日常会話で超頻出の単語ですが、実は「指示(あれ・あの)」「接続詞(〜ということ)」「関係代名詞(〜な…)」という3つの重要な役割を持っています。
「離れたものを指し示す」がコアイメージで、これさえ掴めば、複雑に見える文法も一発で納得できますよ!
”that”の意味と使い方 コアイメージは「離れたものを指し示す」
”that(発音:ðæt/ザット【代名詞・形容詞・接続詞】)”は「あの、あれ」「〜ということ」「〜な…」の意味を持つ単語です。
一見ややこしいですが、すべて「(自分から少し離れたものを)ピシッと指し示す」というコアイメージから派生しています。
頭の中にある客観的な事実を指さして「〜ということ(=「接続詞」)」と言ったり、名詞を後ろから指さして説明を追加する「〜な…(=「関係代名詞」)」にするのも、すべて”that”の指し示す力なわけですね!
①「指示代名詞・指示形容詞」としてのthat(あれ・あの〜)
離れたところにあるモノや人を「あれ」「あの〜」と直接指さす、最も基本の役割です。物理的な距離だけでなく、過去の思い出など「時間的な距離」があるものを指すときにも使われます。
【語法・文法のポイント】
・単数形なので、指し示す対象が複数の場合は those(あれら) に変化します。
・会話で大活躍する That’s right.(その通り) や That’s a good idea.(それは良い考えだ) も、相手の発言を一歩離れたところから客観的に「まさにそれ!」と指さしている表現です。
例文
・Look at that star.
(あの星を見てごらん。[物理的に離れたものを指さす形容詞のthat])・That was a great movie.
(あれは素晴らしい映画だった。[過去という時間的に離れた思い出を指さす代名詞のthat])・Who is that tall man over there?
(あそこにいるあの背の高い男の人は誰ですか?)
②「接続詞」としてのthat(〜ということ)
後ろに「主語+動詞」の完全な文を連れてきて、その内容全体を「〜という事実」と1つの大きな名詞のパッケージにして指し示す役割です。
【語法・文法のポイント】
・thatの後ろには、文法的に欠けのない「完全な文」が続きます。
・「〜だと思う(I think that…)」や「〜だと知っている(I know that…)」などの動詞の目的語になるthatは、口語(日常会話)では非常によく省略されます。
例文
・I know that he is honest.
(彼が誠実だということ[その事実]を知っています。)・I think that she will win the game.
(彼女が試合に勝つと思います。[会話ではthatがよく省略されます])・The rumor that he will marry her is true.
(彼が彼女と結婚するという噂は本当だ。[同格のthat:「噂」の内容を具体的に指し示す])
③「関係代名詞」としてのthat(〜な…)
前に置いた名詞(先行詞)をピシッと指さして、後ろから「どんな名詞なのか」を詳しく説明(修飾)する役割です。「who」や「which」の代わりに、人にもモノにも両方使える万能なパーツです。
【語法・文法のポイント】
・修飾する後ろの文は、主語や目的語が抜けた「不完全な文」になります。
・thatが後ろの文の目的語の代わりをしている場合(目的格)、このthatも省略可能です。
例文
・The book that I bought yesterday was interesting.
(私が昨日買った本は面白かった。[boughtの目的語が欠けた不完全な文。thatは省略可能])・This is the bus that goes to the station.
(これが駅に行くバスです。[goesの主語が欠けた不完全な文。thatは省略不可])
”that”の関連語①:使い分けに迷いやすい指示語 ”this / it / those”
特に”this”や”it”とのイメージの違いを掴むと、実際の会話でも迷わなくなりますよ!
⇒「指し示す・受ける」イメージを持つ単語”this / it / those”
それぞれのイメージの違いはこんな感じです!
this ⇒「手元のこれ」=自分のすぐ近くにあるもの、現在のリアルタイムな話題
that ⇒「指さすあれ」=離れた特定のものをピシッと指さす
it ⇒「ぼんやり受ける」=すでに話題に出て共通認識があるものを指ささずに「それ」と受ける
those ⇒「あれら」=that(あれ・あの)が複数集まったもの
“that”は指をピシッとさして対象を際立たせるのに対して、“it”は指をささずに「その話だけどね」と優しく引き継ぐようなイメージの違いがあるわけですね!
