「abs-(分離)」+「tract(引く)」の2つのパーツで構成されている単語です。
「引き離す・抽出する」がコアイメージで、そこから“abstract“=「抽象的な」「要約」「〜を抽出する」という意味に繋がっていくんですよ!
”abstract”の意味と使い方 コアイメージは「引き離す」
”abstract(発音:æbstrǽkt(アブストラクト))”は「抽象的な」「要約」「〜を抽出する」の意味を持つ単語です。
先ほど紹介した通り、「abs-(分離・~から離れて)」+「tract(引く)」の2パーツで構成されており、「特定の要素を引き離す(抽出する)」がコアイメージになります。
現実の具体的な形から離れた=”抽象的な”という意味になるわけですね!
つまり”abstract”は、「形のある具体的なものから、エッセンス(要点)だけを外に引っ張り出してくる」というイメージが根本にあるわけですね。
はっきりとした形があるものや、目に見える具体的なものを表す時は、対義語である”concrete(具体的な)”を使用します。
例文
・Beauty is an abstract concept.
(美は抽象的な概念である。)・You should read the abstract of the thesis first.
(まずは論文の要旨(要約)を読むべきだ。)※参考・例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
”abstract”の関連語①:「抽象的な」を意味する単語・対義語”concrete / conceptual”
”concrete”や”conceptual”も、日常会話やビジネス・アカデミックな場でよく使われる重要な単語ですよ!
⇒「具体的な・概念的な」の意味を持つ単語”concrete / conceptual”
イメージの違いとしては以下のような感じです!
● abstract ⇒「抽象的な」=実体(具体的な事実や形)から引き離された、頭の中のイメージ
● concrete ⇒「具体的な」=(対義語)実際の形がある、コンクリートのようにカチッと固まった事実
● conceptual ⇒「概念上の」=(類義語)個々の事例ではなく、考え方の枠組みやシステムそのものに関する
それぞれの単語がよく使われる定番のフレーズ(例文)で見比べてみましょう!
●abstract
「His argument is too abstract.」
⇒ 彼の議論は抽象的すぎる(=具体例やデータがなくて、話がフワフワしている)イメージ
●concrete
「Can you give me a concrete example?」
⇒ 具体的な例をくれませんか?(=目に見える形ではっきりと分かる例を求める)イメージ
●conceptual
「The project is still in the conceptual stage.」
⇒ プロジェクトはまだ概念的な段階だ(=具体的な予算や人事が決まる前の、アイデアや大まかな設計図の段階)イメージ
”abstract”の関連語②:「要約」を意味する単語”summary / outline”
⇒「要約・概要」の意味を持つ単語”summary / outline”
それぞれの使い分けのイメージはこんな感じです!
● abstract ⇒「(論文などの)要旨」=学術論文などの内容を短く厳密に抜き出したもの
● summary ⇒「(一般的な)要約」=話や文章の重要なポイントを短くまとめたもの(一番万能!)
● outline ⇒「概要・あらすじ」=全体の「輪郭(外枠・章立て)」をざっくり示したもの
●abstract
「Write a 200-word abstract for your paper.」
⇒ 論文の要旨(=学会やジャーナルに提出する、学術的な中身の凝縮版)イメージ
●summary
「Here is a quick summary of today’s meeting.」
⇒ 会議の要約(=決まったことやタスクのポイントを箇条書きした議事録のようなもの)イメージ
●outline
「She drew up an outline for the new book.」
⇒ 本の構成案・アウトライン(=全体の目次や章立てなど、大枠のストーリーライン)イメージ
”abstract”の語法・文法解説

ここからは”abstract”を実際に使う際の、語法や文法的な注意点について解説します。
”abstract”は品詞によって使い方が変わるだけでなく、名詞として使う際にもちょっとしたポイントがありますよ!
数えられる名詞(可算名詞)として扱うのが大きなポイントです!
それでは、それぞれの品詞ごとの使い方を例文と一緒に見ていきましょう。
① 形容詞としての使い方:「抽象的な」
名詞の前に置いて修飾したり(限定用法)、動詞の後ろに置いて説明したり(叙述用法)します。
例文
・It is difficult to understand abstract art.
(抽象芸術を理解するのは難しい。)・The professor’s lecture was too abstract for the students.
(教授の講義は学生たちにとって抽象的すぎた。)
② 名詞としての使い方:「要約」「論文の要旨」
先ほどコダックが言った通り、可算名詞なので単数の場合は ”an abstract”、複数の場合は ”abstracts” と形が変わります。数えられない名詞(不可算名詞)と勘違いしやすいので要注意です!
例文
・Please submit a brief abstract of your research by Friday.
(金曜日までに研究の短い要旨を提出してください。)・I read several abstracts before buying the full articles.
(論文の全文を購入する前に、いくつかの要約を読んだ。)
③ 動詞としての使い方:「〜を抽出する」「〜を要約する」
「〜を(引き)離す」「〜を抽出する」という意味で使う場合、”abstract A from B(BからAを抽出する)” という形でよく使われます。
例文
・They managed to abstract valuable data from the survey results.
(彼らは調査結果から価値のあるデータをなんとか抽出した。)・You need to abstract the main points from the document.
(書類から主要な点を要約(抽出)する必要がある。)
”abstract”の語源はラテン語 abstractus 意味は「引き離された」

