「nos(お互いに)」+「vemos(ver=会う・見る の現在形)」の2パーツでできた、別れぎわのあいさつです。
ところが直訳すると「私たちはお互いに会う」。いま別れようとしている場面なのに、なぜか「会う」と言っているんです。しかも未来形ではなく現在形。このねじれの正体から見ていきましょう!
”nos vemos”の意味と読み方 コアイメージは「また顔を合わせる、そのときが来る」
”nos vemos(発音:[nos ˈβemos]/ノス・ベモス)”は、日本語の「またね」「じゃあね」「また会おうね」にあたる、スペイン語圏でいちばん耳にする別れのあいさつのひとつです。
スペイン語の辞書の総本山であるスペイン王立アカデミー(RAE)の『Diccionario de la lengua española(DLE)』にも、動詞 ver の項の中にひとつの表現として見出しが立っています。
nos vemos
expr. hasta la vista.hasta la vista
expr. U. para despedirse.日本語訳:nos vemos(表現)= hasta la vista に同じ。/hasta la vista(表現)=別れるときに使う。
※引用「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(DLE)「ver」「vista」の項」
ここで注目してほしいのは、辞書が「意味」を書かずに「別れるときに使う」という使いどころだけを書いているところです。
つまり nos vemos は、単語の足し算で意味を割り出すタイプの表現ではなく、別れぎわに口から出る決まり文句として、まるごとひとかたまりで固まっているということですね。
意味の話に入る前に、まず読み方をおさえておきましょう!
スペイン語の「v」は、英語のような下唇を噛む音ではありません。「b」とまったく同じ音として発音されます。だから vemos は「ヴェモス」ではなく「ベモス」。カタカナ表記が「ノスベモス」になっているのは、この決まりのせいなんですよ。
実はかなり困っていて、ネイティブでも ×nos bemos と書き間違える人がいるくらいなんです!
音では区別できないので、「これは ver の仲間だから v」と、語源で覚えるしかありません。ちなみに強く読む位置は ノス・ベモス。ベにアクセントを置いて、後ろの mos は軽く落とすのがコツですよ!
”nos vemos”の読み方チェック
●v は b と同じ音 ⇒ vemos=ベモス(×ヴェモス)
●母音にはさまれた b/v は唇を軽く触れさせるだけの柔らかい音 ⇒ 「ノスベモス」より少しやわらかい「ノスべェモス」に近い響き
●強く読む位置は ノス・ベモス(後ろから2番目の母音)
●s と v がつながって、実際は「ノスベモス」と一続きに聞こえる
⇒ ゆっくり言うと「ノス ベモス」、速く言うと「ノスベモス」
使う場面はとても広く、友達と別れるとき、授業やバイトが終わったとき、メッセージの締め、電話の切りぎわまで、ほぼどこでも使えます。
「意味と使い方」の基本例文
【友達と別れるとき】
・Bueno, ya me voy. ¡Nos vemos!
(じゃ、もう行くね。またね!)【あいさつを返すとき】
・—¡Nos vemos! —¡Nos vemos, cuídate!
(「またね!」「またね、気をつけて!」)【時間を足して「また◯◯にね」】
・Nos vemos mañana en la escuela.
(また明日、学校でね。)【約束そのものを作る】
・¿Nos vemos a las ocho en la plaza?
(8時に広場で会う?)
よく気づきました、そこが nos vemos の大事な二面性です!
nos vemos はあいさつとしても、本物の約束としても使えます。時間や場所をつけると「約束」、単独で言うと「またね」、と切り替わると考えてくださいね。
なぜ現在形なのに「またね」になるの? ”nos vemos”を3つに分解する
ここからが、この表現のいちばん面白いところです。
”nos vemos”を文法的に読むと、主語(私たち)+ 相互の nos + 現在形の動詞という、まったく普通の平叙文です。直訳は「私たちはお互いに会う」。あいさつというより、事実を述べている文の形をしています。
それでも「またね」になるのは、次の3つの事情が重なっているからです。ひとつずつ見ていきましょう。
① vemos は「見る」だけじゃない。ver には最初から「会う」の意味がある
”ver”は「見る」と覚えている人が多いと思いますが、DLEの語義を順に読んでいくと、途中にはっきり「会う」の意味が出てきます。
ver(Del lat. vidēre)
tr. Percibir con los ojos algo mediante la acción de la luz.
