me da coraje の意味とは?「勇気」の単語が「腹が立つ」になる理由

コダック
今日のスペイン語表現は“me da coraje”です!

意味は「腹が立つ」「ムカつく」

実はこの表現、日本語話者にとって最高に相性がいいんですよ。というのも、日本語の「腹が立つ」とまったく同じ発想でできているからなんです!

ん?でも coraje って「勇気」って意味じゃなかったっけ。英語の courage と似てるし。
コダック

よく知っていますね、その通りです!coraje は「勇気」の意味も持っています。

なのに me da coraje になると「腹が立つ」。この不思議、語源をたどると全部つながるんですよ。

まずは構文から見ていきましょう!

“me da coraje”の意味 直訳は「それが私に coraje をくれる」

まず、この表現をそのまま直訳してみましょう。

me(私に)+ da(与える)+ coraje(怒り)
 ↓
直訳:「それが私に怒りをくれる」
 ↓
自然な日本語:「腹が立つ」
コダック

ここで日本語を思い出してください。

私たちは「私は怒る」とはあまり言いませんよね。ふつうは腹が立つと言います。

これ、よく考えると不思議な言い方で、「腹」が勝手に立ってしまうんです。自分が怒りを起こしているのではなく、怒りのほうが向こうから来る——そういう感覚ですよね。

me da coraje は、まさにこれと同じ発想なんですよ!

あー!たしかに「腹が立つ」って自分が主語じゃないもんね。「むかつく」も勝手にこみ上げてくる感じだし。
コダック

その通りです!ここに気づけると、スペイン語学習で多くの人がつまずく構文が、一気に楽になります。

実はスペイン語には、こういう「向こうから来る」タイプの言い方がたくさんあるんです。

初級で習う Me gusta el café.(コーヒーが好き)も、直訳すると「コーヒーが私に気に入られる」ですよね。あれと同じ仲間なんですよ!

「向こうから来る」型の仲間たち

・Me gusta el café.(コーヒーが好き = コーヒーが私に気に入られる)
・Me duele la cabeza.(頭が痛い = 頭が私に痛みを与える)
・Me molesta el ruido.(騒音が気に障る = 騒音が私を煩わせる)
Me da coraje su actitud.(彼の態度に腹が立つ = 彼の態度が私に怒りをくれる)

“coraje”はなぜ「勇気」と「怒り」の両方を持つのか?語源は心臓

さて、いよいよ気になる謎の解明です。

coraje は、ラテン語の cor(心臓)に由来します。そこから古フランス語の corage を経て、スペイン語に入ってきました。

“coraje”の語源(起源〜発祥まで)
印欧祖語:*kerd-(心臓)

ラテン語:cor / cordis(心臓)
↓(フランス語へ)
古フランス語:corage(心のはたらき) ※-age は「はたらき・集まり」を表す語尾
↓(スペインへ)
現代スペイン語:coraje(勇気/激しい怒り)
心臓か!じゃあ corazón(心臓)と同じ family なんだね。
コダック

その通りです、鋭いですね!

スペイン語の corazón(心臓)も、英語の courage(勇気)も、医学用語の cardio-(心臓の)も、全部この cor から生まれた親戚なんですよ!

心臓から2方向に意味が伸びた

ここが一番面白いところです。「心臓のはたらき」という出発点から、意味が2方向に伸びたんです。

【方向A】心を前に押し出す
「怖くても心臓を前に出して進む」
coraje = 勇気・度胸

【方向B】心臓が高ぶる
「心臓が激しく高鳴って、何かに向かって燃え上がる」
coraje = 激しい怒り・憤り

なるほど、どっちも「心臓がバクバクする」ってことか。勇気を出すときも、怒ってるときも、たしかに心臓は同じように高鳴るもんね。
コダック

その説明、完璧です!

日本語でも「頭に血がのぼる」と言えば怒りですし、「胸が熱くなる」と言えば感動や決意ですよね。体の反応は同じで、向かう先が違うだけなんです。

coraje も、まさにこの「心臓が燃えている」という1つのイメージが、勇気にも怒りにも化けているわけですね!

「怒り」の coraje には地域色がある

ここは実用上とても大事なポイントです。

coraje を「激しい怒り」の意味で日常的に使うのは、スペイン語圏のなかでも特定の地域で目立つ用法です。とくにメキシコをはじめとする中南米や、スペインでもアンダルシア地方でよく使われることが知られています。

「勇気」の coraje ⇒ スペイン語圏どこでも通じる
 例:Necesito coraje para hablar con ella.(彼女と話すには勇気が必要だ。)

「怒り」の coraje ⇒ メキシコなど中南米、スペインのアンダルシアで盛ん
 例:Me da coraje su actitud.(彼の態度に腹が立つ。)

じゃあ、どっちの意味かは文の形で見分けるってこと?
コダック

そうなんです、そしてこれがとても簡単なんですよ!

me / te / le などが前についていたら「怒り」

Me da coraje. ⇒ 腹が立つ(怒り)
Tengo coraje para hacerlo. ⇒ やる勇気がある(勇気)

「誰かに coraje が来ている」形なら怒り、「誰かが coraje を持っている」形なら勇気。この見分け方で困ることはまずありませんよ!

