れ替わるので、セットで覚えてしまいましょう。

【例文】
・Ese vendedor me hizo güey con el precio.
(あの店員、値段で俺を騙しやがった。)
・No dejes que te hagan güey.
(騙されないようにね。)

hacerSE güey(se あり)
自分がまぬけになる = とぼける、知らんぷりする

hacer güey a alguien(se なし)
相手をまぬけにする = だます、一杯食わせる

※スペイン語の再帰代名詞は「動作が自分に返ってくる」印。この2つは、その働きが一番きれいに見える例のひとつです。

4. de güey ―「バカみたいに、まぬけにも」

メキシコスペイン語辞典に載っている形で、「De tonto.(バカとして/バカみたいに)」と説明されています。

「そんなバカなことするか!」という強い否定の文脈で使われることが多い表現です。

【例文】
・De güey que me dejo asaltar.
(バカみたいに、おとなしく強盗されるもんか。)

※参考・例文引用Diccionario del español de México, El Colegio de México

5. traer de su güey (a alguien) ―「(人を)いじめ続ける」

やや上級ですが、辞書に載っている表現です。「traer de encargo」と同じ意味とされ、その定義は「Hacer a alguien objeto de constantes agresiones o incomodidades.(誰かを絶え間ない攻撃や不快の対象にすること)」

辞書ではvulg.(下品)のラベルが付いているので、意味が分かれば十分です。

【例文】
・Su jefe lo trae de su güey.
(上司にずっと目をつけられて、こき使われている。)

”güey”は使っていい? 初学者が気をつけたい4つのこと

意味は分かってきたけど…これ、僕が実際に使っても大丈夫なやつ?なんか地雷を踏みそうで怖いんだけど。

コダック

その慎重さ、正解です!”güey”は「聞いて分かる」と「自分で言う」のハードルがまったく違う単語なんですよ。

辞書のラベルを見ると答えが書いてあります。メキシコスペイン語辞典は(Popular=俗語)、そして意味の2番・3番には(Ofensivo=攻撃的・侮辱的)と明記されているんです。順番に確認していきましょう!

1. メキシコ以外ではほぼ通じない

先ほど見たとおり、「相棒・ダチ」の意味はMx(メキシコ)にしか登録されていません。

スペインや南米で”güey”を連発しても、「メキシコのドラマ見てるんだな」と思われるだけで、仲良くなる効果はありません。国ごとに、それぞれの「dude」があります。

国が変われば「呼びかけ」も変わる
●メキシコ ⇒ güey / wey
●スペイン ⇒ tío / tía(RAEの辞書にも「友人や仲間を指す呼びかけ」として収録)
●アルゼンチン・ウルグアイ ⇒ che / boludo
●チリ ⇒ weón

※どれも「親しさ」を前提にした俗語です。相手との距離を間違えると失礼になる点は、どの国でも共通しています。

2. チリの”weón”とは別の単語

表記だけ見ると”wey””weón”はそっくりで、同じ語のバリエーションだと思ってしまいがちです。しかしこの2つはまったく別のルーツを持つ、赤の他人です。

RAEの辞書によれば、huevón(weónの元の綴り)の語源は「De huevo y -ón(huevo=卵 + 指大辞 -ón)」。güeyのbuey(牛)とは何の関係もありません。

コダック

たまたま「頭の音が弱まってwで書かれるようになった」という同じ現象が、別々の単語に起きただけなんですね。

しかもhuevónのほうはRAEでvulg.(下品)のラベルが付いていて、güeyよりさらに扱いが難しい語です。「weが付いてるから同じ感じで使えるはず」と考えないようにしましょう!

3. 目上・初対面・仕事の場ではNG

”güey”は「相手との距離がゼロであることを前提にした言葉」です。逆に言えば、距離がある相手に使うと「馴れ馴れしい」を通り越して「失礼」になります。

×使わないほうがいい相手・場面
・年上の人、先生、取引先、義理の家族
・初対面の相手(たとえ同年代でも)
・仕事のメール、面接、プレゼン
・お店の店員さん、役所の窓口

○使ってもOKな相手・場面
・向こうから”güey”と呼んできた同年代の友達
・すでに何度も遊んでいる仲間内
・友達とのチャット、SNSのやりとり

4. 相手が使い始めるまで待つのが安全

いちばん確実で、失敗しない方法がこれです。

相手があなたに”güey”と言ってきたら、それは「タメ口でいいよ」というサイン。そこから返すようにすれば、距離感を読み間違えることはまずありません。

日本語でも、初対面でいきなりタメ口はキツいもんね。相手が崩してきたら、こっちも崩す。それなら分かりやすい!

