スペイン語のチャット略語のなかでも、この2つは絶対にセットで覚えてください。
なぜなら、1文字しか違わないのに、意味の向きが正反対だからです。取り違えると、相手を励ますつもりが「今のは冗談」と言ってしまうことになりかねません。
ntp と ntc の正体
ntp = no te preocupes
(心配しないで、気にしないで)⇒ 向き先は相手
ntc = no te creas
(冗談だよ、なんてね)⇒ 向き先は自分の直前の発言
ntp=no te preocupes「気にしないで」
まずは ntp から。分解するとこうなります。
no te preocupes の分解
n = no(〜しないで)
t = te(君自身を)
p = preocupes(preocuparse「心配する」の命令形)
⇒ 直訳すると「君は心配しないで」
使われる場面は、相手が何かを気に病んでいるときです。
日本語でいう「ドンマイ」「大丈夫だよ」「気にしないで」とほぼ同じポジションだと思ってください。
ntp が使われる場面
【謝られたとき】
相手:perdon x llegar tarde(遅れてごめん)
自分:ntp, yo tambien acabo de llegar
(気にしないで、私も今着いたところだから。)【相手が落ち込んでいるとき】
相手:creo q hice mal el examen(テスト失敗した気がする)
自分:ntp, seguro te fue mejor de lo q crees
(心配しないで、きっと思ってるよりできてるよ。)【お礼を言われたとき】
相手:gracias x ayudarme(手伝ってくれてありがとう)
自分:ntp, para eso estamos
(気にしないで、そのための仲間でしょ。)
とてもいい感覚です!
ntp は「相手の気持ちの荷物を降ろしてあげる」言葉なんですね。だから、謝罪にもお礼にも、落ち込みにも使えるわけです。
覚え方としては、p = preocuparse(心配する)と結びつけておくと忘れませんよ。
ntc=no te creas「なんてね」
続いて ntc。こちらも分解してみましょう。
no te creas の分解
n = no(〜しないで)
t = te(君自身)
c = creas(creerse「信じ込む」の命令形)
⇒ 直訳すると「(今の話を)真に受けないで」
大正解です! ntc は日本語の「なんてね」「うそうそ」と、機能が完全に一致しています。
直前に言ったことを「今のは冗談だよ」と回収するための言葉。だから必ず自分の発言の後ろに置きます。ここが ntp との決定的な違いですね。
ntc が使われる場面
【きつい冗談をやわらげる】
ya no te hablo mas… ntc jajaja
(もう口きかない……なんてね、ハハハ。)【からかったあとに回収する】
tu comida estaba horrible. ntc, estaba riquisima
(君の料理まずかったよ。うそうそ、めちゃくちゃおいしかった。)【大げさに言ったあと】
me voy a mudar a otro pais. ntc, solo estoy cansado del trabajo
(外国に引っ越すわ。なんてね、仕事に疲れてるだけ。)
ポイントは、ntc の前にはたいてい「ちょっときつめ」「ちょっと大げさ」な発言があるということです。
言ったあとに「あ、これ本気に取られたらまずいな」と思ったら ntc。相手との関係を守るためのクッションなんですね。
ちなみに ntc は、メキシコをはじめとするラテンアメリカのチャットでとてもよく使われます。
きつめの冗談を言ったあとに、肩をポンと叩いて「冗談だってば」と言う——あの動作を文字にしたもの、とイメージすると分かりやすいですよ!
1文字違いで正反対:向きで覚える
さて、いちばん大事な整理です。この2つは、気持ちが向かう方向がまるで逆です。
ntp と ntc の決定的な違い
ntp(no te preocupes)
⇒ 相手が言ったこと・相手の状況に対して使う
⇒ 相手を安心させる
⇒ 日本語なら「ドンマイ」「気にしないで」「大丈夫だよ」
ntc(no te creas)
⇒ 自分が言った直後に、自分でつける
⇒ 自分の発言を冗談に戻す
⇒ 日本語なら「なんてね」「うそうそ」「冗談だってば」
その整理でばっちりです!
