「qué(なんて)」+「rico(おいしい)」の2語でできた表現です。
「うわ、いい!」と体が喜んでいる感じがコアイメージで、食事の場面では「おいしい!」にあたる、いちばん身近なひとことですよ!
いきなり今日のいちばん大事なポイントに来ましたね!
実は日本語の「リッチな味」と、スペイン語の rico は、指している味が違うんです。ここを最初に整理しておきましょう!
¡Qué rico! の意味と使い方 「リッチな味」ではなく「おいしい」
”¡Qué rico!(発音:ケ・リコ)”は、食べ物や飲み物を口にして「おいしい!」「うまい!」と言うときの感嘆の表現です。
スペイン王立アカデミー(RAE)の辞書では、rico の意味の1つとして「gustoso, sabroso, agradable(おいしい、風味がよい、心地よい)」が挙げられています。
一方、日本語で「リッチな味」と言うと、バターやクリームたっぷりの濃厚な味、こってりした味を思い浮かべますよね。
「リッチ」と rico のズレ
日本語の「リッチな味」
⇒ 濃厚、こってり、コクがある(おいしいとは限らない)
スペイン語の rico
⇒ おいしい(さっぱりした果物でも、シンプルなスープでも rico)
「こってりして重い」をスペイン語で言うなら
⇒ pesado(重い):una comida pesada(胃にもたれる食事)
そのとおりです! comida rica = おいしい料理。濃いか薄いかは関係ありません。
逆に、日本語の感覚で「この料理はリッチだね」と言いたくて rico を使っても、スペイン語話者にはただ「おいしいね」とほめているように聞こえます。重くて食べきれない、と言いたいなら pesado を使いましょう。
「意味と使い方」の基本例文
・¡Qué rico!
(おいしい!)
・¡Qué rica está la sopa!
(このスープ、おいしい!)
・Este pastel está muy rico.
(このケーキはとてもおいしい。)
・¡Está riquísimo!
(めちゃくちゃおいしい!)
・¡Qué rico estuvo!
(おいしかった!)※食べ終わったあとに
rico は「金持ち」じゃないの? 英語の rich との関係
それも正解です! RAE の辞書では、rico の1番目の意味が「金持ち」で、「おいしい」は5番目なんです。
語源はゴート語の reiks(支配者・力のある人)。「力がある → 財産がある → 豊かである → 中身がたっぷりでおいしい」と意味が広がってきました。
ここでおもしろいのが、英語の rich も同じゲルマン系の親戚だということです。そして英語で rich food と言うと、「脂肪や砂糖が多くて濃厚な食べ物」のこと。日本語の「リッチな味」は、この英語の意味を受け継いでいるんですね。
同じ「豊か」から分かれた2つの道
英語 rich ⇒ 食べ物について「濃厚な、こってりした」
⇒ 日本語の「リッチな味」はこちら
スペイン語 rico ⇒ 食べ物について「おいしい」
⇒ 濃さではなく、食べた人の満足を表す
「おいしい」か「金持ち」かは estar と ser で分かれる
rico が「おいしい」なのか「金持ち」なのかは、いっしょに使う動詞で見分けられます。
【estar + rico:(今食べて)おいしい】
・La paella está rica.
(このパエリア、おいしい。)【ser + rico:(人が)金持ちだ】
・Su tío es rico.
(彼のおじさんはお金持ちだ。)
料理の「おいしい」は、今この瞬間に食べて感じた状態なので estar を使うのが基本です。
それから、例文の rica にも注目してください。paella や sopa は女性名詞なので、rico → rica と形が変わります。¡Qué rico! と単独で言うときは rico のままで大丈夫ですよ。
「おいしい話」と同じ? 食べ物以外に使う ¡Qué rico!
日本語の「おいしい」も、「おいしい話」「おいしいところを持っていく」のように、食べ物以外に使いますよね。rico も同じで、体や気持ちが「いいなあ」と感じるもの全般に使えます。
【食べ物以外の ¡Qué rico!】
・(冷えた体でお風呂に入って)¡Qué rico!
