誰もが知っている超基本単語ですが、語源をたどると古英語(Old English)の「he(彼)」の中性(男でも女でもない形)から生まれた単語です。
語源からテストで問われる使い方まで、”It”についての理解を深めていきましょう!
”it”の語源は古英語の「hit」!実は「he(彼)」と同じグループだった

”it(発音:ít/イット【代名詞】)”は「それ」「(特定の意味を持たない状況の主語)」等、複数の使われ方をする単語…というのはお馴染みだとおもいます。
”it”の語源は古英語の「hit」という単語でした。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”it”の起源について、下記の記載があります。
Origin of it1
First recorded before 900; Middle English hit, hitte, it, Old English hit, neuter of he 1日本語訳:900年より前に初めて記録された。中期英語の hit, hitte, it、古英語の hit(he の中性形)に由来する。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からわかるように、”it”の歴史は非常に古く、1100年以上前の古英語(Old English)の時代から使われていました。
ここでとくに注目したいのが「he の中性形(neuter of he)」という部分です。
実は古英語の時代、三人称の代名詞はすべて「h」から始まる仲間でした。
・男性形:he(彼)
・女性形:heo(彼女)
・中性形:hit(それ)
つまり、「hit(のちのit)」はもともと「he」や「she(のルーツ)」と血の繋がった兄弟のような単語だったのです。
でも、なんで頭の「h」は無くなっちゃったの?
代名詞は基本的に、名詞の代わりとして軽く添えられるだけの単語です。会話の中で「hit, hit…」と素早く、そして弱く発音され続けるうちに、発音しにくい頭の「h」の音が自然に削ぎ落とされていきました。
これは現代の英語でもよく起こる現象です。例えば「tell him(彼に伝えて)」を早口で言うとき、「テル・ヒム」ではなく「h」の音が落ちて「テル・イム」のように聞こえますよね。
これとまったく同じ理屈で、「hit」から「h」が脱落して「it」になったのです。
900年以前(古英語):hit
(heと同じ「h」グループの中性代名詞として誕生)
↓
1100年代〜1400年代(中期英語):hit, hitte, it
(会話の中で素早く弱く読まれるため、hの音が落ち始める)
↓
現代英語:it
(頭の「h」の音が完全に脱落して、現在のシンプルで言いやすい形に定着)
”It”の使い方

使い方①:前に出た「名詞」や「文の内容」を指す「それ」
もっとも基本的な使い方は、前に出てきた名詞の繰り返しを避けるために使われる代名詞の「それ」です。実は単にひとつのモノ(名詞)を指すだけでなく、「前に相手が言った文の内容全体」を指すこともできます。
・I bought a new watch yesterday. It is very cool.
(昨日新しい時計を買いました。それ[=買った時計そのもの]はとても格好いいです。)
・He passed the difficult exam! I knew it.
(彼、難しい試験に合格したんだって!私はそのこと[=彼が合格したこと全体]を知っていたよ。)
使い方②:特定の意味を持たない「状況・環境」を表す主語
日常会話で「今何時?」や「雨が降っている」と言うとき、日本語では主語を省略しますよね。しかし、英語には「命令文以外の文章には必ず主語が必要」という絶対的なルールがあります。
そこで、「特に具体的な特定の物はないけれど、その場の空気や状況全体」をズバリ指すために、この “it” が大活躍します。この場合の “it” は日本語には翻訳しません。
① 天気・天候
・It is raining heavily outside.
(外は激しい雨が降っています。)
② 時間・時刻
・What time is it now? ー It is ten o’clock.
(今何時ですか? ー 10時です。)
③ 距離
・It is about three kilometers from here to the station.
(ここから駅までは約3キロメートルです。)
④ 明暗(明るさ・暗さ)
・It is getting dark outside.
(外は暗くなってきましたね。)
⑤ 漠然とした状況・情勢
・How is it going?
(調子はどう?[=あなたの周りの状況はどんな風に進んでる?])
”it”の文法・語法 絶対に外せない重要構文とフレーズ・使い分け

最重要文法①: “It is … to do / that ~” (形式主語・仮主語)
英語には**「頭(主語)がでっかくて重い文章」を嫌う**という面白い性質があります。
そのため、「英語を毎日勉強することは難しい」と言いたいとき、そのまま主語を長くするのではなく、まず最初に中身のない “It” をポンと置いて「それは難しいよ!」と言ってしまいます。そのあとで、「あ、ちなみに『それ』の中身はね…」と後ろから付け足す構文です。
● 不定詞(to do)のパターン
・It is difficult to study English every day.
([仮の主語:それ]は難しい ⇒[本当の主語:毎日英語を勉強することは])
● that節(主語+動詞)のパターン
・It is certain that he will win the game.
([仮の主語:それ]は確実だ ⇒[本当の主語:彼が試合に勝つということは])
★主語の位置にまずは“It”を身代わりとして立たせておき、本当の主語(本尊)は後ろにゆっくり置くという、英語ならではの合理的な仕組みです!
最重要文法②: “S + V + it + C + to do / that ~” (形式目的語・仮目的語)
形式主語が理解できたら、セットで覚えたいのがこの「目的語バージョン」です。英語は主語だけでなく、「動詞のすぐ後ろ(目的語)が長くなること」も嫌がります。
特に find(分かる) / make(〜にする) / think(思う) などの動詞を使うとき、目的語の位置に “it” を一旦置いて「〜だと分かる / 〜にする」と結論を先に言い、本当の目的語(中身)を一番後ろに回します。
・I found it easy to read this book.
(私は[仮の目的語:それ]が簡単だと分かった ⇒[本当の目的語:この本を読むことは])
・The internet makes it possible to work from home.
(インターネットは[仮の目的語:それ]を可能にする ⇒[本当の目的語:在宅で働くことを])
日常会話で大活躍!“it”を使った頻出フレーズ(重要熟語)
日常会話では「その場の状況(it)」を巻き込んだ定番フレーズとしてパーツのようにセットで覚えるのが圧倒的に効率的です!
・Make it(状況を自分で作り上げる = 「間に合う」「都合がつく」「成功する」)
例文:I’m glad we made it on time.
(時間通りに間に合ってよかったです。)
・Get it(それを自分のものにする = 相手の話を「理解する」「分かる」)
例文:Ah, I get it! Thank you for explaining.
(あ、分かりました!説明してくれてありがとう。)
・Forget it(それのことを忘れろ = 「気にしないで」「何でもないよ」)
例文:Don’t worry about the mistake. Forget it.
(ミスのことは心配しないで。気にするなよ。)
・Go for it(それに向かって進め = 「がんばれ!」「やってみなよ!」と背中を押す)
例文:If you want to try, go for it!
(やってみたいなら、迷わずやってみなよ!(がんばれ!))
まとめ
と、いう事でここまで”It”についてまとめてきました。
全く聞いたことも見たこともない…という項目は少なかったのではないでしょうか。
”It”に関しては頻出単語だけに、定番フレーズも多く存在しています。
色々な文章に触れて使い方を覚えていきましょう。
