preciosoの意味と使い方|スペイン語で最上級の褒め言葉「宝物みたい」を使いこなす

コダック
今日のスペイン語は”precioso”(プレシオーソ)です!

「precio(値段・価値)」+「-oso(〜に満ちた)」の2パーツでできている形容詞です。

つまり「値打ちにあふれている」=宝物みたいだがコアイメージ。そこから”precioso”=「貴重な・高価な」「とても美しい」という2つの意味が生まれています。

”precioso”の意味 コアイメージは「宝物みたい」

”precioso / preciosa”は、①「貴重な、高価な、値打ちのある」②「とても美しい、見事だ」という2つの顔を持つ形容詞です。

スペイン王立アカデミーの辞書(DLE)では、この語をラテン語 pretiōsus 由来とし、「優れていて、精妙で、賞賛と評価に値する」「価値が高い、あるいは値段が高い」「非常に美しい、あるいは見目麗しい」といった意味を並べています。

「高価な」と「美しい」って、けっこう離れてる気がするけどな。どうして同じ単語なんだろう。
コダック

そこがこの単語のいちばん面白いところです!

日本語でも、心から美しいものを見たときに「宝石みたい」「宝物みたいだ」と言いますよね。precioso はまさにその感覚がそのまま形容詞になった語なんです。

「値打ちがある」から出発して、「値打ちがあるほど美しい」へ伸びていった。だから2つの意味が同居しているんですね。

”precioso”のコアイメージ

ラテン語:pretium(値段・価値)

ラテン語:pretiōsus(値打ちに満ちた)

スペイン語:precioso(貴重な ⇒ 宝物のように美しい

※スペイン語の precio(値段)と同じ family。apreciar(評価する)も親戚です。

意味①「貴重な・高価な」

こちらは元の意味に近い使い方です。とくに定型表現として次の2つが有名で、日本語のニュースでもそのまま出てくる概念です。

【定番の組み合わせ】
metal precioso = 貴金属
piedra preciosa = 宝石(貴石)

【例文】
・El oro es un metal precioso.
(金は貴金属だ。)
・El tiempo es muy precioso.
(時間はとても貴重だ。)

意味②「とても美しい・見事だ」(会話ではこちらが主役)

日常会話でスペイン語圏の人が precioso と言うとき、そのほとんどはこちらの意味です。人にも、物にも、風景にも使える強い褒め言葉として機能します。

DLEにもそのままの用例が載っていて、「Esta mujer es preciosa.(この女性は本当に美しい)」「Aquel niño es precioso.(あの子は本当にかわいらしい)」と、人に対して使う形が示されています。

「とても美しい」の基本例文

【人に】
・Tu hija es preciosa.
(娘さん、本当にかわいらしいね。)
・¡Estás preciosa con ese vestido!
(そのワンピース、すごく似合ってきれいだよ!)

【物に】
・Tienes un anillo precioso.
(すてきな指輪だね。)
・¡Qué bolso más precioso!
(なんてすてきなバッグだろう!)

【風景・場所に】
・Sevilla es una ciudad preciosa.
(セビージャは本当に美しい街だ。)
・¡Qué precioso paisaje!
(なんて見事な景色なんだ!)

人にも物にも風景にも使えるんだ。これひとつ覚えれば全部いけるってこと?
コダック

対象を選ばないという点ではそのとおりです! ただし強さは選びます。

precioso はかなり強い褒め言葉なので、何にでも連発すると軽く聞こえてしまうんです。次でそこを整理しましょう。

”precioso”はどれくらい強い? bonitoとの温度差

スペイン語の褒め言葉には強さの段階があります。precioso はその上のほうに位置します。

褒め言葉の強さのイメージ

bonito(すてき・いい感じ)
↓ 気軽・日常的。挨拶がわりにも使える
lindo(かわいらしい)
↓ やわらかい。中南米では日常の第一選択
hermoso(美しい)
↓ 格調がある。しみじみした褒め方
precioso(本当にすばらしい・見事だ)
感情が乗る。「わあ」と声が出るときの語

