guapo・hermoso・bonito・lindoの違い|スペイン語の「きれい」を語源から使い分ける

コダック
今日は”guapo” ”hermoso” ”bonito” ”lindo” の使い分けです!

辞書を引くと、この4つはどれも「美しい」「きれい」と出てきます。だから初学者はここで必ず止まるんですね。

でも安心してください。4語はそれぞれ違う場所から生まれた言葉です。語源を1回だけ見ておけば、使い分けは一気に整理できますよ!

まず結論 4語の守備範囲はこう分かれている

細かい話に入る前に、全体像を置いておきます。

4語の守備範囲

guapo / guapa
人の容姿だけ。「見た目がいい・かっこいい・美人だ」
物や風景には基本的に使わない

bonito / bonita
いちばん軽くて、いちばん広い。物・場所・人、何にでも使える
⇒日本語の「すてきだね」「いい感じ」に近い

lindo / linda
かわいらしい・愛らしい。やわらかい響き
中南米で圧倒的によく使われる

hermoso / hermosa
重くて格調がある「美しい」。風景・赤ちゃん・しみじみした場面
⇒日本語の「美しい」「見事だ」に近い

えっ、guapo だけ物に使えないの? 「きれいな景色」って言いたいときに guapo は使えないってこと?
コダック

そうなんです、そこが最初の関門です!

guapo は「人の見た目」専門の語なので、Un paisaje guapo(きれいな景色)とは言いません。ここは bonitohermoso の出番です。

なぜ guapo だけこうなのか、語源を見ると理由がわかりますよ。

語源で覚える 4語はまったく違う場所から来ている

この4語、意味が似ているのはたまたま行き先が近づいただけで、出発点はバラバラです。スペイン王立アカデミーの辞書(DLE)が示す語源を並べてみましょう。

4語の語源(DLEによる)

guapo ← ラテン語 vappa「ならず者、悪党」
⇒ 荒っぽい男 ⇒ 威勢がよくて着飾った男見た目がいい

hermoso ← ラテン語 formōsus(forma「形」から)
形が整っている ⇒ 美しい・堂々としている

bonitobueno(よい)の縮小形
ちょっといい ⇒ すてき・いい感じ

lindo ← ラテン語 limpĭdus「清らかな、澄んだ」
濁りがない ⇒ 愛らしい・かわいらしい

guapo が「悪党」から来てるのはびっくりだな。全然きれいな話じゃないじゃん。
コダック

面白いですよね! でもこの出自こそが、guapo が人専用である理由なんです。

実際、DLEにはいまも「勇敢で危険を恐れない」「けんか早い男」という語義が残っています。もともと「人物の評価」をする語で、そこから「身なりを整えた」「見た目がいい」へ広がった。

だから風景や食器を guapo とは呼ばないんですね。

逆に bonito が何にでも使えるのも、語源を見れば納得できます。もとは bueno(よい)の縮小形、つまり「ちょっといい」という評価語です。「よい」は何にでも言えますから、bonito も何にでも言えるわけです。

対象別に見る どの場面でどれを使うか

語源がわかったところで、実際の場面に落としてみましょう。

対象別・おすすめの語

人の顔立ち・見た目guapo / guapa(第一候補)
服・バッグ・小物bonito / bonita
家・部屋・街bonito(気軽に)/hermoso(しみじみと)
風景・自然hermoso(格調)/bonito(気軽に)
赤ちゃん・子ども・動物lindo(中南米)/hermoso(愛情を込めて)
しぐさ・声・言葉lindo(¡Qué lindo lo que dijiste!)
料理 ⇒ これらではなく rico(おいしい)が正解

対象別の基本例文

【人に guapo】
・Tu hermano es muy guapo.
(君のお兄さん、すごくかっこいいね。)
・¡Qué guapa estás hoy!
(今日すごくきれいだね!)