● this
「I like this bag.」
⇒(自分の手元や目の前にあるバッグを指して)「このバッグが好き」というイメージ
● that
「What is that?」
⇒(遠くにある特定の物体を指さして)「あれは何ですか?」というイメージ
● it
「I have a dog. It is cute.」
⇒(すでに話に出た犬を、改めて指さすことなく引き継いで)「それは可愛いよ」というイメージ
● those
「Those books are mine.」
⇒(離れたところにある複数の本をまとめて指さして)「あれらの本は私のです」というイメージ
”that”の関連語②:「〜ということ」を意味する接続詞”if / whether”との違い
「本当かどうかわからない不確実なこと」を繋ぐ接続詞の仲間もあるので、違いをセットで押さえましょう!
⇒確定した事実を繋ぐthatと、不確実性を繋ぐ単語”if / whether”
それぞれの表現の違いとしては
that ⇒「〜ということ」=ほぼ100%確定している客観的事実を指す
if ⇒「〜かどうか」=不確実で、そうかもしれないし違うかもしれないこと(口語的)
whether ⇒「〜かどうか」=AかBか、明確な二者択一のニュアンス(文語的)
といったイメージです。やはり、確固たる事実をピシッと見据えるのが“that”なわけですね。
● that(事実を指す)
「I hope that you like it.」
⇒(気に入ってくれるという状態・事実をピシッと見据えて)「気に入るといいな」
● if(不確実・五分五分)
「I don’t know if he will come.」
⇒(彼が来るか、あるいは来ないか分からない)「彼が来るかどうか知らない」
● whether(二者択一)
「Tell me whether you stay or leave.」
⇒(残るのか、それとも去るのかハッキリして)「残るか去るか教えて」
”that”の語源は古英語の「thæt」!すべての役割に通じる「指し示す力」のルーツ

”that”の語源についても、深く確認していきましょう。
日常会話で何気なく使っている”that”ですが、実は1100年以上前(900年より前)から記録が残っている、非常に歴史の長い単語です。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”if”の起源について、下記の記載があります。
Origin
First recorded before 900; Middle English; Old English thæt (pronoun, adjective, adverb, and conjunction), originally, neuter of se “the”; cognate with Dutch dat, German das(s), Old Norse that, Greek tó, Sanskrit tad日本語訳:900年より前に初めて記録された。中期英語、古英語の thæt(代名詞、形容詞、副詞、接続詞)に由来し、もともとは se「the」の中性形。オランダ語の dat、ドイツ語の das(s)、古ノルド語の that, ギリシャ語の tó、サンスクリット語の tad と同語源。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からわかるように、”that”は古くから英語だけでなく、ヨーロッパやインドの古い言語(印欧祖語と呼ばれる共通の祖先)にまで根っこを持つ単語です。
オランダ語の「dat」や、ドイツ語で「それ/あれ/〜ということ」を意味する「das / dass」と親戚なのはもちろん、ギリシャ語(tó)やサンスクリット語(tad)にまで同じルーツの言葉が存在します。
● 900年より前:古英語「thæt」として誕生(当時は定冠詞 “the” の中性形)
↓
● 中期英語:時代の変化とともに役割が拡張。名詞の代わりや文を繋ぐ「接続詞」の機能が本格化
↓
● 現代英語:現在の「that」へ。指示代名詞・形容詞・接続詞・関係代名詞というマルチな役割を統合
ここで重要なのが、Dictionary.comにある「もともとは se(the)の中性形だった」という部分です。
大昔の英語には、名詞に「男性・女性・中性」という性別があり、現在の定冠詞「the」にあたる言葉も性別によって形が分かれていました。そのうち、性別を持たないモノや事柄を「まさにそれだ!」とハッキリ指し示すために使われていたのが「thæt(thatの祖先)」だったのです。
つまり、語源の時点から「特定の対象にピシッと指をさして注目を集める」という超強力なイメージを持っていました。
一見バラバラに見える使い方も、語源にある「まさにそれを指し示す力」という1本の芯で繋がっていると考えると、すんなり納得できませんか?