tr. Encontrarse con alguien o estar con él. Mañana voy a ver a mi amigo.日本語訳:ver(ラテン語 vidēre より)/(他動詞)光の働きによって目で何かを知覚する。/(他動詞)誰かと落ち合う、誰かと一緒にいる。例:明日、友達に会いに行く。
※引用「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(DLE)「ver」の項」
つまり ver =「目に入れる」→「顔を合わせる」→「会う」という広がりを、もともと1語で持っているわけです。
日本語でも「今度、顔を見に行くね」「久しぶりに顔を見た」と言いますよね。「見る」と「会う」が地続きになっている感覚は、実はスペイン語と日本語で共通しています。
ver の活用も、ここで一緒におさえてしまいましょう!
yo veo / tú ves / él ve / nosotros vemos / vosotros veis / ellos ven
nosotros(私たち)の形が vemos です。”nos vemos”の vemos は、この「私たち」の形だったんですね!
② nos は「お互いに」を作るしるし
次に、頭についている nos です。これは「私たちを/私たちに」を表す代名詞ですが、この位置に置かれると「お互いに」という相互の意味を作ります。
RAEとスペイン語圏各国のアカデミーが共同で編んだ『Nueva gramática de la lengua española(NGLE)』には、この nos について次のように書かれています。
No existen en español pronombres átonos exclusivamente recíprocos. […] los pronombres nos, os, se admiten usos reflexivos y también recíprocos.
日本語訳:スペイン語には、相互の意味専用の弱形代名詞は存在しない。[…]代名詞 nos, os, se は、再帰の用法と相互の用法の両方を受け入れる。
※引用「Real Academia Española y ASALE, Nueva gramática de la lengua española 16.5 Los pronombres recíprocos」
ここがかなり面白いポイントです。専用の形がないということは、”nos vemos”は理屈のうえでは2通りに読めるということになります。
”nos vemos”は理屈のうえでは2通りに読める
●再帰の読み ⇒「私たちは自分たち自身を見る」
(例:鏡の前に全員で立っている場面)
●相互の読み ⇒「私たちはお互いを見る=お互いに会う」
(例:別れぎわ)
⇒ 形はまったく同じ。どちらの意味になるかは状況が決める
⇒ 別れぎわに鏡を見る人はいないので、あいさつの場面では100%「お互いに会う」の読みになる
しないんです。日本語でも「二人は見つめ合った」と言えば、誰も「自分の顔を見た」とは思いませんよね。
それでも本当にどちらか分からない文では、el uno al otro(お互いに)や a nosotros mismos(私たち自身を)を足して区別します。NGLEにも、この足し方で曖昧さを解消すると書かれていますよ!
③ 決まっている予定は、現在形のまま言ってしまえる
最後の関門が「未来のことなのに現在形」問題です。
スペイン語には veremos(会うだろう)という立派な未来形があります。それなのに、あいさつで使うのは現在形の vemos のほう。これにはpresente prospectivo(前望的現在/未来の意味の現在形)という、れっきとした名前がついています。
El presente prospectivo o presente pro futuro se caracteriza por aludir a hechos posteriores al momento de la enunciación. […] Este uso del presente es característico, aunque no exclusivo, de los compromisos, así como de las afirmaciones rotundas, la descripción de planes, actuaciones previstas o programadas y otros sucesos venideros cuyo acaecimiento no se pone en duda.
(例文)El avión a París sale a las diez.