【物に bonito】
・¡Qué bonito tu suéter!
(そのセーターすてきだね!)
・Es un pueblo muy bonito.
(とてもすてきな村だよ。)

【風景に hermoso】
・¡Qué hermoso paisaje!
(なんて美しい景色だろう。)
・¡Hermoso día!
(いい天気だね。※DLEにも載っている定番の言い方)

【愛らしいものに lindo】
・¡Qué linda tu gatita!
(君のネコちゃん、かわいい!)
・Es un bebé lindísimo.
(本当にかわいらしい赤ちゃんだね。)

料理は rico なんだ。「きれいな料理」じゃなくて「おいしい」を褒めるってことか。
コダック

そこ、大事なポイントです! 日本語だと「きれいなお料理」と言いますが、スペイン語圏で料理に対して言うべきは味の評価なんです。

¡Qué rico!(おいしい!)¡Está riquísimo!(すごくおいしい!)が定番。見た目を褒めたいなら ¡Qué bonito plato! のようにお皿や盛り付けを指して言いますよ。

語ごとの「もうひとつの顔」を知っておく

この4語は、褒め言葉以外の顔も持っています。ここを知らないと会話で混乱するので、代表的なものだけ押さえておきましょう。

1. hermoso は「大きくて立派」も表す

hermoso は「形が整っている」が出発点なので、美しさだけでなく「大きくてバランスがいい」という方向にも伸びます。DLEには ¡Qué salón más hermoso!(なんて立派な広間だろう)という用例が載っています。

さらに、子どもについて使うと「丈夫でよく育っている」という意味になります。日本語の「元気そうないい子だね」に近い感覚です。

2. bonito には皮肉の使い方がある

これは要注意です。bonito はDLEでも「不快なこと、間の悪いこと、非難すべきことを指す皮肉」として使われると明記されています。

【皮肉の bonito】
・¡Bonita ocurrencia!
(まったく、いい思いつきだこと。=あきれている)
・¿Te parece bonito?
(それでいいと思ってるの? =叱るときの決まり文句)

日本語の「けっこうなご身分だね」みたいなやつだ。言い方で反転するんだね。
コダック

まさにそれです! ただこれは口調と場面がそろって初めて成立する用法なので、普通に褒めるつもりで bonito を使う分には、まず誤解されません。安心してください。

「そういう顔もある」と知っておけば、相手が使ったときに読み取れますよ。

3. lindo は副詞にもなる(中南米)

中南米では、lindo が「上手に・見事に」という副詞のように使われます。スペイン語圏諸国のアカデミーがまとめた『Diccionario de americanismos』には、ボリビア・チリ・アルゼンチンで lindo が「とてもよく、美しく、完璧に」の意味の副詞として使われると記載されています。

【副詞の lindo】
・Canta lindo.
(歌がとても上手だ。)
・Bailas lindo.
(踊りが本当に上手だね。)

【スペインでも使う定型表現】
・Nos divertimos de lo lindo.
(思いきり楽しんだ。※de lo lindo で「大いに」)

4. guapo は中南米では「勇敢な・働き者」に寄る

これは知らないと確実に誤解します。guapo は地域によって「見た目」ではなく「性格」を表す語になります

『Diccionario de americanismos』によれば、キューバ・ドミニカ共和国・コロンビア・ボリビア・アルゼンチンなどで guapo は「困難な状況に勇気をもって立ち向かう人」を指し、パラグアイ・アルゼンチン・ウルグアイなどでは「仕事や重労働に対してとても意欲的な人」を意味します。さらにキューバやプエルトリコでは「けんか早い、攻撃的」という方向にも振れます。

guapo の地域差まとめ
スペイン ⇒ 「見た目がいい」が第一の意味
中南米の一部「勇敢な」「よく働く」「けんか早い」が前に出る
⇒ そのため中南米では、人の容姿を褒めるときに lindo や bonito が選ばれることが多い
アルゼンチンで「Eres muy guapo」って言ったら、「働き者だね」って受け取られるかもしれないってこと?
コダック

その可能性は十分あります! もちろん文脈で伝わることも多いのですが、中南米で人の見た目を褒めるなら lindo / bonito のほうが確実です。

逆にスペインでは guapo / guapa が圧倒的に自然相手の出身に合わせて主力を入れ替えるのがコツですよ。

スペインの口語でよく出る mono も知っておくと便利

4語には入れませんでしたが、スペインの話し言葉で非常によく耳にするのが mono / mona です。

DLEでは、人については「顔立ちや愛嬌、身だしなみによって感じのよい様子の」、物については「作りや飾りつけのおかげで見た目が感じよくかわいらしい」と説明されています。用例も Un vestido mono.(かわいいワンピース)とあります。

日本語の「かわいい」の軽い部分を、スペインではこの mono がかなり引き受けている、と考えるとしっくりきます。

・¡Qué mono tu piso!
(君の部屋、かわいいね!)
・De niño era bastante mono.
(子どものころはけっこうかわいかったんだ。)