コダック

その感覚でバッチリです!

それと最後に、書き方のコツをひとつ。”güey”は呼びかけの言葉なので、文の中ではコンマで区切るのがルールです。辞書の例文も「¡No, güey, te aseguro que no lo supe!」と、しっかりコンマで挟まれていますよね。

文頭・文中・文末、どこにでも置けますよ!

文頭:Güey, ¿ya viste esto?
(なぁ、これもう見た?)

文中:No, güey, te lo juro.
(いや、マジで、誓ってもいい。)

文末:Está buenísimo, güey.
(これめっちゃうまいって、なぁ。)

意味の幅、広すぎない…?「相棒」なのに「バカ」にもなるなんて、いつ使っていいのか分からないよー!

コダック

私も最初はまさにそこで戸惑いました。学校では絶対に教わらない単語なのに、メキシコの友人はまるで句読点みたいに連発してくるので、「これは褒め言葉?それとも失礼?」って何度も聞き返した記憶があります。結局、仲のいい友人同士が笑いながら言い合うgüeyと、初対面や目上の人に使うgüeyでは全く空気が違うと体感で覚えるしかなかったです。

30秒でわかる güey 使用・表記診断

「使っていいか」と「どう書くか」、2つの疑問を1つの流れで解決します。

Q1. 相手・場面は?
目上・初対面・仕事関係 → güey という言葉自体を使わないのが安全。呼びかけが必要ならセニョール/セニョーラ等、普通の言い方で。
親しい友達・チャット(ただし相手が先に使ってきた場合に限る) → 下のQ2へ ↓
Q2. (使ってよい相手の場合)どこに書きますか?
記事・字幕・辞書的に正しく引用したい文章güey
RAE推奨の正書法。「外来語ではなく buey に由来する固有のスペイン語」という理由で点々(¨)付きが正式。
SNS・LINE・コメント欄wey
実際の使用で圧倒的多数。辞書にも収録されているが見出し語は güey へ送られる。
友達との超省略メッセwe
辞書には未収録の完全インフォーマル形。書き言葉専用。

※ güey は「相手との距離がゼロであることを前提にした言葉」。迷ったら使わず、まずは相手が使ってくるまで待つのがいちばん安全です。

”güey(ウェイ)”の意味・表記・語源のまとめ

以下、”güey”についてのまとめです。

●”güey”はbuey(去勢された雄牛)が変化して生まれたメキシコの俗語
⇒コアイメージは「畑を黙々と歩く牛のように鈍いやつ」
⇒そこから「まぬけ」「名前も知らないあいつ」、さらに「相棒」「なぁ、お前」へと意味が広がった
●表記はgüey(辞書・RAE推奨)/wey(実使用で最多)/we(超略式)の3種類
⇒RAEは「外来語ではないのでwを使う理由がない」としてgüeyを推奨。ただしweyも現代の使用として辞書に記録されている
●発音は1音節で「グウェイ」。速い会話では頭のgが落ちて「ウェイ」に聞こえ、それがweyという綴りを生んだ
●メキシコ限定の俗語で、辞書には(Popular/Ofensivo)のラベル付き。親しい同年代以外には使わないのが鉄則
●定番フレーズは¡Ay, güey!(うわマジか)/No te hagas güey(とぼけるな)/hacer güey a alguien(人をだます)

コダック

”güey”は、たった1語で「メキシコの言葉の歴史」と「若者言葉の作られ方」の両方が見えてしまう、すごく贅沢な単語です。

牛から始まって、悪口になって、最後は友情の合図になる。言葉って本当に生き物ですよね。ぜひメキシコの映画やドラマで、何回”güey”が出てくるか数えてみてください!

参考文献
「Real Academia Española, Diccionario de la lengua españolagüey / buey / diéresis / huevón / tío)」
Diccionario del español de México, El Colegio de México(https://dem.colmex.mx/ver/güey)」
「Asociación de Academias de la Lengua Española, Diccionario de americanismosgüey / ¡güey! / hacer güey / hacerse güey / traer de su güey)」
「Real Academia Española(@RAEinforma)#RAEconsultas ― güeyとweyの綴りについて(1 / 2)」