日本語訳:前望的現在(未来のかわりの現在形)は、発話の時点より後の出来事を指す点に特徴がある。[…]この現在形の用法は、約束ごと、断定的な発言、予定の説明、あらかじめ決まっている行動、その他起こることが疑われていない未来の出来事に特徴的である(それだけに限られはしないが)。/(例文)パリ行きの飛行機は10時に出る。
※引用「Real Academia Española y ASALE, Nueva gramática de la lengua española 23.6n」
ポイントは最後の「起こることが疑われていない未来の出来事」という一文です。
未来形の veremos は「たぶんそのうち会うでしょう」という予想の色が出ます。いっぽう現在形の vemos は、「また会うに決まっている」という前提のもとで、すでに決まっている予定として口に出している形なんですね。
これ、実は日本語話者にはすごく分かりやすい発想なんです!
日本語にはそもそも未来形がありません。「明日、駅前に行きます」「来週会います」——全部、形のうえでは現在形(非過去形)ですよね。決まっている予定は、わざわざ未来の形にしなくていい。この感覚がそのまま nos vemos です!
そういうことです! ここまでの3つを合体させると、nos vemos の正体が見えてきますよ。
vemos(会う)+nos(お互いに)+現在形(決まっている予定)
=「私たち、また会うからね」
日本語の「また会おうね」と、部品の組み方までそっくりなんです!
最初にnos vemosを教科書で見たとき、活用表と全然結びつかなくて「なんで現在形なのに未来の話なの?」って何度も辞書を引いちゃったな。
私も学習し始めのころ、まったく同じところでつまずきました!文法書に「現在形」としか書かれていないと、未来のことに使っていい理由が分からなくて、しばらくもやもやしていたんです。presente prospectivoという名前があると知ったときは、逆に「ちゃんと理由があったんだ」とホッとしましたよ。
”nos vemos”の分解まとめ
nos(お互いに)+vemos(ver=会う の「私たち」の形)
↓ 直訳
「私たちはお互いに会う」
↓ 現在形=すでに決まっている予定を指す(presente prospectivo)
↓
「また会うからね」=「またね」「じゃあね」
”nos vemos”と”hasta luego”の違い どちらを使えばいい?
スペイン語の別れのあいさつでもうひとつの主役が ”hasta luego”(アスタ・ルエゴ/またね)です。どちらも「またね」と訳されるので、初学者がいちばん迷うところですね。
違いは文の作りそのものにあります。
作りがまったく違う2つのあいさつ
●hasta luego=「hasta(〜まで)」+「luego(後で)」
⇒ 前置詞+副詞。動詞がない。直訳は「後でまで」
⇒ 目線は「次に会うそのときまで」という“区切り”にある
●nos vemos=「nos(お互いに)」+「vemos(会う)」
⇒ 主語+動詞のそろった文。動詞がある
⇒ 目線は「また会う」という“行為そのもの”にある
正直にお答えすると、ほとんどの場面でどちらを使ってもかまいません。そこは安心してください!
そのうえで感覚の差を言うなら、hasta luego は誰にでも使える万能型。店員さんにも、初対面の人にも、上司にも使えます。
いっぽう nos vemos は「また会う人」に向けた言葉。「会う」と言い切っている分、少しだけ距離が近い響きになりますよ。
その感覚で正解です! もっとも、スペインでは二度と行かない店を出るときにも普通に hasta luego と言うので、あまり厳密に考えなくても大丈夫ですよ。
逆に、クラスメイトや同僚のように明日また顔を合わせる相手には nos vemos がとてもよくハマります。
迷ったときの選び方
●相手が誰でも安全に済ませたい ⇒ Hasta luego.
●また会うことが分かっている相手 ⇒ Nos vemos.
