おなじみ ”can” の過去形として習う単語ですが、語源を紐解くと「l」が入っている面白い秘密が見えてきます。
「現実から一歩引いた(一歩離れた)状態」がコアイメージで、“could”=「〜できた」「(ひょっとしたら)〜かもしれない」「〜していただけますか」など様々な意味を持ちますよ!
英単語”could”のコアイメージは「現実から一歩引いた(離れた)状態」
”could(発音:kúd/クッド【助動詞】)”は、学校では「canの過去形(〜できた)」と習うことが多いですが、実際の日常会話やビジネスシーンでは現在の事柄に対しても非常によく使われます。
時制を過去に「一歩引く」だけでなく、現実の確率や相手との関係性からも「一歩引く(距離を置く)」ことで、控えめな可能性や丁寧な表現を生み出す「現実からの距離感(一歩引いた状態)」がコアイメージです。
過去の能力として「あの時、一歩引いた過去の時点でできた」という意味や、現在の話として「現実から一歩引いて、ひょっとしたら〜という可能性もある」という「距離感」が根底にあるわけですね!
”could”の3つの主要な意味と使い方・例文

”100%の断定を避け、現実や時間、相手との関係性から一歩距離を置く”というコアイメージから、”could”は主に以下の3つの意味で広く使われます。
1. 丁寧な依頼・許可(〜していただけますか・〜してもよろしいですか)
人に何かをお願いする時、「できる!?」とストレートに聞く(Can you?)よりも、「もし可能であれば、できたりしますか…?」と『一歩引いた心の距離』を作ってあげることで、より上品で丁寧な表現になります。
(駅までの道を教えていただけませんか?)
・Could I use your pen?
(あなたのペンをお借りしてもよろしいでしょうか?)
2. 現在・未来の推量・可能性(ひょっとしたら〜かもしれない)
「絶対にそうだ(must)」や「〜だ(is/are)」と断定せず、現実から一歩引いて「ひょっとしたら〜という可能性もあり得る」と控えめに推測する際によく使われます。
(後でひょっとしたら雨が降るかもしれないから、傘を持っていった方がいいよ。)
・This rumor could be true.
(この噂はひょっとしたら本当かもしれない。)
3. 過去の能力(〜できた)
皆さんが一番馴染みのある「canの過去形」としての使い方です。現在から一歩引いた「過去」の時点において、備わっていた能力を表します。
(若い頃は足が速かった[走る事ができた]。)
※参考・例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
【文法・語法】過去の能力「could」と「was able to」の決定的な違い

「〜できた」と過去の事実を言うとき、実は強力な文法ルールがあります。
昔ずっと持っていた能力(いつでも泳げた、など)には ”could” を使いますが、「その時、なんとかがんばって1回だけ達成できた(駅にギリギリ間に合った、など)」という1回限りの具体的な事実には、couldではなく ”was/were able to” や ”managed to” を使うのが鉄則です。
(終電になんとか乗る事ができた。※1回限りの成功)
× I could catch the last train. (※不自然な表現)
否定文「couldn’t」になれば、どちらでもOK!
面白いことに、否定文の「〜できなかった(1回限りも、過去の能力も両方)」という場合は、”couldn’t” も ”wasn’t able to” もどちらも同じように使えます。「とにかく不成功に終わった」という事実は、一歩引いた状態(達成できなかった距離感)で共通だからです。
【発展】会話やテストで頻出!「could have + 過去分詞」の2つの意味

さらに表現の幅を広げるために、もう一つ重要な文法を押さえておきましょう。TOEICなどのテストや実際の英会話で非常によく使われるのが「could have + 過去分詞」の形です。
過去に能力や機会があったのに、実際には行動しなかった(できなかった)場合に使います。
・I could have helped you.
(手伝うことだってできたのに。※実際は手伝わなかった)
2. (ひょっとしたら)〜だったかもしれない
過去の出来事に対する控えめな推量を表します。
・He could have missed the train.
(彼はひょっとしたら電車に乗り遅れたのかもしれない。)
”could”の類義語・関連語 ”might”や”should”との推量の違い

例えば”might”や”should”なども「〜だろう、〜かもしれない」という推量を表す単語ですよ!
イメージの違い(不確実性の度合い)としては
might⇒「根拠は特にないけれど、ひょっとすると(30%くらいで)そうかも」=もしかしたら(弱めの推量)
could⇒「能力や状況的に、そういうことが起こるポテンシャル(可能性)はある(50%くらい)」=あり得る、あり得るかもしれない
should⇒「当然そうなるべき理由やデータがあるから、きっとそうなるはず(80%以上)」=(当然)〜のはずだ
といった感じです!
実際の例文を見ながら、そのイメージの違いを確認してみましょう!
●He might be at home.
「彼は家にいるかもしれない(ただの思いつき・自信なし)」
⇒ いなかったとしても「まあそうだよね」となる、一番弱いイメージ
●Anyone could make mistakes.
「誰だって間違いを犯すことはあり得る(人間にはその可能性がある)」
⇒ 条件さえ揃えば、誰にでもその事態がオープンに開かれているイメージ
●He left an hour ago, so he should be here soon.
「彼は1時間前に出発したのだから、すぐここに着くはずだ」
⇒ 時間の計算(明確な根拠)から考えて、当然そうなる高い確率のイメージ
”could”の語源は古英語「cūthe」 現代の「l」はあとの時代のお仲間意識?

”could”の語源についても、確認していきましょう。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”could”の起源について、下記の記載があります。
Origin of could
First recorded in 1450–1500; alteration of late Middle English coude, coud, Old English cūthe; modern -l- from would, should日本語訳:1450〜1500年に初めて記録された。後期中英語の coude, coud、古英語の cūthe の変化形。現代の「-l-」は would, should に由来する。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からみるに、”could”の本来の古い形(cūthe / coud)には、なんと「l」の文字は入っていなかった模様。
古英語:cūthe(canの過去形 = 知っていた、できた)
↓
中期英語:coude / coud(まだ「l」はない)
↓
15世紀末(1450-1500年頃):同じ助動詞の仲間である **would** や **should** に見た目を合わせる形で、発音しない「l」が無理やり差し込まれ、現在の **could** に変化
would(willの過去)やshould(shallの過去)には、もともと語源的に「l」が入っていたのですが、coudには本来ありませんでした。
ですが、当時の人々が「同じ過去形の助動詞トリオなんだから、見た目を揃えちゃおう!」とお仲間意識で「l」を足してしまったため、発音しない謎の「l」が今も残っているわけです。面白いですよね!
”could”の意味と語源・覚え方のまとめ

以下、”could”の意味と語法についてのまとめです。
⇒過去の能力「〜できた」のほか、現在の「可能性・推量」「丁寧な依頼」の意味を持つ。
●語法・文法の重要ポイント
⇒過去の「1回限りの具体的な成功」にはcouldではなく was able to / managed to を使う。
⇒「could have 過去分詞」で「〜できたのに(しなかった)」「〜だったかもしれない」という意味になる。
●”could”は古英語の「cūthe(知っていた・できた)」に由来し、のちに would / should の影響を受けて「l」が足された単語。
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!
