古英語の「bī(そばに、近くに)」をルーツに持ち、基本的には1つのコアな塊として覚えるのがベストな単語です。
「そばにあること(近傍)」がコアイメージで、そこから波及して“by”=「〜のそばに」「〜によって(手段・受動)」「〜までに(期限)」「〜の差で(差分・単位)」などの重要な意味を持ちますよ!
”by”の意味と使い方 コアイメージは「そばに(近傍)」
”by(発音:bái / バイ【前置詞・副詞】)”は「〜のそばに」「〜によって」「〜までに」などの意味を持つ単語です。
ルーツである古英語のパーツから見ても、「物理的にすぐそばにあること(近傍)」がコアイメージとなります。
だから、場所の「そば」だけでなく、何かを行うときの手段や原因(=その手段を「すぐ身近に引き寄せて使う」から「〜によって」)や、時間の迫り来る限界点(=その時間という境界線の「すぐそばまで迫る」から「〜までに」)という意味に広がるわけですね!
基本例文
・He was standing by the window.
(彼は窓のそばに立っていた。)
→ 窓のすぐ隣、手を伸ばせば届く位置にいるイメージです。・I will be back by five o’clock.
(5時までには戻ります。)
→ 5時という境界線の「すぐ手前(そば)」に滑り込むイメージです。・This book was written by a famous novelist.
(この本はある有名な小説家によって書かれた。)
→ 小説家がすぐ「そば」で直接その本を生み出した(影響を及ぼした)イメージです。※参考・例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
”by”の重要な語法①:なぜ無冠詞?「手段・通信のby」
自分のすぐそばにその「機能」を引き寄せて利用するイメージですね。
● I go to school by bus.
(私はバスで学校に通っています。)
⇒ 「バスという手段」を利用しているため、冠詞はつけず複数形にもしません。
● I came here on a bus.
(私はバスに乗ってここに来ました。)
⇒ 前置詞 on や in を使う場合は、バスの「中・空間」という具体的な場所を意識するため、on a bus や in my car のように冠詞や所有格が必要になります!
”by”の重要な語法②:「差分」や「単位」を表すby
● Our team won the game by three points.
(私たちのチームは3点差でその試合に勝った。)
⇒ 互いのスコアをすぐ「そば」に並べて比べたとき、その隙間(差)が3点だった、というイメージです。
● They hire workers by the hour.
(彼らは時間を単位として労働者を雇っている=時給で雇っている。)
⇒ 「時間」という基準をすぐそばに置いて測るイメージです。※単位を表すときは by the 単位名 の形になります。
”by”の関連語①:「近く・そば」を意味する単語”near/beside”
例えば”near”や”beside”なども「近く、そば」を意味する単語ですよ!
⇒「近く・そば」の意味を持つ単語”near/beside”
イメージの違いとしては
by ⇒「すぐそば」=手を伸ばせば届くほど近く、影響力がある範囲(前後左右どこでもOK)
near ⇒「近所・近く」=ある程度距離は離れていてもよい、ぼんやりとした近さ(直接の影響力はない)
beside ⇒「〜の横に」=「side(横・側面)」という言葉が含まれる通り、左右の側面に並んでいるという位置関係の強調
といった感じです!
それぞれのイメージを実際の表現を見ながら確認してみましょう!
●a house by the sea
「海辺の家」
⇒ 海のすぐ目の前、波の音がダイレクトに聞こえるほどの近さのイメージ
●a house near the sea
「海の近くの家」
⇒ 歩いて海に行ける距離、あるいはその地域一帯が海の近くというぼんやりしたイメージ
●Sit beside me.
「私の横に座って。」
⇒ 私の「サイド(横)」にぴったり並んでポジションをとるという位置関係のイメージ
”by”の関連語②:「時間・期限」を意味する単語”until/till”
間違いやすい類義語があるので覚えてしまいましょう!
⇒「〜まで」の意味を持つ単語”until/till”
それぞれの表現の違いとしては
by ⇒「〜までに(期限)」=その時間より前ならいつでも良い、完了の締め切り(「点」のイメージ)
until ⇒「〜までずっと(継続)」=その時間まで、その状態を途切れさせずに続けること(「線」のイメージ)
といったイメージです。
●You must come here by five.
「5時までにここに来なければならない。」
⇒ 5時という境界線の「手前のそば」にそれまでに1回滑り込めばセーフ、というイメージ
●You must stay here until five.
「5時までずっとここにいなければならない。」
⇒ 5時が来るまで、その場所を動かずに状態をずっと継続するイメージ
日常会話で超頻出!“by”を使った重要熟語・フレーズ
● by oneself(独力で、一人で)
・I finished the project by myself.
(私はそのプロジェクトを自分一人でやり遂げた。)
⇒ 自分のすぐ「そば」には誰もいない、つまり「自分だけの力で」「孤独に」行うイメージから来ています。
● by chance(偶然に)
・I met her at the station by chance.
(私は駅で偶然彼女に会った。)
⇒ 予期せぬ出来事(chance)がすぐ「そば」にふらっとやってくるイメージです。
● by the way(ところで)
・By the way, what are you doing tomorrow?
(ところで、明日は何をする予定ですか?)
⇒ 本筋の「道(way)」のすぐ「そば(わき道)」に話をそらす、というイメージから「ところで」という意味になります。
”by”の語源は1000年以上前!ゲルマン祖語から続く「そばに」のイメージ