●その場をやわらかく締めたい ⇒ 両方つなげて “Bueno, hasta luego, ¡nos vemos!” でもOK
⇒ 2つを続けて言ってもまったく重複になりません。むしろネイティブがよくやる言い方です
”hasta luego”そのものの成り立ち(直訳が「後でまで」になる理由や、adiós との違い)については、hasta luego(アスタルエゴ)の意味と使い方をまとめた記事で詳しく解説しています。あわせて読むと、別れのあいさつ全体の地図が一気に頭に入りますよ。
”nos vemos al rato”と”nos vemos pronto”の違い 後ろにつける言葉で再会の距離が変わる
nos vemos は主語と動詞がそろった文なので、後ろに時を表す言葉をいくらでも足せます。むしろ足すのが普通と言ってもいいくらいです。
そして、ここで足す言葉によって「次に会うのはいつごろか」がまるごと変わります。よく使われる2つ、al rato と pronto から見ていきましょう。
”nos vemos al rato” =「またあとでね」(たいてい今日じゅう)
まず rato という単語の中身です。DLEの語義と語源を見ると、この表現の距離感が一発でつかめます。
rato(Del lat. raptus, part. pas. de rapĕre ‘arrebatar’)
m. Espacio de tiempo, especialmente cuando es corto. Estuve esperando un rato.al poco rato, al rato, a poco rato
locs. advs. Poco después, al poco tiempo.日本語訳:rato(ラテン語 raptus〈rapĕre「奪い取る」の過去分詞〉より)/(男性名詞)時間の幅、とくにそれが短いとき。例:しばらく待っていた。/al rato ほか(副詞句)少し後で、少し経ってから。
※引用「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(DLE)「rato」の項」
語源の raptus(奪い取られたもの)がおもしろいですね。英語の rapid(急速な)や、日本語にも入っている「ラプチャー」と同じ family で、時間の流れから“ひとつかみ、もぎ取ってきた短い時間”というのが rato のイメージです。
さらに、中南米のスペイン語を集めた『Diccionario de americanismos(アメリカ方言辞典)』には、地域ごとの使われ方が載っています。
rato. ǁ al ~. i. loc. adv. Mx, Ni, Pa, RD, Ec:O, Pe, Bo. Dentro de poco, en breve.
日本語訳:rato/al rato(副詞句)メキシコ、ニカラグア、パナマ、ドミニカ共和国、エクアドル西部、ペルー、ボリビア。まもなく、じきに。
※引用「Asociación de Academias de la Lengua Española, Diccionario de americanismos「rato」の項」
まとめると ”Nos vemos al rato.”=「またあとでね」。基本的には同じ日のうち、数十分から数時間後にまた顔を合わせる場面で使う言い方です。
ここでひとつ、旅行や留学で必ず役に立つ現地の事情をお伝えしておきますね!
辞書の定義は「まもなく」ですが、とくにメキシコでは al rato の時間感覚がとてもゆるいんです。10分後のこともあれば、3時間後のこともあります。「そのうちね」に近い、やわらかい言い方として使われている、と思っておくと待ちぼうけを食いませんよ!
困ります! なので対処法は簡単で、本当に時間を決めたいときは数字を言うこと。
”¿Nos vemos al rato?”(またあとでね?)と言われたら、”¿A qué hora?”(何時に?)や ”Nos vemos a las seis, ¿va?”(6時にしよう、いい?)と返せば、ちゃんと約束になりますよ!
”nos vemos pronto” =「近いうちにまたね」(日をまたぐ)
いっぽうの pronto は、こちらもDLEを引くと性格がはっきりします。
pronto, ta(Del lat. promptus)
adv. Antes de lo que se espera. Murió muy pronto.hasta pronto
expr. U. para despedirse.日本語訳:pronto(ラテン語 promptus より)/(副詞)思っているより早く。例:彼はとても早くに亡くなった。/hasta pronto(表現)別れるときに使う。
※引用「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(DLE)「pronto」の項」
ここが al rato との決定的な違いです。pronto は「想定より早く」。つまり「本当ならもっと先になるはずだけど、そうならずに早く」という含みを持っています。
そのため ”Nos vemos pronto.”=「近いうちにまた会おうね」。今日のうちではなく、数日後〜数週間後を見ています。しばらく会えない相手との別れぎわ、旅行の最終日、留学の帰国前などにぴったりの言い方です。
その引っかかりは鋭いですよ! カギは「何と比べて早いのか」です。
al rato は「今」を基準にして少し後。
pronto は「本来ならずっと先になるはず」を基準にして、それより早く。
だから pronto には「早く会いたいね」という気持ちがにじむんです。別れがさびしい相手にこそ似合う言葉なんですよ!
