実はこの単語、歴史の中で「全く別の2つの言葉」が偶然合流して1つになった、面白い背景を持っています。
「切り取る」と「挟んで留める」の2つの独立した顔がコアイメージで、“clip”=「切り取る、刈る」「挟んで留める」という真逆のような意味を同時に持ちますよ!
”clip”の意味と使い方!コアイメージは「切る」と「留める」の2つの顔
”clip(発音:klíp/クリップ【動詞・名詞】)”は「切り取る、刈る」「挟んで留める」の意味を持つ単語です。
語源のルーツが2つ存在しており、歴史の途中でスペルが同じになったため、「2つの全く異なる顔」をあわせ持っているのが最大の特徴です。
これらは元々、全く別の単語だったのですが、今ではどちらも”clip”という1つの言葉で表現されているわけですね!
1. 「切り取る、刈り込む」の意味と例文
刃物などで挟み込んでセパレートする(切り取る)使い方です。新聞の切り抜きや、爪を切る時、庭木を刈り込む時などに使われます。
例文
・He clipped the coupons out of the newspaper.
(彼は新聞からクーポンを切り取った。)
・Can you clip this article for me?
(この記事を切り抜いてくれない?)
・I need to clip my fingernails.
(爪を切らなくちゃ。)
2. 「挟んで留める」の意味と例文
バネや金具などで物理的にホールドする(留める)使い方です。書類をまとめる時や、名札を服に留める時などに使われます。
例文
・She clipped the identity badge to her collar.
(彼女は身分証明のバッジを襟にクリップで留めた。)
・Please clip these documents together.
(これらの書類をクリップで留めてください。)
・The microphone clips onto your shirt.
(そのマイクはシャツにクリップで留められます。)
”clip”の語法と覚えておきたい頻出フレーズ

1. 過去形・進行形は ”p” が重なって ”clipped / clipping” になる
”clip”を過去形や過去分詞形、あるいは進行形(-ing)にするときは、最後の「p」を重ねて**”clipped”** / **”clipping”** になります。
短母音+子音で終わる単語の定番ルール(stop → stopped などと同じ)ですので、スペルミスに注意しましょう。
2. 前置詞「out of / to」との相性
「切り取る」ときは、どこか「から」切り出すので **clip A out of B**(BからAを切り取る)という形でよく使われます。
逆に「留める」ときは、どこか「へ」くっつけるので **clip A to B**(AをBに留める)という形になります。
後ろに続く前置詞を意識すると、どちらの意味で使われているかが一発で見抜けます!
3. 日常でよく使う名詞・形容詞のフレーズ
名詞や形容詞としても、”clip”は日常にあふれています。
- a video clip:(切り取られた)短い動画
- a paper clip:ゼムクリップ(文房具)
- clip-on tie:クリップ式のネクタイ(結ばずにパチンと挟むタイプ)
似た単語との違いは?(cut/trim、fasten/attach)

【切る編】”clip / cut / trim” の違い
イメージの違いとしては以下のようになります!
clip⇒「ハサミなどでパチンと挟んで、一部分を切り取る、刈り込む」=パチンと切る
cut⇒「刃物を使って、対象をスパッと分離する(最も広範囲で一般的な言葉)」=スパッと切る
trim⇒「不必要な部分を切り落として、全体を綺麗に手入れする、整える」=小綺麗に整える
●clip hair
「(バリカンやハサミで)髪をバサバサと刈り込む」
⇒ 羊の毛を刈る(clip sheep)のと同じように、パチンパチンと切り落とすイメージ
●cut hair
「(美容院などで普通に)髪を切る」
⇒ 長さを短くしたり、スタイルを変えたりする一般的な「切る」のイメージ
●trim hair
「(毛先や前髪だけを)ちょっと揃えて整える」
⇒ 全体の形は変えずに、伸びてはみ出た余分な部分だけを綺麗にメンテナンスするイメージ
【留める編】”clip / fasten / attach” の違い
固定するイメージの違いとしては以下の通りです。
clip⇒「バネや金具でパチンと挟み込んで、一時的に留める」=挟んで留める
fasten⇒「シートベルトやボタンなどで、動かないようにしっかり固定する」=しっかり固定する
attach⇒「メールにファイルを添付するように、ある物を別の物に取り付ける」=ペタッと取り付ける
●clip a pen to a notebook
「ペンをノートの表紙にクリップで留める」
⇒ すぐ外せるように、バネの力でパチンと一時的に挟み込んでおくイメージ
●fasten your seat belt
「シートベルトを締める(固定する)」
⇒ 安全のために、緩まないようにガチッと強固に繋ぎ合わせるイメージ
●attach a file to an email
「メールにファイルを添付する」
⇒ メインの対象に対して、おまけや付属品をペタッとくっつけて一体化させるイメージ
”clip”の語源解説!なぜ真逆の意味があるの?

”clip”の語源についても確認していきましょう。
先ほどもお伝えした通り、”clip”には全く異なる2つの起源があります。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”clip”の起源について、下記の記載があります。
Origin of clip1
First recorded in 1150–1200; Middle English clippen, cleppen, from Old Norse klippa “to clip, cut”Origin of clip2
First recorded before 900; Middle English clippen, cluppen, cleppen “to embrace, grasp, hold,” Old English clyppan “to embrace, clasp, cherish”; cognate with Old Frisian kleppa日本語訳:
【clip1(切る)】1150〜1200年に初めて記録された。中期英語の clippen, cleppen から来ており、古ノルド語(古い北欧の言葉)の klippa(切り取る、カットする)に由来する。
【clip2(留める)】900年より前に初めて記録された。中期英語の clippen, cluppen, cleppen(抱きしめる、掴む、保持する)、古英語の clyppan(抱きしめる、握る、大切にする)に由来する。古フリジア語の kleppa と同語源。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からみるに、同じ「clip」でもルーツは全然違います。
1つ目の「切る(clip1)」はバイキングの言葉(古ノルド語)から。2つ目の「留める(clip2)」は、なんと元々は「ギュッと抱きしめる(embrace)」という意味の古い英語から発祥しているのです。
●ルート1:古ノルド語「klippa(切る)」 ⇒ 中期英語で「clippen(切る)」へ
●ルート2:古英語「clyppan(抱きしめる・しっかり掴む)」 ⇒ 中期英語で「clippen(掴む・留める)」へ
↓
時代が経つにつれてスペルと発音が完全に同じになり、現在の「clip」に合流!
そこに北欧からやってきた「切る」という意味の言葉が偶然重なって、現在の便利なマルチ単語が誕生したというわけです。歴史を感じますね!
”clip”の意味と語源・覚え方のまとめ

最後に、”clip”の意味と覚え方についてのまとめです。
⇒北欧由来の「切り取る」の顔(動画クリップ、刈り込みなど)
⇒古英語由来の「挟んで留める」の顔(文房具のクリップ、クリップ式など)
●語法・文法のポイント
⇒過去形や進行形は「p」を重ねて「clipped/clipping」になる。
⇒clip A out of B(BからAを切り取る)、clip A to B(AをBに留める)の前置詞のセットに注目!
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!
