一見するとシンプルで短い単語ですが、実は歴史をたどると「能力・知識」と「器(うつわ)」という2つの異なるルーツ(語源)を持っています。
「知っている(やり方を含めて頭に入っている)」、そして「枠の中に収める」がそれぞれのコアイメージで、“can“=「〜できる、〜の可能性がある」「缶、容器」の意味を持ちますよ!
”can”の意味とコアイメージは「知っている」と「枠に収める」
”can(発音:kǽn/キャン【助動詞・名詞】)”は「〜できる、〜の可能性がある」「缶、円筒形の容器」の意味を持つ単語です。
日常会話で最もよく使う単語の一つですが、助動詞のcan(〜できる)と名詞のcan(缶詰の缶)は、実はもともと**全く別の単語**が合流したものなんです。
知識として頭の中に方法が入っている(=「知っている」)からこそ、実際にそれを行う能力がある=”〜できる”なわけですね!
押さえておきたい!助動詞”can”の3つの基本用法
”can”には主に「能力」「可能性」「許可」の3つの使い方があります。それぞれの例文を見てみましょう。
例文
①能力(〜できる)
She can speak three languages.
(彼女は3ヶ国語を話すことができる[=話す知識・能力を器の中に持っている]。)②可能性・推量(〜でありうる、〜の可能性がある)
Accidents can happen at any time.
(事故はいつでも起こりうる[=起こる可能性の枠内にある]。)③許可・依頼(〜してもよい、〜してくれますか)
Can I use your pen?
(あなたのペンを使ってもいいですか?[=ペンを使うことは許容の枠内ですか?])※参考・例文引用「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
”can”の関連語:「能力・可能性」を意味する単語”be able to / may”との違い

例えば”be able to”や”may”なども「できる、かもしれない」を意味する重要な表現ですよ!
⇒「能力・可能性」の意味を持つ表現”be able to / may”
イメージの違いとしては
can ⇒「潜在的な能力」=(知識やスキルとして)いつでもできる状態にある
be able to ⇒「一時的な実行力」=(その時の状況のおかげで、努力して)実際にできた
may ⇒「不確実な推量」=(50%くらいの確率で)〜かもしれない
といった感じです!
それぞれのイメージを実際の例文を見ながら確認してみましょう!とくに過去形での違いはテストにもよく出ますよ!
●I could swim when I was a child.
「子供の頃は(泳ぎ方を知っていて)泳げたものだ」
⇒ canの過去形。自分の内側に備わっていた「能力(いつでもできた)」のイメージ
●I was able to swim to the island today.
「今日は(波が穏やかだった等の条件が揃い、頑張って)その島まで泳ぎ着くことができた」
⇒ その場の状況をクリアして「1回きりの達成をした」イメージ。ここでcouldを使うと不自然になります。
●It may rain tomorrow.
「(降るかもしれないし、降らないかもしれないが)明日は雨が降るかもしれない」
⇒ canの「ありうる(理論上の可能性)」よりも個人的な推量で、確率は五分五分のイメージ
”can”の文法・語法 絶対に外せない定番構文「cannot help ~ing」

受験やビジネスでも超頻出の重要文法フレーズを覚えてしまいましょう!
⇒「〜せずにはいられない」を意味する構文”cannot help doing(~ing)”
ここでの help は「手伝う」ではなく「避ける、抑える」という意味で使われています。
cannot help doing ⇒「〜することを避ける(抑える)ことができない」=どうしても〜せずにはいられない
感情や行動が、自分の能力の「枠(can)」からはみ出してしまい、自分では止められないイメージです。
●I cannot help laughing.
「(笑うのをグッと堪えることができずに)笑わずにはいられない」
⇒ おかしさが「感情の器」から溢れ出て、自分をコントロールできないイメージ。
●I couldn’t help crying when I saw the movie.
「その映画を見たとき、泣かずにはいられなかった」
⇒ 過去形にして couldn’t help ~ing にすることも非常に多いです!
”can”の語源は2つ! 意味は「知っている」と「小さな器」

