ゲルマン諸語や古い英語の「見守る・注意する」というコアな概念から成り立っている単語です。
「注意して見守る・防衛する」がコアイメージで、単語としては“ward”=「(危険を)かわす、病棟、行政区」の意味を持ち、パーツとしては「〜の方へ」という意味を持ちますよ!
”ward”の意味と使い方 コアイメージは「注意して見守る・防衛する」
”ward(発音:wɔ́ːrd/ウォード【動詞・名詞】)”は「(危険を)かわす」「病棟・行政区」の意味を持つ単語です。
また、単語の後ろにくっつくことで「〜の方へ」という意味を表すパーツ(接尾辞)としても大活躍します。どちらも「注意して見守る・特定の方向を意識する」がコアイメージです。
また、注意深く管理・監視されている特定の場所を指すようになって、病院の「病棟」や、市などの守られた「行政区・選挙区」という意味にも繋がっているんだよ!
”ward”は「外敵から身を守るために警戒する」というニュアンスが強い単語です。
【語法・文法のワンポイント!】
“ward off” は他動詞のセットなので、後ろに目的語が来ます。例えば「それ(危険など)を追い払う」と代名詞を使う場合は、”ward it off” のように、ward と off の間に挟む形になるのが文法的な特徴ですね!
このように”ward”で表現するものは、「注意深く管理し、守る」という意味合いが多く含まれます。
また、接尾辞として他の単語の後ろにつく時は、「その方向へ意識が向いている」状態を表します。
「ward」の基本例文
▼ 動詞:〜をかわす、追い払う(ward off)
・Regular exercise helps ward off colds.
(定期的な運動は風邪を予防する[追い払う]のに役立つ。)
・She drank hot tea to ward off the chill.
(彼女は寒気を追い払うために温かいお茶を飲んだ。)▼ 名詞:病棟、行政区・区画
・He was admitted to the psychiatric ward.
(彼は精神病棟に入院した。)
・The city is divided into five electoral wards.
(その市は5つの選挙区[行政区]に分かれている。)※参考・一部例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
”ward”の関連語①:「防ぐ・避ける」を意味する単語”prevent / avoid”との違い
代表的な類義語として”prevent”や“avoid”があります!
⇒「防ぐ・避ける」の意味を持つ単語”prevent / avoid”
イメージの違いとしては以下のようになります!
ward off ⇒「近寄らせない」=迫ってくる悪いものを盾で追い払う
prevent ⇒「未然に防ぐ」=先回りして発生そのものを根元からゼロにする
avoid ⇒「身をかわす」=すでに目の前にある危険・障害物を避ける
といった感じです!
実際の表現を見ながら、それぞれの使い分けを確認してみましょう!
● ward off evil spirits / bad luck
「悪霊を追い払う(魔除けをする)/厄除けをする」
⇒こちらに迫ろうとする邪悪なものを、バリアで跳ね返すイメージ
● prevent an illness / traffic accidents
「(ワクチンや対策で最初からかからないように)病気を予防する/交通事故を防ぐ」
⇒原因を事前にシャットアウトして、発生そのものをゼロにするイメージ
● avoid traffic jams / danger
「(別の道を通って)渋滞を避ける/危険を回避する」
⇒すでに発生している面倒な場所へ進せず、進路をヒラリと変えるイメージ
”ward”の関連語②:「〜の方へ」を意味する接尾辞”-ward / -wards”
⇒「特定の方向を向く・向かう」という意味を作るパーツ
基本的には、s なしの ”-ward” は「形容詞(〜の方への)」と「副詞(〜の方へ)」の両方で使えますが、s ありの ”-wards” は「副詞(〜の方へ)」としてしか使えません。
また、地域的な好みもあって、アメリカ英語では s なし(forward, backward)が好まれ、イギリス英語では副詞のときに s あり(towards, backwards)がよく使われるという特徴があります!
方向を表す言葉の後ろにつくことで、以下のような意味になります。
for (前に) + -ward ⇒「forward」=前方へ、前方の
back (後ろに) + -ward ⇒「backward」=後方へ、後方の(後ろ向きの)
home (家に) + -ward ⇒「homeward」=家路に向かう、帰途の
といったイメージです。
● forward
・I’m looking forward to meeting you.
(あなたにお会いできるのを心待ちにしています。)
⇒意識を『前方(未来)』に向けて、ワクワクしながら待つ(楽しみにする)イメージです。
● backward
・He took a step backward in surprise.
(彼は驚いて後ろへ一歩下がった。)
⇒足や体の向きを『後ろの方向』へ動かすイメージです。
● homeward
・They are on the homeward journey.
(彼らは家路についている[帰途にある]。)
⇒意識も体も『わが家』の方向へ向かっている、帰路のイメージです。
”ward”の語源は2つある!? 「見守る・防衛する」と「方向」の由来

