スペイン語圏の友達とやりとりしていると、会話の最後にふっと tqm と送られてくることがあります。
正体は te quiero mucho の頭文字。日本語にすると「大好きだよ」くらいの表現です。
落ち着いてください、ほぼ間違いなく告白ではありません!
実はここが、日本語話者がいちばん誤解しやすいポイントなんです。スペイン語には「好き」を表す言葉が2系統あって、tqm は軽いほうの系統なんですよ。
今日はその距離感を、きっちり整理していきましょう!
tqmの正体:te quiero muchoを分解する
まずは中身を分解しましょう。tqm は、3つの単語の頭文字を並べたものです。
tqm の分解
t = te(君を、君に)
q = quiero(querer「〜を好む・愛する・欲しい」の一人称)
m = mucho(とても、たくさん)
⇒ te quiero mucho =「君のことがとても好きだよ」
この作り方は、スペイン語のチャット略語のなかでも「語の頭文字だけを残す型」にあたります。日本語で「おはようございます」を「おは」と縮めるのと似ていますが、スペイン語はもっと大胆で、3語がまるごと3文字になります。
いい着眼点ですね! tq は te quiero、つまり mucho(とても)が抜けた形です。
だから tq < tqm で、tqm のほうが少しだけ気持ちが強い。文字数がそのまま気持ちの量になっているのが分かりやすいですよね!
tkmはtqmとまったく同じ意味です
実際のチャットを見ていると、tqm と並んで tkm という表記もよく出てきます。
結論から言うと、tqm と tkm は同じ言葉です。どちらも te quiero mucho。意味の差はありません。
これはスペイン語のつづりの事情なんです!
スペイン語で「カ・ケ・キ」の音を書くとき、本来は que / qui のように u を挟む必要があります。ところが k を使えば、ke / ki と1文字少なく書ける。
つまり k は「qu を短く書くための文字」として、チャットで愛用されているんですね。
チャットの「k」は qu の代役
que ⇒ ke、さらに縮めて k
quiero ⇒ kiero
aquí(ここ)⇒ aki
porque ⇒ xk
⇒ だから te quiero mucho が tkm になる
なお、辞書や規範のうえでは tqm のほうが正しい形とされていますが、くだけたチャットでは tkm も同じように広く使われています。どちらが届いても同じ意味だと思って大丈夫です。
いちばん大事な話:te quieroとte amoの距離
さあ、ここからがこの記事の本題です。
スペイン語には、「好き」を伝える言い方が大きく2つあります。この2つの距離感を知らないと、tqm を受け取ったときに勘違いしてしまうんですね。
2つの「好き」
te quiero(テ・キエロ)
⇒ 親しみ・情愛を広く表す。友達・家族・恋人・ペットまで使える
⇒ 日本語の「大事に思ってる」「大好きだよ」あたり
te amo(テ・アモ)
⇒ より深く、強く、重い。恋人・配偶者・親子など限られた相手に
⇒ 日本語の「愛してる」にかなり近い
その理解でばっちりです!
そして重要なのは、tqm は te quiero 系、つまり軽いほうの言葉だということ。
さらに略語にすることで、もう一段カジュアルになっています。tqm は「愛してる」ではなく「大好き!」くらいの温度なんですね。
感覚をつかむために、日本語の言葉に並べてみましょう。
温度の並び(軽い ⇒ 重い)
tq ⇒「好きだよ」
tqm / tkm ⇒「大好き!」
te quiero ⇒「大事に思ってるよ」(きちんと書いたぶん、少し丁寧)
te quiero mucho ⇒「本当に大好きだよ」
te amo ⇒「愛してる」
※略語にするほどカジュアルに、きちんと書くほどまっすぐに響きます。
その例え、まさにドンピシャです!
逆に言えば、本気で気持ちを伝えたいときは略さないのが鉄則。大事な場面で tqm と略すと、かえって軽く見えてしまうので気をつけてくださいね。
tqmは誰に送っていい?
では実際、どんな相手に使われるのでしょうか。
tqm を送る相手
【よく使う】
●仲のいい友達(同性・異性を問わず)
●家族、いとこ、きょうだい
●恋人(軽めのあいさつ代わりに)
【使わない】
●仕事の相手、取引先
●先生、目上の人(親しさによっては例外もありますが、学習者は避けたほうが安全)
●知り合ったばかりの人
ここで押さえておきたいのが、スペイン語圏では、友達どうしで愛情表現を交わすことがまったく珍しくないという点です。
日本語の感覚だと、友達に「大好き」と送るのは少し特別な感じがしますよね。でもスペイン語では、会話の締めくくりに tqm や bss(besos = キス。親愛を表すあいさつ)を添えるのが、ごく普通のことなんです。
まさにそのポジションです!