後ろにつけられる言葉の一覧
ほかにもさまざまな言葉を足せます。よく使うものをまとめておきましょう。
”Nos vemos + 〇〇” 再会までの距離早見表
●Nos vemos al rato.(またあとで)⇒ 数十分〜数時間後・今日じゅう
●Nos vemos en un rato.(ちょっとしたらね)⇒ al rato とほぼ同じ。より「すぐ」寄り
●Nos vemos más tarde.(また後で)⇒ 今日じゅう。中立的でどの国でも通じる
●Nos vemos luego.(またあとで)⇒ 幅が広い。今日じゅうにも、漠然と「そのうち」にもなる
●Nos vemos pronto.(近いうちにね)⇒ 数日〜数週間後。早く会いたい気持ちが出る
●Nos vemos mañana.(また明日)⇒ 明日。いちばん誤解が起きない
●Nos vemos el lunes.(また月曜に)⇒ 曜日・日付を入れれば完全に確定
●Nos vemos a las ocho.(8時にね)⇒ あいさつではなく約束になる
⇒ 迷ったら mañana / el lunes / a las ocho のように数字と固有の時を入れるのが安全
この表で覚えてほしい優先順位はたった1つです!
本当に会う約束をしたいなら、時刻か日付を必ず入れる。
al rato も luego も pronto も、すべて「だいたい」を表す言葉ですからね。あいさつとして流すのか、約束を取りつけるのか。ここを意識するだけで、現地でのすれ違いはぐっと減りますよ!
”nos vemos”と言われたら? 返事の仕方
スペイン語の別れのあいさつでいちばん多い質問が、「返事はどうすればいいのか」です。
結論から言うと、”¡Nos vemos!” とそのまま返すのが正解です。おうむ返しで、まったく失礼になりません。
まったく聞こえません。むしろ、これがいちばん自然です!
理由はnos vemos の中身にあります。この表現は「私たち」が主語なので、言った側と言われた側の両方をすでに含んでいるんですよ。だから、そっくり返しても意味がずれません。日本語の「またね」「またね」と同じですね!
とはいえ、毎回同じでは物足りないという人のために、返し方のバリエーションを整理しておきましょう。
・¡Nos vemos!
(またね!)※もっとも自然な基本形。これだけ覚えれば足ります
・¡Hasta luego! / ¡Chao!
(じゃあね!)※別のあいさつに置き換える形。chao は中南米で非常に多い
・¡Nos vemos, cuídate!
(またね、気をつけてね!)※ひと言添えると一気にやさしい響きになる
・¡Sí, nos vemos! / ¡Claro, nos vemos!
(うん、またね!)※Sí や Claro を頭につけると、相手の言葉を受け止めた感じが出る
・¡Que te vaya bien!
(気をつけて/うまくいきますように!)※立ち去る相手を送り出すときの定番
さらに、頭に置くあいづちの一語は国によってはっきり分かれます。ここを合わせられると、ぐっと現地っぽく聞こえますよ。
国で変わる「じゃ、またね」のあいづち
●スペイン ⇒ Vale, nos vemos.(オッケー、またね)
●メキシコ ⇒ Sale, nos vemos. / Va, nos vemos.(りょーかい、またね)
●アルゼンチン・ウルグアイ ⇒ Dale, nos vemos.(うん、またね)
●コロンビア ⇒ Listo, nos vemos.(オッケー、またね)
⇒ どれも直訳すると「いいよ」「オッケー」。返事の頭に置くクッションとして使われます
ひとつだけ、初学者がよくやってしまう返事のミスをお伝えしておきますね。
×「Nos vemos.」→「Igualmente.」
igualmente(あなたもね)は、”¡Que tengas buen día!”(よい一日を!)のように相手が自分に何かを願ってくれたときの返しです。nos vemos は願いごとではないので、ここで返すとかみ合わないんです!
