saber と conocer の違い|日本語の「知っている」が2つに割れる理由

コダック
今日は初級スペイン語で一番よく質問される「saber と conocer の違い」を整理しますよ!

どちらも日本語にすると「知っている」。だから日本語話者にとっては、そもそもなぜ2つに分かれているのかが分からない——これが最初のハードルです。

でも安心してください。分かれ方の基準はたった1つですよ!

「知ってる」って言いたいときに毎回どっちか迷うんだよな。だいたい勘で選んでる。
コダック

よくあります!でも勘に頼らなくて大丈夫。

「動詞のあとに何が続くか」を見るだけで決まりますよ。まずは日本語の「知っている」が、実は2つの違うことを言っている場面から見ていきましょう!

「彼を知っている」は、スペイン語では2つに割れる

いきなり結論から入ります。日本語の「彼を知っている」という一文は、スペイン語では2通りに訳し分けられます。

「彼を知っている」の2つのスペイン語

Lo conozco.
(会ったことがある。知り合いです。)
Sé quién es.
(誰なのかは分かる。=名前は知っているが、会ったことはない)

スペイン語が細かすぎるように見えるかもしれませんが、日本語も実はこの2つを言い分けています

「あの人、知ってる?」と聞かれたとき、「うん、知り合いです」と答えるのか、「名前は知ってます」と答えるのかで、伝わる内容はまったく違いますよね。日本語は「知っている」の後ろに言葉を足してその差を出しますが、スペイン語は動詞そのものを取り替えて出す。それだけの違いです。

そっか、「知り合い」なのか「名前だけ」なのかを最初から動詞で言っちゃうんだね。
コダック

その理解でバッチリです!

だから Lo conozco. と言った時点で「会ったことがある」まで伝わっています。逆に会ったことがないのに Lo conozco と言うと、相手は「へえ、知り合いなんだ」と受け取りますよ!

saber と conocer を分ける1本の軸

2つの動詞を分けているのは、「情報として頭に入っているか」なのか、「実際に接触した経験があるか」なのかという軸です。

saber と conocer のコアイメージ

saber⇒「情報を持っている・やり方が分かる」= 事実、データ、スキル
conocer⇒「その相手・その場所に触れたことがある」= 面識、体験

そして実際に文を作るときは、もっと機械的に判定できます。

迷ったときの1問判定
動詞のあとに続くのが「事実・やり方」なら saber
動詞のあとに続くのが「人・場所・作品」なら conocer

saber が受けるもの:事実・疑問詞・「〜できる」

saber の後ろに来るのは、大きく分けて3種類です。ここを押さえれば saber 側は完成します。

1. 事実を知っている ⇒ saber que …

「〜ということを知っている」と、文まるごとを受けるパターンです。

Sé que vive aquí.
(彼がここに住んでいるのは知っている。)
No sabía que tenías hermanos.
(君に兄弟がいるなんて知らなかった。)

2. 疑問詞と一緒に使う ⇒ saber + dónde / quién / cómo …

「どこにいるか」「誰なのか」「どうやるのか」といった疑問詞を後ろに置けるのは saber だけです。conocer はこの形を取れません。

No sé dónde está.
(彼がどこにいるか知らない。)
¿Sabes cómo funciona esto?
(これ、どうやって動くか分かる?)
Sé quién es.
(誰なのかは分かる。)

3. saber + 不定詞 ⇒「〜できる」

saber の後ろに動詞の原形を置くと、「〜のやり方が分かる」=「〜できる」という意味になります。

Sé nadar.
(泳げます。)
No sé conducir.
(車の運転はできません。)

コダック

この3番目、実はみなさんが最初に習うあのフレーズにも隠れているんですよ!

¿Sabes español?(スペイン語話せる?)は、もともと ¿Sabes hablar español?hablar が省略された形。「スペイン語という知識を持っている」ではなく「スペイン語を話すやり方が分かる」なんです!

なるほど、だから saber なんだ。「できる」の方の意味だったんだね。

conocer が受けるもの:人・場所・作品

conocer の後ろに来るのは「触れた対象そのもの」です。文でも疑問詞でもなく、名詞が来ます。

1. 人 ⇒ 前置詞 a を必ず付ける

ここは日本語話者が落としやすいポイントです。conocer の後ろに人が来るときは、前置詞 a が必要になります。

Conozco a Ana.
(アナと知り合いです。)※ × Conozco Ana.
¿Conoces a mi hermano?
(僕の兄と面識ある?)

2. 場所 ⇒ 「行ったことがある」に近い

場所を conocer で受けると、「行ったことがある・土地勘がある」という意味になります。地名を暗記しているという意味ではありません。

¿Conoces Madrid?
(マドリードに行ったことある?)
No conozco Sevilla.
(セビリアには行ったことがない。)

3. 作品・分野 ⇒ 「触れたことがある」

Conozco esa canción.
(その曲、知ってる。=聴いたことがある。)
Conoce muy bien la historia de España.
(彼はスペインの歴史にとても詳しい。)

コダック

形の面から見ると、判定はもっと簡単になりますよ!

conocer の後ろに動詞は絶対に来ません。だから × Conozco nadar. は成立しないんです。後ろが動詞なら saber、後ろが名詞(特に人・場所)なら conocer——形だけでもかなり絞れますよ!