もちろん気持ちはこもっているのですが、「特別な告白」ではなく「親しさのしるし」。ここを理解しておくと、いきなり tqm が来ても慌てずにすみますよ。
書き方で温度が変わる:tqm / tqm! / TQM!!!
同じ tqm でも、書き方によって気持ちの強さがはっきり変わります。これはスペイン語のチャット全体に共通する感覚です。
同じ tqm でも、この差
tqm ⇒ さらっと。会話の締めのあいさつ
tqm! ⇒ 少し気持ちがこもる
tqmm / tqmmm ⇒ 文字を伸ばして甘えた感じ
TQM!!! ⇒ かなり強い。感謝や喜びがあふれている
※大文字は「声が大きい」感覚。全部大文字にすると、叫んでいるような勢いになります。
ちなみに、TQM!!! が飛んでくる典型的な場面は、恋愛とはかぎりません。
誕生日を祝ってもらったとき、頼みごとを聞いてもらったとき、落ち込んでいるときに励まされたとき。「ありがとう、あなた最高」という感謝の爆発として使われることがとても多いんです。
tqmが来たら、どう返す?
返し方はとても簡単です。同じものを返せばいいんですよ!
これがいちばん自然で、距離感を間違えることもありません。いくつか型を紹介しますね。
tqm への返事の型
【そのまま返す】
・tqm tambien(= te quiero mucho también)
(私も大好きだよ。※ちゃんと書くと Te quiero mucho también.)【もう少し温度を上げて返す】
・yo tqm mas(= Yo te quiero mucho más.)
(私のほうがもっと好きだよ。)【軽く受け流したいとき】
・jajaja gracias, tq
(ハハハ、ありがとう。好きだよ。)【きちんと書いて丁寧に返したいとき】
・Yo también te quiero mucho.
(私も君のことがとても好きだよ。)
ポイントは、相手より重くしないこと!
相手が tqm と軽く送ってきたのに、こちらが Te amo と返すと……ちょっと空気が変わってしまいますよね。同じ重さのものを返すのが、いちばん安全で自然です。
注意点:tkmには冗談の別解釈もある
最後に、知っておくとちょっと得をする豆知識をひとつ。
SNSの一部では、tkm をわざと別の意味で読む冗談が出回ったことがあります。te quiero mucho ではなく te kiero matar(=君を殺したい、つまり「もう、怒るよ」くらいの冗談表現)と読むというものです。
安心してください、ほとんどの場合は te quiero mucho で正解です!
こちらはあくまでネット上の言葉遊びで、しかも怒っている流れのときだけ成立します。前後の文脈が楽しい会話なら、迷わず「大好き」と受け取って大丈夫ですよ。
tqm・tkmの意味と使い方のまとめ
以下、tqm についてのまとめです。
●tkm は tqm とまったく同じ意味。スペイン語では k が qu の代役を務めるため
●te quiero は友達・家族にも使える広い「好き」、te amo は「愛してる」に近い重い言葉
●tqm は te quiero 系+略語なので、告白ではなく「大好き!」くらいの温度
●略すほどカジュアルに、きちんと書くほどまっすぐ響く
●tqm / tqm! / TQM!!! と、句読点と大文字で温度が変わる
●返すときは相手と同じ重さのものを返すのが鉄則
tqm のような略語は、実は作られ方が3種類しかありません。その全体像をつかんでおくと、はじめて見る略語もその場で読めるようになりますよ!
チャット略語の地図はこちらの記事にまとめています。
「Infobae, ¿Qué significa TKM y cómo RAE explica el “lenguaje millennial”?(https://www.infobae.com/america/peru/2022/09/17/que-significa-tkm-y-como-rae-explica-el-lenguaje-millennial/)」
「Español con María, Diccionario para chatear en español(https://espanolconmaria.com/diccionario-para-chatear-en-espanol/)」
「Wikilengua del español, Abreviaturas en chats y microblogs(https://www.wikilengua.org/index.php/Abreviaturas_en_chats_y_microblogs)」