読み方は「エストラニャール」。Te extraño.(あなたがいなくて寂しい)という形で、多くの学習者が最初に覚える単語です。
ところがこの動詞、まったく別の顔をもう1つ持っているんですよ!
ずばり「不思議に思う・驚く」です。
たとえば No me extraña. は「寂しくない」ではなく「驚かないよ、意外じゃないね」という意味なんです。
最初は混乱しますが、コアイメージを掴めば一本の線でつながりますよ!
extrañar の意味と使い方 コアイメージは「本来あるはずのものが、そこに無い」
extrañar(発音:エストラニャール【動詞】)は、①「〜がいなくて寂しい、〜を恋しく思う」、②「〜を不思議に思う、〜に驚く」という2つの意味を持つ動詞です。
一見バラバラですが、共通しているのは「本来そこにあるはずのものが、無い」という感覚です。
いるはずの人がいない ⇒ 寂しい
あるはずの筋道が通っていない ⇒ 変だと思う
どちらも「想定と現実がズレている」状態なんですね。この1本の線で2つの意味がつながりますよ!
実際、extrañar は extraño(奇妙な・見知らぬ)や extranjero(外国の・外国人)と同じ family に属する語で、もとをたどればラテン語の「外の・よそのもの」という意味にさかのぼります。英語の strange / stranger も同じ祖先です。
そうなんです! 「よそもの」「見慣れないもの」というイメージが根っこにあります。
だから「見慣れた人がいない(=寂しい)」にも、「見慣れない事態だ(=変だ)」にも転がるわけですね。
ちなみに活用は完全に規則的な -ar 動詞なので、そこは安心してください!
extrañar の現在形(規則活用)
yo extraño(私は)
tú extrañas(君は)
él / ella / usted extraña(彼・彼女・あなたは)
nosotros extrañamos(私たちは)
vosotros extrañáis(君たちは)
ellos / ustedes extrañan(彼らは)
意味①「〜がいなくて寂しい」 いちばんよく使う顔
まずは中心の意味から押さえましょう。誰か・何かがそばにいなくて寂しい、というときの extrañar です。
「いなくて寂しい」の基本例文
・Te extraño.
(あなたがいなくて寂しい。)
・Te extraño mucho.
(あなたがいなくてとても寂しい。)
・Extraño a mi familia cuando estoy de viaje.
(旅に出ていると家族が恋しくなる。)
・Extraño mi ciudad.
(自分の街が恋しい。)
・Te voy a extrañar.
(あなたがいなくなったら寂しくなるよ。)
よくぞ聞いてくれました! これは「人称の a」と呼ばれる、スペイン語だけの仕組みです。
目的語が「特定の人」のときは、その前に a を置くというルールなんですね。日本語にも英語にもない発想なので、意識しないと必ず抜けてしまいます。
●相手が人 ⇒ a が要る
Extraño a mi madre.(母が恋しい)
Extraño a mis amigos.(友人たちが恋しい)
●相手が物・場所 ⇒ a は不要
Extraño mi casa.(家が恋しい)
Extraño la comida japonesa.(日本の料理が恋しい)
鋭い質問ですね! te や lo、la のような目的語の代名詞は、すでに「目的語である」と形で示しているので、a を足す必要がないんです。
a が必要になるのは、mi madre のように名前や名詞で言うときだと覚えておきましょう。
ペットにも a を使う
飼っている動物のように気持ちの上で「人に準じる」相手にも、人称の a を使うのが普通です。
・Extraño a mi perro.
(うちの犬がいなくて寂しい。)
意味②「不思議に思う・驚く」 No me extraña の顔
ここからが extrañar のもう1つの顔です。同じ動詞が「意外だ」「驚く」という意味で使われます。
「不思議に思う」の基本例文
・Me extraña que no haya venido a trabajar.
(彼女が仕事に来なかったのは意外だ。)
・No me extraña.
(驚かないよ/だろうね。)
・No me extraña que estés cansado.
(君が疲れているのも無理はない。)
・No es de extrañar.
(不思議でもなんでもない/当然だ。)
・Me extrañó su reacción.
(彼の反応は意外だった。)
まさにそこが見分け方です! 主語が誰かを見てください。
「私が誰かを extrañar する」なら寂しい。「何かが私に extrañar する」なら驚く。
向きが逆なんですね。Te extraño は私が主語、Me extraña は「そのこと」が主語です。
2つの意味は「向き」で見分ける
●Te extraño.
主語=私/目的語=あなた
⇒「私があなたを恋しがっている」=寂しい
●Me extraña tu reacción.
主語=あなたの反応/me=私に
⇒「あなたの反応が私を驚かせる」=意外だ
⇒ me / te / le が前に来ていたら「驚く」の意味だと思って、ほぼ間違いありません
その目印で十分実用になりますよ!
そしてこの「驚く」の意味には、もうひとつ大事な文法がくっついてきます。que の後ろが接続法になるんです。
Me extraña que 〜 の後ろは接続法
「〜なのは意外だ」と言うとき、que の後ろの動詞は接続法という形に変わります。
・Me extraña que no venga.