”can”の語源についても、確認していきましょう。
冒頭でお話しした通り、”can”には2つの全く異なる起源(Origin)が存在します。
オンラインの英英辞典サイト「Dictionary.com」には”can”の起源について、下記の記載があります。
Origin of can1 (助動詞)
First recorded before 900; Middle English, Old English, present indicative singular 1st, 3rd person of cunnan “to know, know how”; cognate with German, Old Norse, Gothic kann; see ken, know日本語訳:900年より前に最初の記録。中英語、古英語の、cunnan(知っている、やり方を知っている)の現在直説法単数第一・第三人称に由来。ドイツ語、古ノルド語、ゴート語のkannと同系。ken, knowを参照。
Origin of can2 (名詞)
First recorded before 1000; Middle English canne, can(e), Old English canne, cognate with German Kanne, Old Norse kanna, all perhaps from West Germanic; compare Late Latin canna “small vessel”日本語訳:1000年より前に最初の記録。中英語のcanne, can(e)、古英語のcanneに由来。ドイツ語のKanne、古ノルド語のkannaと同系で、おそらくすべて西ゲルマン語派に由来。後期ラテン語のcanna(小さな容器)と比較。
※参考・引用「Dictionary.com」
この記載内容からみるに、助動詞のcan(can1)は「知っている」という知性から、名詞のcan(can2)は「小さな容器」という物理的な形から発祥している模様です。
●【助動詞のcan】古英語の「cunnan(知っている・やり方を知っている)」
↓(知っているから「〜できる」という能力の意味に変化)
●現代の助動詞 ”can” へ
●【名詞のcan】後期ラテン語の「canna(小さな容器・器)」
↓(西ゲルマン語派を経て、古英語のcanneへ)
●現代の名詞 ”can(缶・容器)” へ
ちなみに、助動詞canの語源である「cunnan」は、私たちがよく知っている「know(知っている)」という単語とも親戚(同系)なんですよ!
構成パーツで覚える”can” 「能力」と「器」の横展開

ここからは、語源から派生した関連語の面から”can”について深掘りしていきましょう。
単体では短い単語ですが、同じルーツを持つ仲間をセットにすると一気に記憶に定着します。
つぎから各パーツ(ルーツ)に関係する単語を紹介していきます。
“can1″のルーツ(知る・できる)を共有する仲間「cunning / uncouth」
「cunnan(知っている)」というルーツは、現代の意外な単語にも隠れています。
これは「よく知っている(知識がある)」という状態が、ちょっと悪い方向に転がって「悪知恵が働く」を表すようになったわけですね。
その他、古くは「知らない・洗練されていない」という意味から生まれた「uncouth(無骨な、不調法な)」なども、この「can1(知る)」と同じルーツを持つ単語です。
”can2”のルーツ(容器・形に収める)を共有する仲間「canister / kennel」
「canna(小さな容器・器)」というルーツも、日常の様々な「入れ物」に姿を変えています。
これもまさに「can(容器)」のイメージそのものが形になった単語です!
その他の、何かを中に収める「器・覆い」のイメージを持つ単語についても、下記で紹介していきます。
・kennel(犬小屋 ※犬を収める枠・容器)
”can”の意味と語源・覚え方のまとめ

以下、”can”の意味と覚え方についてのまとめです。
⇒コアイメージは「知っている(can1)」&「枠に収める(can2)」
⇒”can”=助動詞「〜できる、〜しうる」、名詞「缶、容器」の意味
●語法・文法のポイント ⇒ 過去の1回きりの達成には「could」ではなく「was able to」を使う!
●重要構文 ⇒ 感情や行動を抑えられない時は「cannot help doing(〜せずにはいられない)」を使用する
他の単語もぜひご確認いただければ幸いです!
「南出康世(2014),ジーニアス英和辞典 第5版、大修館書店」
「Dictionary.com([https://www.dictionary.com/](https://www.dictionary.com/))」