この差は、日本語に置き換えるとつかみやすくなります。

bonito「いいね」「すてきだね」だとすると、precioso「わあ、すごい」「本当にきれい」bonito は評価、precioso は感動だと思ってください。

コダック

たとえば友達が新しい部屋を見せてくれたとき。

Es bonito.(いい部屋だね)だと少し他人行儀ですが、¡Es precioso!(すごくすてきな部屋だね!)だと気持ちがちゃんと届くんです。

褒めると決めたなら、precioso のほうが喜ばれる場面は多いですよ。

そっか、bonito が「いいね」で precioso が「わあ、すごい」なんだね。使い分けのイメージがつかめてきた。

”precioso”の文法ポイント 性数一致と ser / estar

1. 褒める相手に合わせて語尾が変わる

スペイン語の形容詞なので、かかる相手の性と数で語尾が変化します。ここは褒め言葉全般に共通するルールです。

precioso の4つの形
●男性ひとり ⇒ precioso(Tu hijo es precioso.)
●女性ひとり ⇒ preciosa(Tu hija es preciosa.)
●男性複数・男女混在 ⇒ preciosos(Tus hijos son preciosos.)
●女性複数 ⇒ preciosas(Tus hijas son preciosas.)

※合わせるのは「褒める相手(または物の名詞)の性」。話し手自身の性は関係ありません。

2. ser なら「本質」、estar なら「今の状態」

スペイン語には「〜である」に当たる動詞が2つあります。precioso はどちらとも組めるので、そのぶん言い分けができます

Es preciosa と Está preciosa の違い

Es preciosa.
「彼女は本当にきれいな人だ」もともと持っている性質としての評価

Está preciosa.
「今日の彼女は本当にきれいだ」今この場の状態としての評価

日本語だと「今日は」って足すところを、スペイン語は動詞ごと取り替えるんだね。
コダック

そのとおりです! スペイン語の規範書『Diccionario panhispánico de dudas』でも、estar は「変化や過程の結果」「特定の時と場所に結びついた一時的なもの」を表すときに使い、ser は「本来そなわっている・安定している」性質を表すときに使う、と説明されています。

褒め言葉はこの原則がとてもきれいに効く場面なんですよ。

実用面では、estar のほうが出番が多いと覚えておくと便利です。パーティー会場で相手が着飾ってきた、髪型を変えてきた、庭が季節で見違えた。そういう「今日の変化」に気づいたことを伝えるのが estar だからです。

【estar で「今」を褒める】
・¡Qué preciosa estás hoy!
(今日すごくきれいだね!)
・La ciudad está preciosa en Navidad.
(クリスマスの街は本当にきれいだ。)
・El jardín está precioso ahora.
(今、庭が見事なんだ。)

【ser で「もともと」を褒める】
・Tu ciudad es preciosa.
(君の街は本当に美しいね。)
・Es un libro precioso.
(すばらしい本だよ。)

会話でそのまま使える”precioso”の便利な形

コダック
precioso は、文を組み立てなくても使える形がいくつもあります。初学者にとってはここがいちばんおいしいところですよ!

1. ひと言で完成する ¡Precioso!

写真を見せられたとき、お土産をもらったとき、単独で「¡Precioso!」と言うだけで「わあ、すてき!」になります。相手が女性や女性名詞のものなら ¡Preciosa! です。

2. ¡Qué precioso! で感嘆文になる

Qué を前に置くだけで感嘆文が作れます。しかも後ろに名詞を足せば「〜がすてきだね」まで言えてしまいます。

・¡Qué precioso!
(わあ、すてき!)
・¡Qué preciosa tu casa!
(お家、本当にすてきだね!)
・¡Qué precioso paisaje!
(なんて美しい景色だろう!)
・¡Qué vestido más precioso!
(なんてすてきなワンピースなんだ! ※「名詞 + más + 形容詞」も定番の形)