もうひとつ、位置で覚える方法もあります。ntp はメッセージの先頭に来やすく、ntc は文の最後に来やすいんですね。
「ntp, …」と始まっていたら励まし。「…, ntc」と終わっていたら冗談の回収。この見分け方も便利ですよ。
取り違えると、どうなる?
実際にどれくらい困るのか、具体的に見てみましょう。
取り違えの例
相手:perdi mi cartera hoy(今日、財布なくしちゃった)
【正解】ntp, seguro aparece
(心配しないで、きっと出てくるよ。)【取り違え】ntc, seguro aparece
(なんてね、きっと出てくるよ。)
⇒ 何を冗談にしているのか分からず、相手は困惑します
だからこの2つはセットで覚えるのがおすすめなんです。
自信がないときは、略さずに書いてしまえば絶対に安全です。No te preocupes. と書けば、誤解の余地はありませんからね!
同じ場面で使える仲間の表現
ntp と ntc が分かったら、同じ場面で飛び交う表現も一緒に覚えてしまいましょう。
ntp の仲間(安心させる系)
no pasa nada(ノ・パサ・ナダ)⇒「なんでもないよ、大丈夫」
tranqui(トランキ)⇒ tranquilo の短縮。「落ち着いて、大丈夫」
todo bien(トド・ビエン)⇒「全部オッケー」
no te agobies ⇒「思いつめないで」
ntc の仲間(冗談を回収する系)
es broma(エス・ブロマ)⇒「冗談だよ」
era broma ⇒「今のは冗談だったんだ」
es chiste ⇒「冗談だよ」(ラテンアメリカでよく使う)
mentira(メンティラ)⇒「うそうそ」
tranqui は本当によく使われますよ!
そして ntc は、jajaja とセットで使われることがとても多いのも覚えておいてください。「ntc jajaja」の形で、「冗談だよ、ハハハ」と場をやわらげるんですね。
自分で使うときのアドバイス
最後に、学習者としてどう付き合うかの話です。
ntp・ntc との付き合い方
①まずは「読める」を目標にする
⇒ 相手が使ってきたときに正しく受け取れれば十分
②自分から使うなら、略さずに書く
⇒ No te preocupes. / Es broma. なら誤解ゼロ
③慣れてきたら、相手が使った形を真似る
⇒ 相手が ntp を使う人なら、こちらも ntp で自然
④仕事・目上の相手には使わない
⇒ 日本語で取引先に「ドンマイ」と返さないのと同じ感覚
特に ntc は、冗談が通じる関係でないと使えない言葉です。
そもそも「きつい冗談を言う」という段階が必要ですからね。相手との距離が近くなってから、ゆっくり使い始めれば大丈夫ですよ!
ntpとntcの意味と違いのまとめ
以下、ntp と ntc についてのまとめです。
●ntc = no te creas(なんてね、うそうそ)⇒ 自分の直前の発言を冗談に戻す
●1文字違いで向きが正反対。取り違えると相手を困惑させる
●位置でも見分けられる ⇒ ntp は文頭、ntc は文末に来やすい
●ntc は「ntc jajaja」の形で場をやわらげることが多い
●仲間の表現 ⇒ no pasa nada / tranqui / todo bien(安心系)、es broma / mentira(冗談回収系)
●自信がないときは略さず No te preocupes. と書けば絶対に安全
ntp と ntc は「頭文字だけ残す型」の代表選手です。
スペイン語のチャット略語には、あと2つの型があります。全体像をつかんでおくと、はじめて見る略語もその場で推測できるようになりますよ!
「Kaiwa, Texting in Spanish: Abbreviations & Emoji Guide(https://trykaiwa.com/blog/spanish-texting-shortcuts-guide-2026)」
「Wikilengua del español, Abreviaturas en chats y microblogs(https://www.wikilengua.org/index.php/Abreviaturas_en_chats_y_microblogs)」
「Español con María, Diccionario para chatear en español(https://espanolconmaria.com/diccionario-para-chatear-en-espanol/)」