会話でいちばん出番が多いのに、教科書にはほとんど載っていない言葉たちです。
数が多くて困りがちなのですが、「どんな驚きか」で4種類に仕分けると、一気に使い分けられるようになりますよ!
スペイン語の「わあ!」は ¡Guau! 犬の鳴き声と同じ綴り
まず、いちばん基本になる1語から。英語の wow にあたるのが ¡Guau! です。読みは「グアウ」。gu の部分は日本語の「グ」より軽く、ほとんど「ワウ」に近く聞こえます。
【例文】
・¡Guau! Qué bonito.
(わあ! きれい。)
・¡Guau! No sabía que hablabas japonés.
(うわ、日本語話せるなんて知らなかった。)
ここで面白いのが、この guau という綴りが犬の鳴き声そのものでもあることです。スペイン語圏の犬は「ワンワン」ではなく guau guau と鳴きます。
実はまったく混ざらないんですよ!
というのも、犬の鳴き声のほうは必ず2回繰り返すからです。guau guau と続いたら犬、1回だけなら人間の驚き。それだけで区別がついてしまいます。
順番としては犬の鳴き声のほうが先にあって、そこから驚きの声が生まれたと考えられていますね!
驚きは4種類に仕分けると迷わない
スペイン語の驚き表現がややこしく感じるのは、全部まとめて「驚き」と呼んでしまうからです。実際には、次の4つのうちどれなのかで選ぶ語が変わります。
【2】信じられない(まさか・うそでしょ・本当に?)
【3】悪い驚き(うわ・参ったな・最悪)
【4】警告(危ない!・気をつけて!)
【1】良い驚き ¡Guau! ¡Qué bien! ¡Bravo!
相手の話やものが素直にすごいとき。ここは日本語の感覚とほぼ同じなので、迷いにくいグループです。
¡Qué bien!(ケ・ビエン)⇒「よかったね」「いいね」
¡Bravo!(ブラボー)⇒「すごい」。演奏や成果への称賛
¡Genial!(ヘニアル)⇒「最高」
¡Increíble!(インクレイブレ)⇒「信じられない(良い意味で)」
【2】信じられない ¡No me digas! ¿En serio?
相手の話が意外すぎて、思わず聞き返してしまうとき。ここが会話でいちばん出番の多いグループです。
¡No me digas!(ノ・メ・ディガス)
直訳は「私に言うな」。実際の意味は「まさか」「うそでしょ」。
・¡No me digas! ¿En serio te casas?(まさか! 本当に結婚するの?)
¿En serio?(エン・セリオ)
「本当に?」。どの国でも通じる、いちばん安全な聞き返し。
¿De verdad?(デ・ベルダッ)
同じく「本当に?」。en serio とほぼ交換可能。
¡No puede ser!(ノ・プエデ・セル)
「ありえない!」。良い驚きにも悪い驚きにも使う。
¡No me digas! は直訳につられないのがコツですよ!
「言うな」と書いてありますが、話を止めているわけではありません。むしろ逆で、「え、その先を聞かせて」という前のめりの相づちなんです。日本語の「うそ!」が、本当に嘘だと責めているわけではないのと同じ感覚ですね!
【3】悪い驚き ¡Vaya! ¡Qué fuerte! ¡Ay!
困ったこと、残念なこと、ショックなことを聞いたとき。
¡Vaya!(バジャ)
「おや」「まいったな」。良い驚きにも落胆にも皮肉にも転ぶ万能語。
・¡Vaya! Quería ir al parque y está lloviendo.(まいったな、公園に行きたかったのに雨だ)
¡Qué fuerte!(ケ・フエルテ)
直訳は「なんて強い」。実際は「うわ、それはすごい/それはひどい」。スペインで非常によく使う。
¡Ay!(アイ)
「ああ」。相手の不運への同情に使うと自然。
¡Qué pena!(ケ・ペナ)
「気の毒に」「残念」。
【4】警告 ¡Aguas! ¡Ojo! ¡Cuidado!
これは驚きというより相手に危険を知らせる声です。とっさに出せると本当に役に立ちます。
¡Ojo!(オホ)⇒ 直訳は「目」。「よく見て」「注意して」
¡Aguas!(アグアス)⇒ 直訳は「水」。メキシコで「危ない!」
これには有名な言い伝えがありますよ!
下水道が整っていなかった時代、家の窓から汚れた水を通りへ捨てていました。そのとき下を歩く人に向かって「水いくぞ!」と叫んで知らせたのが始まり、というものです。
今のメキシコでは水とまったく関係なく、熱い皿、走ってくる車、足元の段差、あらゆる「危ない!」に使われていますね。
・¡Aguas, viene un coche!(危ない、車が来てる!)
メキシコの驚き表現 ¡No manches! ¡Híjole! ¿A poco?
ここからは地域色の強いものです。まずメキシコ。ドラマや音楽で触れる機会がいちばん多いのがこのグループです。
¡No manches!(マジで! うそでしょ!)
メキシコの口語でもっとも有名な驚きの言葉です。「マジで」「うそでしょ」「ありえない」にあたります。良い驚きにも悪い驚きにも、呆れにも使える幅の広い表現です。
【例文】
・¡No manches! ¿Ganaste la lotería?
(マジで! 宝くじ当たったの?)
・¡No manches! Otra vez llegó tarde.
(うそでしょ、あいつまた遅刻したの。)
ここでひとつ注意があります!
よく似た形で no mames という言い方も耳にしますが、こちらはかなり下品な表現です。意味はほぼ同じでも、使える相手が限られます。
no manches のほうはその下品さを取り除いた形なので、こちらを覚えておけば安心ですよ!