”by”の語源についても、詳しく確認していきましょう。
”by”の語源は、古い時代から一貫して「そばに、近くに」を意味する言葉です。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”by”の起源について、下記の記載があります。
Origin of by
First recorded before 900; Middle English bi, be, by, Old English bī, big, be; cognate with Dutch bij, Old High German bī, German bei, Gothic bi; see be-日本語訳:900年より前に初めて記録された。中期英語の bi, be, by、古英語の bī, big, be に由来する。オランダ語の bij、古高ドイツ語の bī、ドイツ語の bei、ゴート語の bi と同系である。接頭辞 be- を参照。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容から分かるように、”by”は西暦900年よりも前から使われている非常に歴史の古い単語です。ドイツ語の「bei」やオランダ語の「bij」などとも同じルーツ(ゲルマン祖語)を持っています。
注目すべきは、元々「物理的にそばにある(空間的な近さ)」を表していた言葉が、歴史の中でどのように意味を広げていったかという点です。
対象がすぐ「そば」にあるということは、それに直接触れたり、影響を与えたりできるということです。
そこから派生して、「作業のすぐそばにいる人」=「〜によって(受動態の動作主)」や、「目的のすぐそばの道具」=「〜によって(手段)」という意味が生まれました。
さらに空間だけでなく時間にも適用され、「その時間のすぐそば」=「〜までに(期限)」という意味へと発展していったのです。
● ゲルマン祖語(「近傍、周囲」を表すルーツ)
↓
● 古英語の「bī / big / be」(〜のそばに)【空間的近さ】
↓
● 中期英語〜現代(by):
「そばにある」⇒「直接影響を与えられる」⇒【手段・動作主(〜によって)】
「そばにある」⇒「時間の境界線の手前」⇒【期限(〜までに)】へと意味が拡張!
ちなみに、辞書の最後に書かれている「be-」という接頭辞。
実は「beside(〜のそばに)=be(by)+side(横)」「before(〜の前に)=be(by)+fore(前)」のように、単語の頭にくっつく「be-」は、「by」が弱く発音されて一体化したものなんです!
”by”の持つ影響力、おそるべしですね。
構成パーツ(接頭辞)で覚える”by” 「メインの脇にある(副次的)」イメージ

ここからは構成パーツ(接頭辞)としての面から”by”について深掘りしていきましょう!
”by”は単体で前置詞として使うだけでなく、他の単語の頭にくっつくことで「メインのすぐ横にある」「脇の」「副次的な(おまけの)」という意味を付け足すパーツ(接頭辞)としても大活躍します。
語源である古英語の「bī(そばに)」のイメージがそのまま活きているため、語源と関連付けると一気に英単語の語彙力が広がりますよ!
“by-“が使われている重要単語5選!「脇・副次的」のネットワーク
接頭辞としての”by-“の特性がよく分かる、日常会話や資格試験でもよく狙われる重要単語を解説します。
「by(そばの・副次的な)」+「product(製品・生産物)」に分解できますね。
本命の製品(product)を作る「すぐそばで、副次的に生まれるもの」というイメージから、「副産物」という意味になります。
工場などの生産物だけでなく、「努力の副産物として一生モノの友情が得られた」のように、抽象的な良い結果に対してもよく使われる表現です。
●bypass(わき道、バイパス、迂回路)
⇒ 「by(脇の)」+「pass(通る・経路)」
メインの混雑した道路の「脇を通るルート」というイメージから、日本語でもお馴染みの「バイパス(迂回路)」を意味します。医学の世界では「心臓のバイパス手術」など、別の血管をつなぐ迂回ルートの意味でも使われます。
●bystander(傍観者、居合わせた人)
⇒ 「by(そばに)」+「stander(立っている人)」
事件や事故が起きている「すぐそばにただ立っている人」というイメージから、当事者ではなく周りで見ているだけの「傍観者」という意味になります。
●bygone(過去の、過ぎ去ったこと)
⇒ 「by(そばを)」+「gone(去った)」
自分のそばを通り過ぎて行ってしまった(go by)状態を表すことから、「過去の」「過ぎ去った」という意味になります。
“Let bygones be bygones.”(過去のことは水に流そう)という有名なことわざは鉄板フレーズです!
●byway(脇道、裏通り)
⇒ 「by(脇の)」+「way(道)」
主要な大通り(highway)に対して、メインではない「脇の道・裏通り」を表します。
「by(いつもそばにある)」+「word(言葉)」で、みんなの口のそばにあって頻繁に唱えられる言葉、ということから「ことわざ」や「代名詞」、さらには(悪い意味で有名になって)「笑いもの」という意味にまで発展したんですよ。
このように、単語の頭に “by-” がついているのを見かけたら、「何かメインのものがあって、その『すぐそば』や『脇』に関係する副次的なものなんだな」と推測できるようになると、初めて見た単語でも意味がパッと掴めるようになりますよ!
”by”の意味と語源・覚え方のまとめ

以下、”by”の意味と覚え方についてのまとめです。
⇒コアイメージは「そばに(近傍・影響圏内)」
⇒”by”=「〜のそばに」「〜によって」「〜までに」の意味
●接頭辞としての”by-” ⇒「メインの脇にある」「副次的な」という意味を付け足す(byproduct=副産物、bystander=傍観者など)
●語法・文法のポイント ⇒「near(ぼんやり近い)」や「until(継続)」とのニュアンスの違いを押さえるのがポイント
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!