(あー、気持ちいい!)
・¡Qué rico está el sol!
(日差しが気持ちいいね!)
・Dormí rico.
(ぐっすり眠れた。)※メキシコなどで聞く言い方
まさにその感覚です! 体がじんわり喜んでいるときにぴったりなんですよ。
ただし、ここで絶対に知っておいてほしい注意点があります。
要注意!人に向けた ¡Qué rico! は色っぽい意味になりうる
「おいしい」「気持ちいい」を表す rico を大人の人に向けて使うと、「セクシー」「そそられる」という性的な含みに受け取られることがあります。とくにメキシコや中米では、この意味で使われることがよくあると説明されています。
【誤解されやすい例】
・¡Qué rico estás!
(× 元気そうだね → 〇 セクシーだね、と受け取られうる)
・Ese chico está rico.
(× その男の子はお金持ちだ → 〇 その男の子、いい男だね、と受け取られうる)
そうなんです。料理に使う「estar + rico(おいしい状態だ)」を人に当てはめると、「その人がおいしそう」という意味に聞こえてしまうわけですね。
日本語でも、人に向かって「おいしそう」と言ったら変な空気になりますよね。rico は料理・飲み物・お風呂などの「もの」や「体験」に使う、と覚えておけば安全です。
人の見た目をほめたいときは、¡Qué guapo!/¡Qué guapa!(かっこいい・きれい)のような別の言葉を使いましょう。
なお、RAE の辞書には「特に子どもについて、かわいくて愛らしい」という意味や、人への親しみの呼びかけとして使う意味も口語として載っています。赤ちゃんを見て ¡Qué rico! と言う場面があるのはこのためです。ただ、どの意味に受け取られるかは地域や言い方で大きく変わるので、初学者のうちは人には使わないのがいちばん確実です。
発音と書き方の2つのポイント
1. qué にはアクセント記号がつく
「なんて〜なんだ!」という感嘆文の qué には、必ずアクセント記号(´)をつけます。アクセント記号のない que は「〜ということ」「〜するところの」をつなぐ接続詞・関係詞で、別の単語です。
・¡Qué rico!(なんておいしいんだ!)※感嘆の qué
・Creo que es rico.(おいしいと思う。)※つなぎの que
2. 語頭の r は巻き舌になる
スペイン語では、単語の最初にくる r は、rr と同じ強い巻き舌で発音します。rico は「リコ」というより、舌を何度かふるわせる「ルリコ」に近い音です。
食事の場面なら、巻き舌が弱くてもまず通じますから安心してください!
それよりも大事なのは、「ケ」を短く、「リ」を強く言うこと。ケ・リ↑コと、リに力を入れるだけでぐっとそれらしくなりますよ。
ちなみに「すごくおいしい」の riquísimo は、c が qu に変わってつづりが変わるので、書くときは注意しましょう!
¡Qué rico! の意味と使い方のまとめ
以下、¡Qué rico! の意味と使い方についてのまとめです。
⇒食事の場面では「おいしい!」。コアイメージは「体が喜んでいる」
●日本語の「リッチな味」(濃厚・こってり)とは違う。comida rica=おいしい料理。こってり重いは pesado
⇒日本語の「リッチ」は英語 rich food 経由。スペイン語 rico とは親戚だが意味が分かれた
●estar + rico=おいしい/ser + rico=金持ち。女性名詞には rica
●お風呂・日差し・昼寝など、食べ物以外の「気持ちいい」にも使える
●大人の人に向けると性的な含みになりうる。人の見た目には guapo/guapa を使う
●感嘆の qué にはアクセント記号。語頭の r は巻き舌。すごくおいしいは riquísimo
「いただきます」「ごちそうさま」にあたる言葉がないスペイン語で、食事の前から食後まで何と言えばいいのかは、こちらの記事でまとめていますよ!
「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(rico)」
「rico – SpanishDict」
「pesado – SpanishDict」
「¡Qué rico! — Meaning, Examples & Usage – SubLearn」
「rich – Wiktionary」