4語すべてに効く文法ポイント 性数一致と ser / estar

1. 相手の性と数に合わせる

4語とも -o / -a / -os / -as で変化します。合わせるのは褒める対象であって、話し手自身の性ではありません。

●男性ひとり ⇒ guapo / bonito / lindo / hermoso
●女性ひとり ⇒ guapa / bonita / linda / hermosa
●男性複数・男女混在 ⇒ guapos / bonitos / lindos / hermosos
●女性複数 ⇒ guapas / bonitas / lindas / hermosas

2. ser と estar で「もともと」と「今日」を言い分ける

これは4語すべてに効く、スペイン語ならではの仕掛けです。

Eres guapa と Estás guapa

Eres guapa. ⇒「君は美人だ」=もともとの性質
Estás guapa. ⇒「今日きれいだね」=今の状態

※『Diccionario panhispánico de dudas』では、estar は変化や過程の結果・一時的な状態を、ser は本来そなわった安定的な性質を表すと説明されています。

コダック

実用的には、estar のほうが出番が多いと覚えてください!

髪を切った、いつもと違う服を着ている、そういう「今日の変化に気づいた」という合図になるからです。Estás muy guapa hoy. は、褒め言葉として本当に使い勝手がいいですよ。

迷ったときの着地点 まずは2枚だけでいい

情報量が多くて、会話の途中でどれを使うか迷いそうだな…。
コダック

大丈夫です、ちゃんと逃げ道を用意しておきます!

「人には guapo、それ以外には bonito」の2枚これだけで会話は完全に成立します。

残りの2語は、慣れてきてから足せばいいオプションです。

初学者の着地点

人の見た目 ⇒ guapo / guapa(中南米なら lindo / bonito に置き換え)
それ以外すべて ⇒ bonito / bonita

③慣れてきたら足す
hermoso:しみじみ美しいものに(風景・赤ちゃん)
lindo:愛らしいものに(中南米ではこちらが主力)

確認クイズ どの語を選ぶ?

ここまでの内容を、簡単な問題で確かめてみましょう。

Q1. 友達の新しいバッグを褒めたい。
Q2. グランドキャニオンのような雄大な景色を見て感嘆したい。
Q3. スペイン人の友達が髪を切ってきた。今日の見た目を褒めたい。
Q4. メキシコで友達の赤ちゃんを見た。かわいさを伝えたい。

解答例

A1. ¡Qué bonito tu bolso!
(物なので bonito。guapo は使えません。)

A2. ¡Qué hermoso paisaje!
(雄大さ・格調には hermoso がぴったり。bonito でも通じますが軽くなります。)

A3. ¡Qué guapa estás hoy!
(人の見た目なので guapa。「今日の変化」なので ser ではなく estar。)

A4. ¡Qué lindo bebé!
(中南米では lindo が自然。hermoso も愛情のこもった言い方として使えます。)

guapo・hermoso・bonito・lindoの違いのまとめ

以下、4語の使い分けについてのまとめです。

guapo(← ラテン語 vappa「ならず者」)
人の容姿だけ。物には使わない。中南米では「勇敢な・働き者」の意味が前に出る

bonito(← bueno「よい」の縮小形)
いちばん軽くて広い。物・場所・人すべてOK。皮肉の用法もある

lindo(← ラテン語 limpĭdus「清らかな」)
かわいらしい・愛らしい。中南米で主力。副詞としても使う(Canta lindo.)

hermoso(← ラテン語 formōsus「形が整った」)
重くて格調がある。風景・赤ちゃん。「大きくて立派」の意味も持つ

共通ルール
⇒性数一致(-o / -a / -os / -as)
ser=もともとの性質/estar=今日の状態

迷ったら「人には guapo、それ以外には bonito」の2枚で足りる

コダック

褒め言葉には、ここで扱った4語のほかにも地域限定の表現返し方のマナーなど、知っておくと得をするポイントがまだあります。

全体像はこちらの記事にまとめていますので、あわせてどうぞ!

スペイン語の褒め言葉まとめ【5語の使い分けと、褒められたときの返し方】

参考文献
「Real Academia Española, Diccionario de la lengua españolahttps://dle.rae.es/)」guapo, pa/hermoso, sa/bonito2, ta/lindo, da/mono1, na の各項
「Asociación de Academias de la Lengua Española, Diccionario de americanismoshttps://www.asale.org/damer/)」guapo, -a/lindo の各項
「Real Academia Española, Diccionario panhispánico de dudashttps://www.rae.es/dpd/estar)」estar(se) の項