igualmenteって便利な相槌だと思ってたから、なんにでも使えそうな気がしちゃうな。
実は私も学習し始めのころ、まさにこのミスをやらかしています!お店の人にNos vemos.と言われて、なんとなく丁寧そうな響きだったIgualmente.を返したら、一瞬きょとんとされてしまって……。似た場面でよく聞くフレーズほど、意味を確認せずに使ってしまいがちなんですよね。
「誘い」としての ”¿Nos vemos…?” に答えるとき
語尾を上げて ”¿Nos vemos mañana?” と聞かれた場合は、あいさつではなく予定の確認です。この場合はきちんと中身のある返事をしましょう。
「誘い」への返事の例文
【受けるとき】
・—¿Nos vemos mañana? —¡Claro! Nos vemos a las seis.
(「明日会う?」「もちろん!6時にね。」)【断る/ずらすとき】
・—¿Nos vemos el sábado? —Ese día no puedo. ¿Nos vemos el domingo?
(「土曜に会う?」「その日は無理なんだ。日曜にしない?」)【あとで決めたいとき】
・—¿Nos vemos al rato? —Sí, te escribo cuando salga.
(「あとで会う?」「うん、出たら連絡するね。」)
”nos vemos”の仲間の表現と、使うときの注意点
せっかく nos vemos を覚えるなら、同じ「また会う」型の言い方もまとめて拾ってしまいましょう!
実はスペイン語には、ver(会う・見る)から生まれた別れのあいさつがいくつもあるんですよ。
ver から生まれた別れのあいさつ
先ほど引いたDLEの ver の項には、nos vemos 以外にも別れの表現がいくつか載っています。
ver・vista から生まれた別れのあいさつ
●Nos vemos.(またね)
⇒ 本記事の主役。いちばん日常的
●Hasta la vista.(また会うときまで)
⇒ DLEに「別れるときに使う」と明記。ややドラマがかった響きで、映画のセリフとしても有名
●Te veo luego.(また後でね)
⇒ nos ではなく te。「私があなたに会う」の一方通行で、お互い感が薄れる
●Hasta más ver. / A más ver.(また会うときまで)
⇒ DLEでは hasta la vista と同じ扱い。やや古風でかしこまった響き
●Nos estamos viendo.(またそのうちね)
⇒ 進行形にした形。メキシコやコロンビアなど中南米でよく使われる
●Ahí nos vemos.(じゃ、またね)
⇒ 頭に ahí(そこで)を足したくだけた形。メキシコで非常によく耳にする
視点の数が違うんです!
Te veo luego.=「私があなたに会う」。矢印が1本。
Nos vemos luego.=「私たちがお互いに会う」。矢印が2本。
どちらも自然な言い方ですが、nos vemos のほうが「一緒に」という感じが強く出るので、あいさつとしてはこちらが好まれるんですよ!