3つの役割で覚える”that” 「指示」+「接続詞」+「関係代名詞」

ここからは現代の”that”が持つ3つの主要な役割(パーツ)について、さらに深く整理していきましょう。
”that”には大きく分けて「指示代名詞・指示形容詞」「接続詞」「関係代名詞」という3つの顔があります。英語学習者が特につまずきやすいポイントや、見分けるための重要なルールを詳しく解説します!
1.「指示代名詞・指示形容詞」としてのthat
自分から少し離れたところにあるモノや人を「あれ」「あの〜」と指し示す、最も基本的で直感的な役割です。単体で使えば「指示代名詞」、後ろの名詞を修飾すれば「指示形容詞」と呼ばれます。
● 指示代名詞(あれ、それ)
・That is a great idea.
(それは素晴らしいアイデアですね。)
● 指示形容詞(あの〜、その〜)
・Look at that star.
(あの星を見てごらん。)
2.「接続詞」としてのthat
後ろに「主語(S)+動詞(V)」が揃った〈完全な文〉を連れてきて、文全体をひとまとめの大きな名詞のカタマリ(〜ということ)にする役割です。このカタマリは、文の中で動詞の目的語(〜を)や、主語(〜は)のポジションに入ります。
・I know that he is honest.
(彼が誠実だということを知っています。)
【文法解説】
thatの後ろには「he(主語) is(動詞) honest(補語)」という、文の要素がどこも欠けていない〈完全な文〉が続いています。文全体として「〜という事実」という一つの名詞の箱を作っています。
3.「関係代名詞」としてのthat
前に置いた名詞(先行詞)を後ろから修飾して、「〜な[名詞]」と詳しく説明する役割です。接続詞のthatとは異なり、thatの後ろの文は主語(S)または目的語(O)が抜け落ちた〈不完全な文〉になります。that自身がその抜けた代名詞の役割を兼ねて、前の名詞とドッキングしているからです。
● 目的格のthat(目的語の抜け)
・The book that I bought yesterday was interesting.
(私が昨日買った[ ]本は面白かった。)
※ boughtの後に本来あるはずの目的語(何を買い買ったのか)が抜けた不完全な文です。
● 主格のthat(主語の抜け)
・I know the boy that lives next door.
(私は隣の家に住んでいる[ ]男の子を知っています。)
※ livesの前に本来あるはずの主語(誰が住んでいるのか)が抜けた不完全な文です。
【見分け方のまとめ】接続詞のthat と 関係代名詞のthat
ブログの読者のために、最も識別が難しい2つの表現の違いをシンプルな比較表にまとめました。
・後ろの文の形: 完全な文(主語も目的語も揃っている)
・主な訳し方: 「〜ということ」
・役割: 事実や情報をひとまとめの名詞にする
■ 関係代名詞のthat
・後ろの文の形: 不完全な文(主語や目的語が欠けている)
・主な訳し方: 「〜な(名詞)」 ※前の名詞を修飾
・役割: 前にある名詞(先行詞)を後ろから詳しく説明する
このように、見た目はまったく同じ“that”でも、後ろに続いている文の構造(パーツの欠けがあるかないか)に注目することで、きれいに見分けることができます。
”that”の意味と語源・覚え方のまとめ

最後に、今回学んだ”that”の意味と覚え方についての重要なポイントをまとめます。
● 3つの主要な役割(構成パーツ)を意識して区別する
① 指示:「あれ」「あの〜」と物理的・心理的に離れたモノや人を指す
② 接続詞:「〜ということ」と〈完全な文〉を繋いで名詞のカタマリにする
③ 関係代名詞:「〜な…」と〈不完全な文〉を伴って前の名詞を後ろから修飾する
● 省略の重要ルール
・接続詞のthat:動詞の目的語(〜を思う・知るなど)になる場合はよく省略される
・関係代名詞のthat:修飾する文の中で目的語の役割をしている場合(目的格)は省略できる
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!