”ward”の語源についても、確認していきましょう。
実は、”ward”には「単語としてのward」と「接尾辞としての-ward」で、それぞれ別々の起源があります。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”ward”の起源について、下記の記載があります。
Origin of ward1
First recorded before 900; Middle English noun warde, Old English weard; Middle English verb warde(n), Old English weardian; cognate with Middle Dutch waerden, German warten; cf. guardOrigin of -ward3
Middle English; Old English -weard towards; cognate with German -wärts; akin to Latin vertere to turn ( see verse)日本語訳:【単語のward】900年より前に初記録。中期英語の名詞 warde、古期英語 weard、中期英語の動詞 warde(n)、古期英語 weardian が起源。中期オランダ語 waerden、ドイツ語 warten(待つ)と同系であり、guard(守る)とも関連。
【接尾辞の-ward】中期英語、古期英語の「〜の方へ(towards)」を意味する -weard が起源。ドイツ語の -wärts と同系であり、ラテン語の「向きを変える(to turn)」を意味する vertere とも同源。※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からみるに、同じ「ward」というスペルでも、歴史を辿るとそれぞれ別の意味から発展してきたことが分かります。具体的にどう発展してきたのか、詳しく見ていきましょう!
● 古期英語:weard / weardian(見守る、監視する、防衛する)
↓
● 監視・防衛するという意味から「(危険を)かわす」という意味に発展
● 同時に、見守られ、管理されている特定の区域という意味から「病棟」「行政区」という意味に発展
● 古期英語:-weard(〜の方へ)
↓
● ラテン語の vertere(向きを変える)と同じルーツを持つ
↓
● 身体や意識の向きを変えて「ある方向を意識する(〜の方向へ)」意味へと発展
このように、「防衛・管理(ward)」と「方向(-ward)」という2つの別々のルーツを持った言葉が、長い歴史の中で同じ”ward”という形に落ち着いたのです。
そういえば、さっきの辞書の引用に「guard(守る)とも関連」って書いてあったけど、あれはどういうことなの?
実はみんながよく知っている「guard(守る)」と「ward(見守る・防衛する)」は、大昔の言葉のルートが同じ「双子のような単語」なんです!
古代のゲルマン語(英語の先祖)にあった「W」から始まる言葉が、フランス語圏に伝わった際、フランス語の発音のクセで「W」の音が「G(Gu)」に変化して定着することがありました。
つまり、ゲルマン語の”ward”が、フランス語を経由して英語に逆輸入された姿が”guard”なのです。
・ward(防衛する) = guard(守る)
・warranty(保証) = guarantee(保証)
・William(ウィリアム/人名) = Guillaume(ギヨーム/人名)
こうした歴史の裏側を知っておくと、”ward”が「注意して見守る・防衛する」という意味を持つことが、より深く納得できるはずです!
構成パーツで覚える”ward” 「ward(見守る・向く)」

ここからは構成パーツの面から”ward”についてさらに深掘りして覚えていきましょう。
”ward”はそれ自体が単語の核(語根)として使われるだけでなく、他の単語のお尻にくっついて方向を示す強力なパーツ(接尾辞)としても活躍します。
次に、関連するパーツの組み合わせや派生語を詳しく紹介していきます。
パーツとしての”ward”①:「注意深く見る・守る」
”ward”単体、あるいは単語の中に組み込まれるパーツとしての”ward”は、「注意して見守る」「防衛する」というコアイメージをそのまま引き継ぎます。
施設や人々を注意深く管理して見守る人、つまり「管理人、監視員、刑務所長」といった意味を表しています。
その他にも、おなじみの単語である award(賞・賞を与える) や、reward(報酬・報いる) 等も、実は”ward”の仲間といえる単語です。
● award(賞を与える)
「a(〜の方へ)」+「ward(じっと見る)」
⇒ 審査員が作品や人を「じっと見て判定する」ところから、「賞を与える」という意味に発展しました。
● reward(報酬・報いる)
「re(後ろへ・お返しに)」+「ward(じっと見る)」
⇒ 自分のために働いてくれた人を「見返してあげる(見守ってくれたお返しをする)」ところから、「報酬を与える」という意味になりました。
パーツとしての”-ward”②:「〜の方向へ」
お尻につく”-ward”は、「特定の方向へ意識を向ける、向きを変える」ことを意味するパーツです。
空間的な方向だけでなく、時間の流れや心理的な方向を表すこともあります。
意識のベクトルが内側に向いている状態(=「内側への、心の中の、精神的な」)を表しています。
逆に外側に向かえば outward(外側への・表面的な) になりますね!
その他の”-ward”を使用する単語についても、まとめて覚えてしまいましょう!
- ・upward:「up(上)」+「ward(〜の方へ)」⇒ 上向きに、増加して
- ・downward:「down(下)」+「ward(〜の方へ)」⇒ 下向きに、減少して
- ・westward:「west(西)」+「ward(〜の方へ)」⇒ 西の方へ(※eastward, northward, southwardも同様)
- ・awkward:「awk(反対方向の・不器用な)」+「ward(〜の方へ)」⇒ ぎこちない、気まずい(※本来の方向とは逆を向いているイメージから)
”ward”の意味と語源・覚え方のまとめ

以下、”ward”の意味と覚え方についてのまとめです。
⇒コアイメージは「注意して見守る・防衛する」
⇒”ward”=「(危険を)かわす」「病棟・区画」、接尾辞としては「〜の方へ」の意味
●語法・文法のポイント ⇒動詞として使う際は、後ろに off を伴って ”ward off 〇〇(〇〇を追い払う・防ぐ)” という群動詞の形で頻出します。
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