教科書では Bien, gracias.(元気です、ありがとう)と習いますよね。もちろん正解なのですが、これだけだと3回目くらいで会話が止まってしまいます。
この記事では、「絶好調でも不調でもない」中間の返し方を増やして、会話が自然に続くところまで持っていきますよ!
まずは ¿Cómo estás? の中身を分解してみよう
返し方の前に、聞かれている文の構造を押さえておきましょう。ここが分かると、返事の形も自然に決まります。
¿Cómo estás? の分解
cómo(どのように)+ estás(君は〜の状態でいる)
↓
「君はどんな状態でいる?」
↓
「元気?」「調子どう?」
相手によって形が変わる
estás は動詞 estar(〜の状態にある)が変化した形です。スペイン語の動詞は相手によって形が変わるので、ここは押さえておきましょう。
- ¿Cómo estás?:友達・家族など親しい相手(tú)
- ¿Cómo está (usted)?:目上の人・初対面の相手(usted)
- ¿Cómo están (ustedes)?:複数の相手に
相手が誰かによって estás と está を使い分けるわけですね!
ここが不安なうちは、動詞のない ¿Qué tal? に逃げるという手もありますよ。¿Qué tal? なら相手が誰でも形が変わりませんからね。初学者にとっては、とても頼れる逃げ道です!
なぜ ser ではなく estar なのか
スペイン語には「〜である」を表す動詞が2つあります。ser と estar です。
ざっくり言うと、ser はずっと変わらない性質、estar は今この瞬間の状態を表します。
ser と estar の違い
¿Cómo eres?(ser)
⇒「君はどんな人?」=性格や外見をたずねている
¿Cómo estás?(estar)
⇒「君は今どんな調子?」=そのときの状態をたずねている
そうなんです!でも安心してください、挨拶で使うのは必ず estar のほうです。
体調も気分も日によって変わるものですから、「一時的な状態」の estar が選ばれているわけですね。理屈が分かると忘れませんよ!
基本の返し方 ── まずはこれだけ
いよいよ返し方です。まずは絶対に外さない基本形から。
基本の返し方
・Bien, ¿y tú?
(元気だよ、君は?)※最重要。まずこれを丸暗記。・Muy bien, gracias. ¿Y tú?
(とても元気です、ありがとう。君は?)・Bien, gracias. ¿Y usted?
(元気です、ありがとう。あなたは?)※目上の人・初対面の相手に。・Todo bien, ¿y tú?
(万事順調だよ、君は?)
最後に ¿y tú? を付けるのが命
ここが会話が続くかどうかの分かれ目です。
Bien. で止めてしまうと、そこで会話が終わってしまいます。
でも ¿y tú?(君は?)を付けるだけで、ボールが相手に戻りますよね。たった2語で会話が一往復増えるんです。
相手が目上の人や初対面なら ¿y usted? に替えるのを忘れずに!
注意:Bien と Bueno を間違えない
ここで初学者がよく間違えるポイントがあります。
返事に使うのは bien(副詞)であって、bueno(形容詞)ではありません。
Estoy bien.(元気です)が正解ですよ!
Estoy bueno. と言ってしまうと、地域によっては「私はイケてる/魅力的だ」という意味に受け取られてしまうことがあるんです。
たった1文字ですが、ここは bien で固定と覚えてしまいましょう!
【本題】「まあまあ」を言えると会話が変わる
ここからがこの記事の本題です。
実際の生活では、いつも絶好調というわけにはいきませんよね。かといって「最悪だ」と言うほどでもない。この中間の返しを持っているかどうかで、会話の自然さが大きく変わります。
「絶好調でも不調でもない」中間の返し方
・Todo bien.
(万事順調だよ)※明るく、でも大げさではない万能選手。・Más o menos.
(まあまあかな)※直訳は「多かれ少なかれ」。とてもよく使う。・Ahí vamos.
(ぼちぼちやってるよ)※「そこを進んでいる」が直訳。・Aquí andamos.
(まあ、やってるよ)※「ここで歩いている」が直訳。・No me quejo.
(文句はないよ)※「不満を言うほどではない」という控えめな肯定。・Voy tirando.
(なんとかやってるよ)※スペインでよく使う。・Ahí la llevo.
(ぼちぼちだね)※メキシコでよく聞く言い方。
むしろスペイン語のほうが「ぼちぼち」の言い方が豊富かもしれませんよ!
面白いのは Voy tirando. ですね。tirar という動詞をRAEの辞典で引くと、「苦労しながら持ちこたえる、なんとか続いている」という意味が載っていて、El enfermo va tirando.(病人はなんとか持ちこたえている)という例が挙げられています。
つまり「まあ、なんとか引っ張ってるよ」という感じ。日本語の「ぼちぼちですわ」にそっくりですよね!
これらの中間表現には、実はもう一つ大きな利点があるんです!