“me da coraje”の文の作り方

1. 誰が腹を立てているかは me / te / le で切り替える

「私に」の部分を入れ替えれば、主語を変えられます。

Me da coraje. ⇒ 私は腹が立つ
Te da coraje. ⇒ 君は腹が立つ
Le da coraje. ⇒ 彼・彼女は腹が立つ
Nos da coraje. ⇒ 私たちは腹が立つ
Les da coraje. ⇒ 彼らは腹が立つ

※誰のことか強調したいときは A mí me da coraje. のように前に足す

2. 腹が立つ原因は「うしろ」に置く

この構文で少しややこしいのが、文法上の主語は「原因のほう」だという点です。

つまり Me da coraje su actitud. という文では、su actitud(彼の態度)が主語なんですね。

えっ、じゃあ原因が複数だったら動詞の形も変わるの?
コダック

その気づきは素晴らしいです、まさにその通りなんです!

原因が複数になったら、da が dan に変わります。ここは gustar とまったく同じルールですよ。

・Me gusta el café. ⇒ Me gustan los cafés.
・Me da coraje su actitud. ⇒ Me dan coraje sus mentiras.

原因の置き方いろいろ

【名詞】
・Me da coraje su actitud.
(彼の態度に腹が立つ。)
・Me dan coraje sus mentiras.
(彼の嘘の数々に腹が立つ。※原因が複数なので dan)

【動詞の原形】
・Me da coraje no poder ayudarte.
(君を助けられないことに腹が立つ。)
・Me da coraje perder así.
(こんな負け方をするのは腹立たしい。)

【que + 接続法】
・Me da coraje que siempre llegue tarde.
(彼がいつも遅れてくるのに腹が立つ。)
・Me da coraje que nadie diga nada.
(誰も何も言わないことに腹が立つ。)

コダック

接続法が出てくると身構えてしまうかもしれませんが、心配いりません!

最初のうちは名詞と動詞の原形の2つだけで十分に戦えます。

「彼が遅刻するのが腹立たしい」なら、Me dan coraje sus retrasos.(彼の遅刻に腹が立つ)と名詞に置き換えてしまえばいいんですよ。

3. 過去形にすると「あのとき腹が立った」

すでに起きたことについて言うときは、da を過去形の dio に変えます。

・Me dio mucho coraje lo que dijo.
(彼が言ったことに、すごく腹が立った。)
・Me dio coraje no haber dicho nada.
(何も言い返せなかったことに腹が立った。)

dar だけじゃない:tener coraje と hacer coraje

coraje は dar 以外の動詞とも組み合わさります。組み合わせる動詞によって、少しずつニュアンスが変わります。

dar coraje ⇒ 怒りが向こうから来る(=腹が立つ)
例:Me da coraje esta situación.(この状況には腹が立つ。)
一番よく使う形。まずはこれを覚えれば十分

tener coraje ⇒ 怒りを抱えている/文脈によっては勇気がある
例:Le tengo coraje por lo que hizo.(彼のやったことで、彼に怒りを抱いている。)
例:Tiene mucho coraje.(彼女はとても度胸がある。)
2つの意味があるので、文脈で判断する

hacer coraje ⇒ 怒りをためこむ・怒りを募らせる
例:No hagas coraje por eso.(そんなことで腹を立てるな。)
メキシコなどでよく使われる言い方

tener coraje は「怒り」にも「勇気」にもなるのか。ちょっとややこしいな。
コダック

ここは実は簡単な見分け方があります!

tenerle coraje a 〜 のように相手が出てくると「怒り」。
tener coraje para 〜 のようにこれからやることが出てくると「勇気」。

とはいえ、初学者の方はまず me da coraje の形だけに集中して大丈夫です。これが圧倒的によく使われる形ですから!

“me da coraje”の仲間の表現

「腹が立つ」を表す言い方は、地域によっていろいろあります。構文はどれも同じ「向こうから来る」型なので、1つ覚えれば全部使えます。

「腹が立つ」の言い方バリエーション

Me da coraje. ⇒ 腹が立つ(メキシコなど中南米、アンダルシアで盛ん)
Me da rabia. ⇒ 腹が立つ(最も広く通じる万能形
Me da bronca. ⇒ 腹が立つ(南米の口語)
Me enoja. ⇒ 腹が立つ(中南米で標準的)
Me molesta. ⇒ 気に障る(一段やわらかい

コダック

迷ったときのおすすめは Me da rabia. です!

これはスペイン語圏のどこでも問題なく通じますし、強さも me da coraje とほぼ同じですよ。

逆に、角を立てたくないときMe molesta un poco.(ちょっと気に障る)に落とすのが安全です。同じ構文のまま強さだけ調整できるのが、この型のいいところですね!

構文が同じなら、単語を入れ替えるだけで強さを変えられるってことか。それは覚えやすいね。

“me da coraje”の意味と使い方のまとめ

以下、今回のポイントのまとめです。

me da coraje =「腹が立つ」。直訳は「それが私に怒りをくれる」
日本語の「腹が立つ」とまったく同じ発想。怒りが向こうから来る型で、gustar と同じ仲間
●coraje の語源はラテン語 cor(心臓)。corazón も英語の courage も同じ family
●心臓が高鳴るイメージから、「勇気」と「激しい怒り」の2方向に意味が伸びた
●怒りの意味の coraje はメキシコなど中南米やアンダルシアで盛ん。me / te / le がついていれば怒りと見分ける
●原因が主語になるので、複数なら me dan coraje
●原因は名詞・動詞の原形・que+接続法の3通りで置ける
●言い換えは me da rabia(万能)/ me da bronca / me enoja / me molesta(やわらかい)
コダック

「腹が立つ」=「怒りが向こうから来る」——この感覚を日本語ですでに持っているのが、私たちの強みです!

スペイン語の怒りの表現には、これとは別の仕組みで動く estoy enojadoestoy harto もあります。全体の地図は下のまとめ記事で確認してみてくださいね!

参考文献
「WordReference 西英辞典(coraje / rabia / bronca / enojar)」
「Diccionario etimológico castellano en línea(coraje)」