”abstract”の歴史をさらに深く紐解いていきましょう。
この単語の直接のルーツは、古代ローマで使われていたラテン語の「abstractus(引き離された)」という言葉にあります。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には、”abstract”の起源について下記の記載があります。
Origin of abstract
First recorded in 1400–50; late Middle English: “withdrawn from worldly interests,” from Latin abstractus “drawn off” (past participle of abstrahere ). See abs-, tract 1日本語訳:1400〜50年に最初に記録された。後期中英語の「世俗的な関心から退いた(離れた)」という意味からきており、ラテン語で「引き離された(抜き取られた)」を意味するabstractus(abstrahereの過去分詞)が起源。abs-とtractを参照。
※参考・引用「Dictionary.com」
Dictionary.comの記述にある通り、この単語が15世紀(中世ヨーロッパ)に英語に入ってきた当初は、今のような「抽象的なアート」や「論文の要約」という意味ではありませんでした。
当時は、修道士などが「世俗的な関心や、目に見える物質世界の誘惑からグッと身を引いて、精神的な世界に没頭する」という意味で使われていたのです。
① 古代ラテン語「abstrahere」(引き離す)
・物理的に「何かを別の場所へと引っ張って切り離す」という即物的な意味でした。
↓
② 中世ラテン語「abstractus」(引き離された、抜き取られた)
・これが中世のキリスト教的な価値観と結びつきます。
↓
③ 後期中英語(世俗的な関心から離れる)
・「現実のドタバタや物質的な欲から一歩身を引き、精神や思考の領域にこもる」という意味へ発展しました。
↓
④ 現代英語「abstract」(抽象的な/要約)
・ここから「目に見える具体的な形(現実)から離れた、頭の中だけの概念(=抽象的な)」という意味や、「分厚い本からエッセンスだけを抜き取ったもの(=要約)」という意味に定着しました。
構成パーツで覚える”abstract” 「abs-」+「tract」

ここからは、単語をパーツ(語源)に分解して、圧倒的に忘れにくくするための解説をしていきます。
”abstract”は、「abs-(分離・離れて)」と「tract(引く)」という2つの重要な構成パーツから成り立っています。
それぞれのパーツが持つ意味や、同じパーツを持つ仲間(関連語)を知ることで、単語のイメージをより深く脳に定着させましょう!
”abs-”は「分離(~から離れて)」を意味するパーツ
”abs-”(単語によっては ab- や apo- に変化します)は、「分離」「~から離れて」「外へ」という意味を持つ接頭辞です。基準となる場所や状態から、距離を置いて離れていくニュアンスを含んでいます。
「abs-(離れて)」+「ent(存在する=いる)」で、「その場から離れて存在している」⇒「不在の、欠席の」という意味になるわけですね。
他にも、”abs- (ab-)” を使った重要な英単語には以下のようなものがあります。どれも「離れる」イメージがベースにあることに注目してみてください。
⇒「ab-(離れて・外から)」+「sorbere(吸い込む)」。水分や知識を、外から自分の方へ吸い込んで一体化させるイメージです。
● abuse(乱用する、虐待する)
⇒「ab-(~から離れて)」+「use(使う)」。正しい使い方(本来の枠組み)から大きく離れた使い方をすることから、「乱用」や「虐待」という意味になります。
● abnormal(異常な、風変わりな)
⇒「ab-(~から離れて)」+「normal(普通の)」。普通の基準からポーンと離れてしまっているから「異常な」という意味になります。
”tract”は「引く」を意味するパーツ
”tract”は、ラテン語に由来する「引く」「引っ張る」「引きずる」という意味を持つ、非常に強力なパーツ(語根)です。物理的に何かを引っ張るだけでなく、人の心や注意を惹きつける際にも使われます。
「at-(~の方へ:方向)」+「tract(引く)」で、「自分のほうへググッと引っ張ってくる」⇒「魅了する」という意味になります。観光地(attraction)も人を引きつける場所のことですね!
”tract” を含む単語は入試やビジネス英語でも頻出です。まとめて覚えてしまいましょう!
● contract(契約する、縮む、病気にかかる)
⇒「con-(共に)」+「tract(引く)」。お互いを同じ場所に引き寄せて結びつけることから「契約する」、全体を内側に引っ張り合うことから「縮む」、ウイルスを体に引き込んでしまうことから「病気にかかる」という意味になります。
● distract(気を散らす、注意をそらす)
⇒「dis-(あちこちに、バラバラに)」+「tract(引く)」。集中していた意識をあちこちに引っ張ってバラバラにしてしまうことから、「気を散らす」という意味になります。
● extract(抽出する、抜き出す)
⇒「ex-(外へ)」+「tract(引く)」。中にあるものを外へグッと引っ張り出すことから、バニラエッセンスなどの「抽出物」や、情報を「抜き出す」という意味になります。
● tractor(トラクター)
⇒「tract(引っ張るもの)」+「-or(~する機械)」。後ろに大きな農機具や荷車を連結して、力強く引っ張るための車だからそのまま「トラクター」と呼ばれます。
このようにパーツで見てみると、今回学習している ”abstract” が「abs-(~から離して)」+「tract(引っ張る)」=「現実の具体的な形から、要素だけを離して引っ張ってきたもの(=抽象的な、要約)」という繋がりが、頭に残りやすくなったのではないでしょうか!
”abstract”の意味と語源・覚え方のまとめ

以下、”abstract”の意味と覚え方についてのまとめです。
⇒コアイメージは「実体から要点を引き離す、抽出する」
⇒”abstract”=「抽象的な」「要約」「〜を抽出する」の意味
●語法・文法のポイント ⇒ 論文の「要約」として使う時は可算名詞(an abstract)。対義語の「concrete(具体的な)」とセットで覚えるのが効率的!
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