(彼が来ないのは意外だ。)※viene ではなく venga
・No me extraña que estés cansado.
(君が疲れているのも当然だ。)※estás ではなく estés
・Me extrañó que no dijera nada.
(彼が何も言わなかったのは意外だった。)
大丈夫、今は仕組みを知っておくだけで十分です!
ざっくり言うと、スペイン語では「事実を述べる」のではなく「感想や評価を述べる」ときに接続法を使います。「意外だ」はまさに評価ですよね。
実用としては No me extraña.(だろうね)だけ丸ごと覚えてしまえば、会話ですぐ使えますよ!
落とし穴:バスや電車には extrañar を使えない
ここで、日本語話者もよくやってしまうミスをひとつ。
「バスに乗り遅れる」に extrañar は使えません。
こちらは perder(失う)を使いますよ!
・Perdí el autobús.
(バスに乗り遅れた。)
・Perdí el tren.
(電車に乗り遅れた。)
・Extrañé el autobús. ⇒ 誤り。「バスが恋しかった」になってしまいます
そうなんです! 英語の miss は「恋しい」も「乗り遅れる」もまとめて引き受けますが、スペイン語はきっちり分業しています。
心が寂しいなら extrañar、機会を逃したなら perder。ここは覚えてしまいましょう!
●perder ⇒ 乗り物・機会・試合などを逃す
●faltar a ⇒ 授業や会合を欠席する(Falté a la clase.)
extrañar と近い意味を持つ表現
せっかくなので、「いなくて寂しい」をめぐる仲間の表現もまとめて見ておきましょう!
同じ気持ちでも、言い方によって温度や響きが変わるのが面白いところですよ。
echar de menos
extrañar とほぼ同じ意味で使われる表現です。スペインでよく使われるのがこちら、中南米でよく使われるのが extrañar、という地域の色分けがあります。どちらもスペイン語圏全体で通じます。
・Te echo de menos.
(あなたがいなくて寂しい。)
・Echo de menos a mis amigos.
(友人たちが恋しい。)
hacer falta
Me haces falta. は「あなたが私に欠けている」という構造の言い方です。extrañar よりも「あなたが必要だ」という切実さがにじみます。
・Me haces falta.
(あなたがいないと困る/あなたが必要だ。)
・Me haces mucha falta. Vuelve, por favor.
(あなたがいなくてたまらない。戻ってきて。)
そこに気づけたのはすばらしいです!
Te extraño は「私があなたを恋しがる」、Me haces falta は「あなたが私に欠けを作る」。同じ気持ちを、正反対の向きから言っているんですね。
向きの違いを意識すると、スペイン語の文がぐっと読みやすくなりますよ。
añorar / nostalgia
añorar は「懐かしむ・恋い焦がれる」という、やや文語的で情緒の濃い動詞です。名詞の nostalgia と合わせて、故郷や過去を思うときによく登場します。
・Añoro los veranos de mi infancia.
(子どもの頃の夏が懐かしい。)
・Tengo nostalgia de mi país.
(祖国が恋しい。)
そのまま使える extrañar の定番フレーズ
extrañar 頻出フレーズ
・Te extraño. ⇒「会いたい/いなくて寂しい。」
・Te extraño mucho. ⇒「すごく寂しい。」
・Te voy a extrañar. ⇒「寂しくなるよ。」(別れ際に)
・¿Me extrañaste? ⇒「私がいなくて寂しかった?」
・Extraño a mi familia. ⇒「家族が恋しい。」
・No me extraña. ⇒「だろうね/驚かないよ。」
・No es de extrañar. ⇒「無理もない。」
久しぶりに再会したときの定番ですよ!
恋人同士だけでなく、友達や家族にも気軽に使えます。返事は Claro que sí.(もちろん)や Muchísimo.(すごくね)あたりが自然ですね。
extrañar の意味と使い方のまとめ
⇒ 人がいない = 寂しい/筋が通らない = 不思議に思う
●意味①Te extraño.(あなたがいなくて寂しい)= 主語は「私」
●意味②No me extraña.(驚かないよ)= 主語は「そのこと」
⇒ me / te / le が前にあれば「驚く」の意味
●人を目的語にとるときは人称の a が必要(Extraño a mi madre)
●Me extraña que 〜 の後ろは接続法
●「バスに乗り遅れる」は extrañar ではなく perder
●スペインでは echar de menos のほうがよく使われる
extrañar は「一番言いたくなる一言」でありながら、罠が3つ同時に来るという珍しい動詞なんです。
逆に言えば、ここを越えれば人称の a も接続法も一気に身近になりますよ!
悲しみや寂しさをめぐるスペイン語は、他にもいろいろあります。
全体像をまとめた記事もありますので、あわせてご覧くださいね!
「SpanishDict, extrañar(https://www.spanishdict.com/translate/extrañar)」
「SpanishDict, hacer falta(https://www.spanishdict.com/translate/hacer falta)」
「Enforex, El uso de la A personal en español(https://www.enforex.com/espanol/blog/a-personal-en-espanol/)」