3. 名詞形 preciosidad も覚えておくと便利

preciosidad(プレシオシダー)は「すばらしく美しいもの」を指す名詞です。¡Qué preciosidad! で「なんてすてきなの!」となり、対象の性を気にしなくていいのでとっさの一言として非常に使いやすい形です。

性を気にしなくていいのは助かるな。とっさだと男性形か女性形か迷っちゃうんだよね。
コダック

わかります! ¡Qué preciosidad!迷ったときの逃げ道として本当に優秀です。

赤ちゃんを見たとき、庭を見たとき、料理が出てきたとき。ぜんぶこれ一言でいけますよ。

”precioso”を使うときの注意点

1. 英語の precious とは重心がずれている

英語の precious は同じラテン語から来た兄弟語ですが、英語では「大切な・かけがえのない」の意味が中心で、目の前の人に「You are precious」と言うと「あなたは大事な存在だ」という別種のメッセージになります。

一方スペイン語の precioso は、ふつうに「見た目が美しい」を表す日常語です。カタカナの「プレシャス」のイメージで止まっていると、この語の出番をずっと逃してしまいます。

ここを勘違いしやすい
英語 precious=「大切な・かけがえのない」が中心
スペイン語 precioso「とても美しい」が会話での中心
Tu bebé es precioso. は「赤ちゃん、本当にかわいいね」というごく普通の褒め言葉

2. 強い語なので、連発すると軽くなる

precioso は感情の乗った語です。だからこそ、会話のなかで何度も繰り返すと社交辞令に聞こえます。本当に「わあ」と思ったときに出すからこそ効く語だと考えてください。

3. 人に使うときは距離感を意識する

物や風景に対する precioso は、誰に対しても安全です。ただし人の容姿に対して使うときは、関係と場面を選びます

親しい友人や家族、子どもに対してならまったく問題ありません。しかし初対面の相手や職場では、容姿ではなく持ち物や選択を褒めるほうが安全です。Tu vestido es precioso.(そのワンピースすてきだね)なら、誰に言っても気まずくなりません。

コダック

この「人そのものではなく、その人が選んだものを褒める」という考え方は、スペイン語の褒め言葉すべてに共通する安全ルールです。

褒め言葉の全体像は、こちらの記事でまとめて整理していますよ。

スペイン語の褒め言葉まとめ【5語の使い分けと、褒められたときの返し方】

”precioso”の意味と使い方のまとめ

以下、”precioso”についてのまとめです。

”precioso”は「precio(値段・価値)」+「-oso(〜に満ちた)」でできた形容詞
⇒コアイメージは「宝物みたい」
⇒意味は①貴重な・高価なとても美しい・見事だ

会話では②が主役。人・物・風景のどれにでも使える
⇒強さは bonito(いいね)< precioso(わあ、すごい)

文法ポイント
⇒性数一致で precioso / preciosa / preciosos / preciosas
Es preciosa(もともときれいだ)/Está preciosa(今日きれいだ)

会話で強いのは短い形
¡Precioso!¡Qué precioso!¡Qué preciosidad!(性を気にしなくていい)

注意点
⇒英語の precious(大切な)とは重心が違う
⇒強い語なので連発しない。人の容姿に使うときは関係と場面を選ぶ

「値段」から「宝物みたい」に伸びていったって考えると、もう忘れないね。
コダック
その覚え方が最強です! 語源をひとつ押さえると、precio(値段)apreciar(評価する)preciosidadも一緒に入ってきますよ。
参考文献
「Real Academia Española, Diccionario de la lengua españolahttps://dle.rae.es/precioso)」precioso, sa の項
「Real Academia Española, Diccionario panhispánico de dudashttps://www.rae.es/dpd/estar)」estar(se) の項
「Wiktionary, precioso(https://en.wiktionary.org/wiki/precioso)」語源(ラテン語 pretiōsus < pretium)