¡Híjole!(うわあ、参ったな)
読みは「イホレ」。h は読みません。困った知らせ、気まずい話、面倒な出来事に対する当たりのやわらかい反応です。
日本語の「うわあ」「参ったなあ」に近く、誰に対して言っても失礼にならない安全な語という点が便利です。
【例文】
・¡Híjole! Se me olvidó por completo.
(うわあ、完全に忘れてた。)
・¡Híjole! Qué mala suerte.
(参ったな、ついてないね。)
¿A poco?(ほんとに?)
直訳すると意味が取れない表現の代表です。実際は「え、ほんとに?」という、軽く疑いながら相手に先を促す聞き返しです。
【例文】
・¿A poco no te gustó la película?
(え、あの映画気に入らなかったの?)
¡Órale!(よし/うわ/了解)
メキシコでもっとも守備範囲の広い1語です。驚き・同意・励まし・急かしのどれにもなり、文脈と声の調子だけで意味が決まります。
最初は「聞いて分かればOK」で十分ですよ!
自分から使うなら、まずは ¡No manches! と ¡Híjole! の2つだけで会話は回ります。órale は相手が使ったときに意味が取れる、という段階からで大丈夫です!
スペインの驚き表現 ¡Qué fuerte! ¡Ostras! ¡Anda!
スペイン本国では、メキシコとはまったく違う語が飛び交います。
¡Qué fuerte!(ケ・フエルテ)
「うわ、それすごい/それはひどい」。良い驚きにも悪い驚きにも使う。スペインでの使用頻度は非常に高い。
¡Ostras!(オストラス)
「うわっ」。直訳は「カキ(貝)」。強い言葉を避けるために選ばれた、無害な言い換え。
¡Anda!(アンダ)
「へえ」「まさか」。動詞andar(歩く)の形だが、驚きの声として独立している。
¡Hala!(アラ)
「うわ」。感心にも、相手のしくじりを見たときの軽いからかいにも使う。
¡Jolín!(ホリン)
「もう!」。軽い苛立ち。子どもも使う、まったく下品でない言い換え。
スペインの驚き語にはある共通点がありますよ!
ostras も jolín も、もともとある強い言葉の、頭の音だけ真似して作った言い換えなんです。日本語で「くそっ」の代わりに「くっそー」ではなく別の言葉に逃がすのと同じ発想ですね。
だから音は少し荒っぽいのに、中身はまったく無害。この仕組みを知っておくと、スペイン語の悪態がぐっと読みやすくなりますよ!
同じ語でも声のトーンで意味が変わる
ここまで語を並べてきましたが、スペイン語の驚き表現にはもうひとつ決定的な要素があります。声の出し方です。
たとえば ¡Vaya! ひとつを取っても、こう変わります。
短く、上がり調子で「バジャ!」
⇒ 良い驚き。「おお、いいね」
低く、伸ばして「バーージャ…」
⇒ 落胆。「あーあ、まいったな」
ゆっくり、平坦に「バ、ジャ」
⇒ 皮肉。「へえ、そうですか」
日本語なら「おお!」「あーあ」「へえ」と別々の音を使い分けるところを、スペイン語は同じ語のまま声だけ変えて済ませます。
この「1語が広い」という性質は、スペイン語の間投詞ぜんぶに共通する特徴です。スペイン語の間投詞・感嘆詞30語をまとめた記事で、感情ごとの全体像を整理しているので、あわせて読むと理解が早くなります。
まず使う3つを決めておく
語がたくさんあると、いざというとき何も出てこなくなります。最初は3つだけ手札にしてください。
最初に持つ3枚
①¡Guau! ⇒ 良い驚きは全部これで足りる
②¿En serio? ⇒ 聞き返しはこれ。どの国でも通じて失礼にならない
③¡Vaya! ⇒ 困った話・残念な話への反応
※メキシコの人と話すなら、②を¡No manches!に替えると一気に距離が縮まります
この3つを持っておけば、たいていの会話は受け止められますよ!
そして驚きのリアクションは、正確さより速さが価値です。完璧な文を作ろうと黙ってしまうより、¡Guau! とひと言返すほうが、ずっと会話が続きますよ!
スペイン語の驚き表現まとめ
●驚きは良い驚き/信じられない/悪い驚き/警告の4種に仕分けると選びやすい
●¡No me digas! は「言うな」ではなく「まさか、その先を聞かせて」
●メキシコ:¡No manches!(マジで)/¡Híjole!(参ったな)/¿A poco?(ほんとに?)/¡Aguas!(危ない!)
●スペイン:¡Qué fuerte! /¡Ostras! /¡Anda! /¡Jolín!。強い語を無害な音に逃がした言い換えが多い
●no mames は下品。同じ意味なら no manches を使う
●同じ語でも高さ・長さ・強さで意味が変わる。語より声を増やす
Spanish Academy「¡Guau! 15 Spanish Expressions of Surprise That Will Dazzle You」(https://www.spanish.academy/blog/guau-15-spanish-expressions-of-surprise-that-will-dazzle-you/)
Tell Me In Spanish「Mexican Slang Words」(https://www.tellmeinspanish.com/mexico/mexican-slang/words/)
Tell Me In Spanish「Spanish Interjections: 37 Exclamations You Need to Know!」(https://www.tellmeinspanish.com/vocab/spanish-interjections-exclamations/)
The Local Spain「14 expressive ‘sounds’ that will make you seem like a true Spaniard」(https://www.thelocal.es/20210722/caveman-spanish-14-sounds-that-will-make-you-seem-like-a-true-spaniard)