Bien. と言い切ってしまうと、そこで話題が閉じますよね。でも Más o menos. や Ahí vamos. と返すと、相手が「どうしたの?」と聞き返してくれる余地が生まれるんです。
つまり会話を続けたいときのフックになるんですよ!
調子がよくないときの返し方
本当に疲れているときや、うまくいっていないときの言い方も知っておきましょう。
あまり良くないときの返し方
・Estoy un poco cansado.(男性)/cansada(女性)
(ちょっと疲れてるんだ)・Regular.
(ぼちぼち…いまいちかな)・No muy bien.
(あまり良くないんだ)・Estoy enfermo.(男性)/enferma(女性)
(体調が悪いんだ)・He tenido días mejores.
(もっといい日もあったよ = 今日はいまいち)
いいところに気づきましたね!ここはとても大事なポイントです。
スペイン語では、自分の状態を表す形容詞が、話し手の性別に合わせて形を変えます。
男性なら cansado、女性なら cansada。日本語にはない発想なので、意識しないとつい忘れてしまうところですよ。
そうなんです!ちなみに bien は副詞なので、男女どちらでも形が変わりません。
だから Estoy bien. は誰でもそのまま使えるんですね。初学者にとって bien が安全なのは、こういう理由もあるんですよ!
日本語話者がハマる落とし穴
ここで、日本語を母語とする学習者に特有のつまずきに触れておきましょう。
日本語で「元気?」と聞かれたら、私たちはきちんと答えますよね。
それは日本語の「元気?」が、しばらく会っていなかった相手に使う、少し特別な言葉だからです。毎朝すれ違う同僚に「元気?」とは言いませんよね。
まさにそこがズレの正体です!
スペイン語の ¿Cómo estás? は毎日会う相手にも、初対面の店員さんにも使う日常の言葉。日本語の「元気?」よりずっと軽くて、頻度も桁違いに高いんです。
だから詳しい近況報告は求められていません。まずは短く返して、¿y tú? で投げ返す。これが正解ですよ!
やりがちな失敗パターン
店員:Hola, ¿cómo estás?(こんにちは、調子はどう?)
あなた:Pues, ayer no dormí bien porque mi vecino hizo mucho ruido y…
(えっと、昨日は隣人がうるさくてよく眠れなくて、それで…)
⇒ 相手は挨拶をしただけなので、突然始まった近況報告に戸惑ってしまいます。
【正解】Bien, ¿y tú? または Todo bien, gracias. で十分です。
完璧な理解です!その例えがまさにピッタリですよ。
挨拶は情報のやりとりではなく、関係を確認するキャッチボール。この感覚さえ持っていれば、もう迷いませんよ!
場面別・返し方の早見表
| 場面 | おすすめの返し方 |
| とりあえず困ったとき | Bien, ¿y tú? |
| 目上の人・初対面 | Bien, gracias. ¿Y usted? |
| 本当に調子がいいとき | Muy bien / Todo bien |
| 可もなく不可もなく | Más o menos / Ahí vamos |
| 控えめに肯定したいとき | No me quejo |
| 疲れているとき | Estoy un poco cansado / cansada |
| 会話を続けたいとき | Más o menos…(相手が聞き返してくれる) |
¿Cómo estás? への返し方のまとめ
以下、この記事の内容のまとめです。
⇒一時的な状態を表す estar を使う。ser の ¿Cómo eres? は「どんな人?」で別物
●基本形は Bien, ¿y tú?
⇒最後に ¿y tú? を付けて投げ返すのが会話を続けるコツ(目上には ¿y usted?)
●Bien は副詞なので男女で形が変わらない。Estoy bueno. は別の意味になるので注意
●中間の返しを持つと会話が変わる
⇒Todo bien / Más o menos / Ahí vamos / Aquí andamos / No me quejo / Voy tirando
●形容詞で答えるときは自分の性別に合わせる
⇒男性 cansado/女性 cansada
●日本語話者の落とし穴は律儀に近況を答えてしまうこと
⇒日本語の「元気?」より頻度がはるかに高く、詳しい報告は求められていない
まずは Bien, ¿y tú? を完全に口に馴染ませてしまいましょう。それだけで最初の一往復は必ず乗り切れます!
そのうえで Todo bien と Más o menos の2枚を加えれば、もう「毎回 Bien しか言えない」状態からは卒業ですよ。
挨拶は会話の入口です。ここが軽やかになると、スペイン語がぐっと楽しくなりますよ!
全体像を3つの型にまとめた記事もありますので、ぜひあわせてご確認くださいね!
Real Academia Española「Diccionario de la lengua española(tirar/bueno, na)」(https://dle.rae.es/tirar)
Real Academia Española y Asociación de Academias de la Lengua Española「Diccionario panhispánico de dudas(qué)」(https://www.rae.es/dpd/qué)