ちなみに ”Ahí nos vemos.” は、メキシコでは音の遊びで ”Ahí nos vidrios.”(vidrios=ガラス)というふざけた形に変えられることがあります。意味はまったくなく、vemos と vidrios の音が似ているだけの言葉遊びです。
使うときの注意点3つ
最後に、初学者がつまずきやすいポイントを3つだけ確認しておきましょう。
1. 二度と会わない相手には使わない
nos vemos は「また会う」と言い切る表現です。裏を返せば、再会する見込みがない相手には向きません。
お葬式の場、退職して二度と会わない相手、決別する相手などでは、adiós(さようなら)や cuídate mucho(本当に元気でね)のほうが場に合います。逆に言えば、nos vemos には「またね」という前向きな明るさがあるということですね。
2. 未来形の ”nos veremos” にすると響きが変わる
文法的には ”Nos veremos.”(私たちはまた会うだろう)も正しい文です。ただし、日常の別れぎわで使うとやや文語的で、重い響きになります。
「いつかきっと、また会うことになるでしょう」という宣言に近い響きで、小説や歌詞、感動的な別れの場面には合いますが、コンビニを出るときに言うと大げさに聞こえてしまいます。日常は現在形の nos vemos で正解です。
3. 相手が1人でも nos(私たち)を使う
これが日本語話者のいちばんの引っかかりどころです。
目の前にいる相手がたった1人でも、nos vemos の形は変わりません。「私」+「あなた」=2人で『私たち』だからです。×Te vemos や ×Se vemos にする必要はまったくありません。
その気持ち、よく分かります! でもここは考え方をひっくり返すチャンスですよ。
「会う」という行為は、ひとりでは絶対に成立しません。必ず2人以上が必要ですよね。だからスペイン語は最初から「私たち」で数えているんです。
そう思うと、nos vemos ってちょっと温かい言葉だと思いませんか?
そこに気づけたなら、この表現はもう完全に自分のものです!
まずは別れぎわに ¡Nos vemos! と声に出すところから始めてみましょう。慣れてきたら ¡Nos vemos mañana!、¡Nos vemos pronto! と、後ろに時間を足していってくださいね!
30秒でわかる nos vemos+○○ 診断
「次にいつ会うか」を基準に、後ろに足す言葉を1つ選びます。
ただし国によって時間感覚がゆるいので注意
中立的でどの国でも通じる
「想定より早く」が原義。早く会いたい気持ちがにじむ
いちばん誤解が起きない
曜日や日付を自由に入れ替えられる
あいさつではなく約束になる
adiós や cuídate mucho のほうが場に合う
※ al rato/luego/pronto はすべて「だいたい」の言葉。本当に約束したいときは、時刻か日付を必ず添えましょう。
”nos vemos”の意味・分解・使い方のまとめ
以下、”nos vemos” についてのまとめです。
⇒直訳は「私たちはお互いに会う」。DLEには nos vemos=hasta la vista=「別れるときに使う」と登録されている
●読み方は「ノス・ベモス」。スペイン語の v は b と同じ音なので「ヴェモス」にはならない
●ver は「見る」だけでなく「会う」の意味を最初から持っている(DLE:Encontrarse con alguien)
●nos は「お互いに」を作るしるし。ただし相互専用の形はなく、意味は状況が決める(NGLE 16.5)
●現在形なのに未来を指すのは presente prospectivo(前望的現在)。決まっている予定は現在形のまま言うという、日本語とまったく同じ発想
●hasta luego との違い ⇒ hasta luego は動詞のない「後でまで」で万能型。nos vemos は動詞のある文で、また会う相手向けの少し近い響き
●al rato と pronto の違い ⇒ al rato=今日じゅうの「またあとで」/pronto=数日〜数週間後の「近いうちに」。本当に約束するなら時刻か日付を入れる
●返事 ⇒ ”¡Nos vemos!” とそのまま返せばOK。¡Hasta luego! ¡Chao! ¡Cuídate! でも可。Igualmente は不適切
●注意 ⇒ 二度と会わない相手には使わない/未来形 nos veremos は重い/相手が1人でも nos のまま
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「Real Academia Española, Diccionario de la lengua española(https://dle.rae.es/)」※ver/vista/rato/pronto の項
「Real Academia Española y Asociación de Academias de la Lengua Española, Nueva gramática de la lengua española(16.5 Los pronombres recíprocos/23.6 El presente (canto) (II))」
「Asociación de Academias de la Lengua Española, Diccionario de americanismos(https://www.asale.org/damer/rato)」
「Wikcionario, nos vemos(https://es.wiktionary.org/wiki/nos_vemos)」