点過去にすると意味がずれる:supe と conocí

ここが saber / conocer 最大の落とし穴です。この2つは点過去(過去の一点を指す形)にすると、意味そのものが変わります。

現在形の意味のまま「〜を知っていた」のつもりで使うと、まず外します。

点過去にすると意味が変わる

supe(saber の点過去)⇒「知っていた」ではなく 「知った・分かった」
conocí(conocer の点過去)⇒「知っていた」ではなく 「初めて会った」

Supe la verdad ayer.
(昨日、真実を知った。= その瞬間に情報が入ってきた)
Conocí a mi mejor amigo en la escuela.
(学校で親友と出会った。= 初対面がそこだった)

えっ、じゃあ「昔から知ってた」って言いたいときはどうするの?
コダック

鋭いです!そこは線過去の出番ですよ。

Lo sabía.(知っていた)、La conocía desde hacía años.(何年も前から彼女を知っていた)のように、状態としての「知っていた」は線過去で表します。

点過去は「知らない状態から知っている状態に切り替わった、その一瞬」を指すんです!

この対比は覚え方としても使えます。conocer は「接触」の動詞なので、その接触が起きた一点を指せば「初めて会った」になる。saber は「情報を持つ」動詞なので、情報が入った一点を指せば「知った」になる。どちらもコアイメージから素直に導けます

活用の落とし穴は yo の形だけ

意味が分かっても、口から出す段階でつまずくのがこの2つです。ただし不規則なのは1人称単数(yo)だけなので、そこだけ固めれば十分です。

現在形・押さえるのは yo だけ

saber, sabes, sabe, sabemos, sabéis, saben
× sabo とは言わない。yo だけ形が丸ごと違う

conocerconozco, conoces, conoce, conocemos, conocéis, conocen
⇒ yo だけ -zco という形になる(× conoco は誤り)

コダック

この -zco の形は conocer だけの特殊ルールではありません!

parecer ⇒ parezco(〜のように見える)、ofrecer ⇒ ofrezco(提供する)のように、-cer で終わる動詞のかなり多くが同じ型です。1回覚えれば他の動詞でも使い回せますよ!

saber にはもう1つ「〜の味がする」という意味がある

辞書を引くと戸惑うのがこれです。saber には「知っている」とはまったく別に、「〜の味がする」という意味があります。このときは前置詞 a をともないます。

Sabe a limón.
(レモンの味がする。)
Esto sabe muy bien.
(これ、すごくおいしい。)

同じ単語なのに全然違う意味じゃん。混ざらないのかな。
コダック

混ざらないんです!見分け方は簡単で、後ろに前置詞 a + 食べ物の名前が来ていたら「味」の方

それに主語が人ではありませんよね。Sabe a limón の主語は飲み物や料理です。文の形が違うので、実際に読むときに迷うことはほとんどありませんよ!

ついでに saber de も覚えておくと便利です。「〜について知っている・消息を知っている」という意味になります。

¿Sabes algo de Marta?
(マルタのこと、何か知ってる?=最近どうしてるか聞いてる?)
Sé mucho de coches.
(車には詳しいです。)

やりがちな間違い:「知りません」を No conozco で済ませてしまう

日本語話者が実際に一番やってしまうのが、「知りません」の万能返事として No conozco を使うことです。

日本語の「知りません」は何にでも使えますが、No conozco は「面識がない・行ったことがない」という意味にしかなりません。事実を知らないときは No sé. です。

「駅がどこか知りません」
× No conozco. ⇒ ○ No sé dónde está la estación.
※ 場所の情報を持っていないので saber

「アナのこと、知らないです(会ったことがない)」
No la conozco.
※ 面識の話なので conocer。ここで No sé と言うと不自然

× Conozco nadar.
⇒ ○ Sé nadar.(conocer の後ろに動詞は来ない)

× Conozco Ana.
⇒ ○ Conozco a Ana.(人の前には前置詞 a)

コダック

とっさに「知りません」と言いたくなったら、まず No sé. を出すと覚えておくと安全ですよ!

会話で「知らない」と答える場面は、圧倒的に「情報を持っていない」方が多いからです。「会ったことがない」と言いたいときだけ conocer に切り替えましょう!

saber と conocer の違い・まとめ

以下、この記事のまとめです。

saber=情報を持っている・やり方が分かる/conocer=その対象に触れたことがある
⇒ 日本語の「知っている」が両方を飲み込んでいるので、訳語ではなくこの軸で選ぶ
●1問判定:後ろが「事実・やり方」なら saber「人・場所・作品」なら conocer
●saber は que+文/疑問詞/不定詞を受ける。conocer の後ろに動詞は来ない
conocer + 人 のときは前置詞 a が必須(Conozco a Ana.)
●点過去で意味が変わる:supe=知ったconocí=初めて会った。状態としての「知っていた」は線過去(sabía / conocía)
●活用は yo だけ不規則:(× sabo)/conozco(× conoco)
●saber にはもう1つ「〜の味がする」の意味がある(Sabe a limón.)
コダック

saber と conocer は、スペイン語が「話し手がその対象に触れたかどうか」を動詞に入れているいい例です。

実は同じ発想の動詞ペアが、スペイン語にはあと3組あるんですよ。まとめて見ると一気に理解が進みます!

参考文献
「SpanishDictionary.com “Saber” vs. “Conocer”(https://www.spanishdict.com/guide/saber-vs-conocer)」
「Lingolia Español, What’s the difference between conocer and saber?(https://espanol.lingolia.com/en/vocabulary/palabras-confundibles/conocer-saber)」
「Wiktionary, saber(https://en.wiktionary.org/wiki/saber)」