接頭辞や接尾辞にパーツ分解する単語ではありませんが、実は「then(その時・それから)」と根っこが同じである、歴史の非常に深い言葉です。
「比較の基準(そこから次へ進むステップ)」がコアイメージで、“than“=「〜よりも」「〜に比べて」の意味を持ちますよ!
”than”の意味とコアイメージは「比較の基準(そこから次へ進むステップ)」
”than(発音:ðæn/ザン【接続詞・前置詞】)”は「〜よりも」「〜に比べて」の意味を持つ単語です。
時間の前後関係を表す「then(その時・それから)」と元々は同じ言葉で、「そこを基準にして、次へ進むステップ」がコアイメージです。
「まず基準となるBを置いて(=『それから』)、そこを起点にしてAを見る」=”Bよりも”なわけですね!
”than”で表現するものは、「ある数や状態を乗り越えるための基準・ステップ」になることが多いです。
逆に、ぴったりその数を含めたい「●●以上」や「●●以下」などは、後述する”or more”や”or less”を使用します。
例文
・She is older than she looks.
(彼女は見かけより年上だ[見かけより若くない]。)・Actions speak louder than words.
(行動は言葉よりも雄弁に語る[論より証拠]。)・He plays tennis better than I do.
(彼は私よりもテニスが上手い。)※参考・例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
【重要文法】”than”の後ろの代名詞は「主格(I)」?それとも「目的格(me)」?

”than”を使う上で、試験や日常会話で非常に迷いやすいポイントがあります。それは、thanの後ろに来る代名詞の形です。
⭕ He is taller than I (am). (主格:フォーマル・文語的)
⭕ He is taller than me. (目的格:カジュアル・口語的)
伝統的な文法では、thanを「接続詞」として扱い、“than I (am)” のように主語(主格)を置くのが正しいとされてきました。しかし、現代の日常会話では、thanを「前置詞」のように扱い、“than me” と目的格を使うのが非常に一般的になっています。
学校のテストやTOEICなどの厳密な文法問題では「主格」が好まれることもありますが、実際の会話では「me」「him」「her」を使っても全く問題ありません!
【要注意】「no more than」と「not more than」の重大な違い

”than”を使った比較表現の中で、日本人が最もつまずきやすいのがこの4つの表現です。ここでも「than=基準」のイメージが活きてきます。
① no more than 10 people ⇒ 「たった10人(= only)」
(10人という基準と比べて何のプラスも無い=「それしかいない」という少ない感情を強調)
② not more than 10 people ⇒ 「多くとも10人(= at most)」
(10人という基準より多くは無い=客観的な事実の限界点)
③ no less than 10 people ⇒ 「10人もの(= as many as)」
(10人という基準から全くマイナスされていない=「そんなにいる」という多い感情を強調)
④ not less than 10 people ⇒ 「少なくとも10人(= at least)」
(10人という基準より少なくは無い=最低でもそれだけはいる)
”than”の関連語①:「〜より多く」を意味する表現”more than / over”

例えば”more than”や”over”なども「〜を超えて」を意味する表現ですね!
⇒「〜より多く」の意味を持つ表現”more than / over”
イメージの違いとしては
more than ⇒「基準の数よりも『量・程度』が多い」=〜を上回る(その数は含まない)
over ⇒「基準の数の『真上を覆うように飛び越える』」=〜を超えて(その数は含まない)
above ⇒「基準の目盛りや位置よりも『高い場所』にある」=〜より上で
といった感じです!
● more than 50 people
「(50人という基準のステップを越えて)50人より多くの人々」
⇒ 51人以上を指し、量的な多さに焦点があるイメージ。
● over 50 people
「(50人のラインをまたいで飛び越えるように)50人を超える人々」
⇒ 50というハードルをクリアして上回っているイメージ。(日常会話ではmore thanとほぼ同じように使われます)
● above 0 degrees
「(温度計の0度という基準線よりも高い位置に)零度より上で」
⇒ 温度や高度など、目盛り・基準の上下関係を指すイメージ。
”than”の関連語②:「〜の代わりに」を意味する表現”rather than / instead of”
⇒「むしろ〜」の意味を持つ表現”rather than / instead of”
それぞれの表現の違いとしては
rather than ⇒「後者と比べる(than)なら、むしろ(rather)前者がいい」=〜よりはむしろ
instead of ⇒「後者のいるはずの場所(stead)の中に(in)別のものを置く」=〜の代わりに(代入)
といったイメージです。
● I choose tea rather than coffee.
「コーヒーと比べるなら、むしろ紅茶を選ぶ」
⇒ 両方を天秤にかけ、好みの度合いで紅茶を選ぶイメージ。
● I drank tea instead of coffee.
「コーヒーの代わりに紅茶を飲んだ」
⇒ 本来ならコーヒーを飲む場面だったが、その枠にすっぽりと紅茶をすり替えたイメージ。
”than”の語源は古期英語の「than(ne)」 意味は「その時、それから、いつ」

”than”の語源についても、確認していきましょう。
”than”の語源は古期英語の「than(ne)」です。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”than”の起源について、下記の記載があります。
Origin
before 900; Middle English, Old English than ( ne ) than, then, when, variant (in special senses) of thonne then; cognate with German dann then, denn than, Dutch dan then, than日本語訳:900年以前。中期英語、古期英語の than (ne)(than, then, whenの意味)。thonne(thenの意味)の(特殊な意味における)異形態。ドイツ語の dann(then), denn(than)、オランダ語の dan(then, than)と同根。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からみるに、”than”は「その時(then)」や「いつ(when)」を表す言葉から発祥している模様です。
● ゲルマン共通基語の「指示・時間を表す言葉」
↓
● 古期英語で「その時(then)」「〜の時(when)」を表す「than/then」として使われる
↓
● 「Aのあとに(それから)Bが来る」という順序関係から、「Aを基準にして、そこから次へ進む」という比較の意味(than)へ専門特化して分岐
元々は「それから(then)」と兄弟どころか同じ単語だったのが、比較専用の「〜よりも(than)」として独立したわけです。ドイツ語(dann/denn)やオランダ語(dan)にもその名残がそっくり残っていますね。
構成パーツで覚える”than” 歴史的背景としての指示詞の「th-」

接頭辞などの明確なパーツ構成はありませんが、歴史的な「th-」という根っこから”than”について覚えていきましょう。
”than”の頭にある「th-」は、英語において「あれ」「それ」という指示を表す共通のパーツです。
“that / there / this”は「特定の対象・場所」を指し示すパーツ
”th-”から始まる言葉は、すべて何かを指し示す役割を持っています。
”than”や”then”も同様で、「指し示された特定の時間や基準(=『そこ』『その時』)」を表す根っこを持っています。
その他に「th-」を起点として、時間や関係性を展開していく単語の繋がりを下記で紹介していきます。
”than”の意味と文法・語源のまとめ

以下、”than”の意味と覚え方・文法のまとめです。
● ”than”は「then(それから)」と同一の語源から分岐した単語。
● コアイメージは「そこから次へ進む基準」。
● 意味は「〜よりも」「〜に比べて」。
【語法・文法の超重要ポイント】
● 日常会話(口語)では、thanの後ろには前置詞的に目的格(me, himなど)を置くのが一般的。
● 「no more than(たったの)」や「not more than(多くとも)」など、noとnotの感情の違い・ニュアンスの違いが非常に重要!
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!